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KDDI社長「au経済圏広げる」ための新戦略

東洋経済オンライン 7月11日(土)6時0分配信

2014年度、14期連続の増益を達成し、売上高、営業利益ともにNTTドコモを抜き去ったKDDI。決して偶然ではなく、新たな顧客を獲得し、着実に囲い込んで好業績をたたき出した。だが、国内市場はスマホの販売が鈍化し、大幅な契約増加は見込みにくい状況にある。今後の成長戦略をどう描くのか。2010年12月の社長就任以降、多くの新戦略を打ち出した田中孝司社長に聞いた。
 ――携帯企業は各社とも、端末ランナップや料金プラン、サービスが横並び状態となった。現在の競争環境をどのように考えているのか。

"au経済圏"で囲い込む、田中社長の次の一手

 ユーザーがスマホに飽きたというのは言い過ぎだが、数年前に比べて優先度が低くなっている。現在のスマホ比率は54%で、ガラケー(従来型携帯)から乗り換える最後のユーザーを刈り取ろうとしているところだ。スマホが売れた良き時代が続いた後、マーケットはゆっくり落ちているが、携帯事業者は次の戦略を打ち出せておらず、何が来るのか待っている状態だ。IoT(モノのインタ―ネット)が来れば面白いのだが、まだ業績を牽引するほどではない。明確に「これが次のトレンドだ」というものがない。

 それではどうしていくのか。われわれはauユーザーの「経済圏」を広げることが重要だと思っている。最近は(店頭のタブレット端末などで、食料品や日用品を販売し自宅に届ける)物販サービスや、金融について発表した。ECならアマゾンや楽天があり、リアルでも多くのショップがある。「何をやっているんだ」と思われるかもしれないが、通信以外の新しい市場に出るには強みを磨かなければならない。多様なプレイヤーがいて準備が必要なので、今からやっている。

■ auショップは変わる必要がある

 ――なぜ物販サービスに乗り出すのか。

 われわれにはauユーザー、auショップ、商品があり、それらをうまく流通させる仕組みが必要だ。auショップは市場が縮小する中では減らさなくてはならないが、力の源泉なので維持したいし、変わっていく必要がある。

 簡単に言えば、携帯の周辺機器だけではなく、もっと色々なものを売ればいい。しかし、リアルの領域では、ユーザーが便利に使える仕組みがない。そこで電子マネーサービスの「auウォレットカード」を、決済手段として投入した。クレジットカードは本人確認が必要だし飽和状態なので、マスターカードの協力を得て、どこでも使えるプリペイドカードを作った。

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最終更新:7月11日(土)11時25分

東洋経済オンライン

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