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【集団的自衛権 第3部 越えるべきハードル(下)】
同意なくても救出できるか 韓国の理解どう醸成
「韓国に行ったら、『日本の集団的自衛権行使は韓国のためだ』と伝える」
16日午前、米国の保守層に影響力を持つ米シンクタンク「ヘリテージ財団」のジム・デミント所長は、官邸に安倍晋三首相を訪ね、自身の意向をこう伝えた。これに、首相は「集団的自衛権行使で韓国と戦争になることは、百パーセントない」と応じた。
菅(すが)義偉(よしひで)官房長官も16日の記者会見で「中韓以外の周辺国は理解をしている」と述べ、中韓に理解を求める考えを強調した。
日米両政府は年内に「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」を再改定するが、米側は、集団的自衛権問題で日本に何を期待し、どのような青写真を描いているのか。米太平洋軍司令官を務めるなど、日本の事情にも詳しいデニス・ブレア前米国家情報長官はこう強調する。
「米軍と北大西洋条約機構(NATO)のように、米軍と自衛隊を運用できるようにしたい。日米の相互運用性を高め部隊を統合的に運用する。こうした協力は、集団的自衛権のもとで可能になる」
ブレア氏は集団的自衛権が必要な事例として、尖閣諸島(沖縄県石垣市)に中国軍が上陸する事態を挙げる。
「日本が米国に奪還作戦を期待し、米軍と自衛隊が共同で実施したとする。そのときに、日本の艦船と航空機に許可されていることが、自身を防衛することだけとしたら、日米にとり危険な状況を招く」