冥王星:米無人探査機14日に最接近 大気組成など解明へ

毎日新聞 2015年07月11日 21時10分(最終更新 07月11日 22時39分)

無人探査機ニューホライズンが冥王星に接近したときの想像図=NASA提供
無人探査機ニューホライズンが冥王星に接近したときの想像図=NASA提供

 米航空宇宙局(NASA)の無人探査機「ニューホライズンズ」が14日、冥王星に最接近する。探査機の冥王星への接近は史上初。冥王星は、地球から数十億キロ離れている上、月よりも小さく、大型望遠鏡で観測しても表面の明暗がぼんやり分かる程度だけに、初めて間近に見る未知の天体の素顔に期待が高まっている。

 冥王星は直径約2380キロ。1930年に発見され、長く太陽系の9番目の惑星とされてきたが、太陽系内に同程度の大きさの天体が複数見つかったため、2006年に「準惑星」に位置付けられた。表面温度は推定氷点下233度。窒素や一酸化炭素、メタンが凍っているとされる。衛星は5個確認されており、このうち最大のカロンは直径約1200キロと、冥王星の半分の大きさがある。

 ニューホライズンズは06年1月、米フロリダ州の空軍基地から打ち上げられた。9年半かけて、地球から約48億キロ離れた目的地にたどり着く。小型グランドピアノ程度の大きさで、直径約2メートルのアンテナがついている。高解像度の望遠カメラや、大気の組成や表面の構造、温度などを調べるための機器を搭載している。

 約540万キロの距離からニューホライズンズが撮影した冥王星の画像には、地表に「クジラの尾」と呼ばれる暗い部分が写っていた。

 冥王星への最接近は日本時間14日午後8時50分ごろ。秒速14キロの猛スピードで、上空1万2500キロを通り抜ける予定だ。国立天文台の渡部潤一教授(惑星科学)は「予想がつかない画像が出てくるのではないか。冥王星の観測を通じ、惑星の成り立ちのプロセスを調べることができる」と期待を寄せる。

 ニューホライズンズは冥王星の観測を終えた後、無数の小さな天体が集まった「エッジワース・カイパーベルト」と呼ばれる太陽系外縁部の天体を探査する予定。【伊藤奈々恵】

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