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ギリシャ支援交渉“北風”で中断 12日夜に再開

2015/7/12 9:15
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 【ブリュッセル=森本学】ギリシャの支援交渉をブリュッセルの欧州連合(EU)本部で再開したユーロ圏。だが11日午後に始まった財務相会合は8時間後に結論を先送りして散会した。瀬戸際外交を繰り広げるギリシャが緊縮を阻んだからではない。今回の主犯は“北風”だった。

ユーロ圏財務相会合の終了後、記者団に囲まれるフィンランドのスタブ財務相(ブリュッセル、12日)
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ユーロ圏財務相会合の終了後、記者団に囲まれるフィンランドのスタブ財務相(ブリュッセル、12日)

 ギリシャは9日に提出した財政改革案でEUに大幅に譲歩していた。EU本部に集まった記者団は「ギリシャ支援決定」の知らせをじりじりと待っていた。ところが予定時間の午後10時を過ぎても会合はなかなか終わらない。不安が募ったころ外交筋からニュースが漏れてきた。「きょうの会合は途中で打ち切り。フィンランドなどが合意文書に同意しなかった」。

 前兆はあった。“おしゃべり”で知られるフィンランドのスタブ財務相が、この日はうつむいたままの硬い表情で足早に会議場へ消えた。ツイッターでの発信も控えめだった。

 理由は国内の政局だった。フィンランドのメディアによると、同国の連立与党に参加する大衆迎合的な「真のフィンランド人」が連立離脱をちらつかせ、ギリシャ支援反対を求めていた。スタブ財務相がギリシャ金融支援に賛成すれば、連立政権が崩壊し、総選挙になる可能性もあった。フィンランド政府は、自らの政権を犠牲にしてまでギリシャを支援するかどうかの選択を迫られた。

 そんな事情があってフィンランドは合意文書に署名できなかった。結局、財務相会合は深夜0時すぎに突如、散会に。「またあした」。スタブ財務相は記者団に言葉少なに語ると会場を去っていった。

 12日以降の支援協議では「フィンランド問題」のほか、「(ギリシャへの)信頼と信用の問題」(デイセルブルム議長)が焦点となる。ギリシャが財政改革を約束通りに実行するか北部欧州の財務相は厳しい視線を注ぐ。週明け早々にも増税法案の議決や閣議決定を求める声も広がっている。それを合意文書に盛り込むのかが争点だ。

 ただ明るいニュースも混じった。ギリシャのユーロ離脱は議論になっていないようだ。12日午前11時(日本時間午後6時)から仕切り直しとなった財務相会合で打開策を見つけられるのか。同日午後に開かれるEU首脳会議ならば妥協策を見いだせるのか。ギリシャの「ユーロ離脱」回避に向けた協議はギリギリの政治判断にもつれこみそうだ。

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