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 長崎原爆をテーマにした映画「母と暮せば」の制作が進んでいる。劇作家の故井上ひさしさんの遺志を、山田洋次監督(83)が継いだ作品で、女優吉永小百合さん(70)が主役をつとめる。戦後70年。戦争の現実と悲惨さ、平和の尊さを映画を通して訴える。

 井上さんは広島、長崎、沖縄を題材にした「戦争三部作」を構想していた。広島編の「父と暮せば」は上演され、映画にもなった。

 2010年、肺がんのため亡くなったが、沖縄戦を描いた「木の上の軍隊」は残された資料をもとに、劇団こまつ座が13年に上演した。題名だけ決まっていたのが「母と暮せば」だ。

 この話を井上さんの三女から聞いた山田監督は「運命のようなものを感じた。絶対に作品にしなければいけない」と思ったという。長崎を何度も訪ねて構想を練り、台本を書き上げて4月から撮影を始めた。

 主役の吉永さんは、終戦の1945年生まれ。ライフワークとして86年から原爆詩の朗読活動に取り組み、朗読CDも出している。「母と暮せば」の撮影前には、長崎市にある国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館を訪ね、核兵器廃絶を願う直筆のメッセージを寄せた。

 10日、長崎市の黒崎教会でのロケが報道陣に公開された。ロマネスク様式のれんが造りの聖堂。厳かで重厚な空間をカメラが追っていた。吉永さんは「長崎の人たちの思いを日本中の皆さんに少しでも知っていただきたい」と語った。

 息子役を演じる「嵐」の二宮和也さん(32)は、平和な日常を過ごせる大切さに触れたうえで、「どこにでもある、家族の苦しみだったり寂しさだったりを(今回の映画で)演じることができたのではないか」と話した。(編集委員・小泉信一)