最近よく耳にする“熟年離婚”。「もう子供は成人して養育費の心配はないし、これからは夫のためではなく、自分のために…。」これまで離婚した場合、妻は夫の年金を直接受け取ることができませんでした。平成19年4月1日からスタートした離婚時年金分割制度では、直接国から妻の口座に入金されるシステムになりました。もし夫が途中で亡くなった場合でも、年金の受け取りには影響がありません。よく「年金の半分はもらえるのよ」ということだけ言われますが、ここできちんと実際の制度を見てみましょう。※平成20年4月1日より3号分割、いわゆる強制分割が施行されていますが、まだ一般的でないことから、ここでは離婚時分割、いわゆる合意分割について説明しています。
年金分割の割合を決めるには、
まず始めに、年金受給資格がなければいけません。年金保険料の未納などで受給資格がなければ、そもそも分割できる年金自体がないからです。年金受給資格期間の25年を満たしているかどうか、確認しましょう。
年金分割制度の適用は平成19年4月1日以降に離婚した場合に限られます。それ以前に離婚している場合は、この年金分割制度は適用されません。
離婚後2年以内でなければ、年金分割の請求が出来なくなります。2年を過ぎると、平成19年4月1日以降に離婚していた場合でも、年金分割の請求はできません。
まずこの3点をクリアしていなければ、年金分割制度を利用することが出来ません。
次に、年金分割制度の内容についての注意点です。
年金を受け取れるようになるのは、離婚してすぐではありません。多くの場合60歳または65歳からですので、離婚してから年金を受け取る年齢になるまで、生活費の確保を別途考えなければいけません。もちろん、受け取れる年齢になってから、年金だけで生活できるのか、ということも考える必要があります。
さらに、年金分割制度で分割できる年金は、「厚生年金の上限2分の1まで」となっています。厚生年金の部分だけですから、個人事業主など国民年金しか加入していない場合には、年金分割請求はできません。例として、夫が年間200万円の年金を受け取っていたとします。内訳が国民年金年間80万円、厚生年金年間120万円とした場合、年金分割制度で受け取れる金額は最大で60万円。月当たり5万円までとなります。分割された年金だけで、離婚後、老後の生活に支障がないかを考えなくてはいけません。もし分割された年金だけで足りない場合には、ほかの収入による生活費の確保も並行して考えなければなりません。
共働きの場合などは、結婚している間においての、夫の給与の平均額と妻の給与の平均額を合計し、その半分を上限として分割できますが、妻の方が夫より収入が多い場合などは、もちろん夫から年金分割請求をすることも可能なため、妻から夫に対して年金を分割する、という可能性もあります。また、年金の分割は、離婚の原因が夫婦どちらにあるかといったことは関係ありません。つまり、離婚原因を作った側からも年金分割請求をすることが可能なのです。
年金分割請求をする場合には、以上のことに注意する必要があります。
妻は年金を分割してもらえます (厚生年金・共済年金部分の上限2分の1まで) 。妻の年金加入期間が25年無い場合は、まずその資格期間を満たさなければなりません。
妻は年金を分割してもらえます(厚生年金・共済年金部分の上限2分の1まで)。ただし、妻が独身時代に厚生年金に加入していた場合には、その期間は分割の対象から外れます。独身時代の厚生年金も含めて25年以上、年金加入期間が無い場合には、まずその資格期間を満たさなければなりません。
妻の厚生年金・共済年金のほうが金額の多い場合には、夫から年金の分割を請求される可能性があります。
年金分割請求が出来るのは「厚生年金の上限2分の1まで」ですから、この場合には、年金の分割を請求することができません。
原則として、年金の分割を請求することが出来ません。しかし、妻が夫の第3号保険者として認められている場合には、年金の分割を請求できます。
離婚していなければ、年金の分割を請求できます。