投資家が注目する意外な斜陽産業株とは?
連騰を続ける日経平均。主力銘柄が牽引役なのは確かだが、負けじと中小型株にも期待がかかる。いや、これから“大化け”を期待するなら、中小型株しかないと言っていい。そんな有望視される中小型株のなかでも特におススメな銘柄を、「株の賢者」たちが大推薦!
中小型株を選ぶなら、他社にない“面白み”を探すべし
’12年に株価予想を39回連続で当てた“福の神”ことSBI証券シニアアナリストの藤本誠之氏にどのように銘柄を見極めるべきかを聞いた。
「ひとつは、ニッチで斜陽なマーケットにあるトップシェアの企業です。伸び盛りの業界に目を付けるのもいいのですが、成長マーケットは競争も激しく新規参入も多い。個別の成長銘柄を見分けるのは難しいでしょう」
そのいい例がパチンコ業界。同業界にはメーカーが30社以上もあるが、上場企業はわずか4社。人口減少社会では小さい企業から淘汰され、その分の売り上げは上場企業へと流れる。
「ニッチな分野の上場企業とは、いわばその業界の“勝ち組”なのです。けれど縮小傾向のマーケットは値動きが少なく放置されがち。そのなかに割安な銘柄もあるのです。それを今、仕込んでおけば成長の見込みは高い」
ただ、ニッチな市場でも寡占市場は狙うべきではないという。
「トップ企業のシェアは最大で3割程度の分野がいい。あまりシェアが大きいと、同業他者が消えてもあまり影響を受けません。7割以上が未上場の市場が理想ですね」
例えば葬儀市場がそうだ。業界のほとんどが家族経営の小規模企業が占め、下記に上げたティアの成長は著しい。
そしてもうひとつは、他社にマネできない特徴のある企業。週に3回は新規上場企業の社長と面会し、企業の強みをリサーチしている藤本氏なだけに、数々のユニークな企業から選りすぐりの銘柄を教えてくれた。
「まずは社会保険労務士向けのソフトを制作しているエムケイシステム。そして牡蠣の卸しと飲食店を展開するヒューマンウェブ。さらに音声解析のALBERTなどです。他者と一線を画す企業には可能性があります。今は設備投資などで利益は少ないかもしれません。けれど売り上げが伸びているなら成長が見込めるでしょう」
これらのニッチで特徴のある企業は、7~8月に仕入れ、半年から1年と比較的長く持つことがお勧めとのことだ。
◆ティア(東1-2485)640円/100株
【最低購入金額】6万4000円
【目標値】1000円
【買い時額】640円
【損切り】560円
【PER】19.1倍
【PBR】3.90倍
【配当利回り】1.01%
ティア年間約130万人が亡くなるなか、上場している葬儀会社はわずか3社。同社の全国シェアは1%だが中部地域では約28%と、高い数字になっている。「最大の特徴は、1万円を払うと終身会員になれる『友の会』という制度で、葬儀施行時に割引を受けられるのです。数年前には首都圏に拠点を置き、それが近年黒字化してきました。人工減の今後、全国シェア5~10%をも狙えるのではないか」
◆ヨシックス(東J-3221)3240円/100株
【最低購入金額】32万4000円
【目標値】5000円
【買い時額】3500円前後
【損切り】2800円
【PER】13.7倍
【PBR】2.64倍
【配当利回り】0.67%
名古屋を中心に居酒屋・すし居酒屋チェーンを展開している。「競争が激化している居酒屋業界のなかで、戦略によって勝っている企業です。同社の方針は『ほどほど』。店舗の立地はこだわらず、不動産費用を圧縮。代わりに原材料仕入れ費に転化。280円均一など、激安店にもかかわらず質がよく、いいサービス内容で人気になっている。地代の安い、地方都市にあえて展開している点も勝因でしょうね」
◆エムケイシステム(東J-3910)8920円/100株
【最低購入金額】89万2000円
【目標値】1万7000円
【買い時額】1万円前後
【損切り】7650円
【PER】35.01倍
【PBR】6.34倍
【配当利回り】0.56%
人事・総務など社会保険労務士向けのソフトウェアを販売。今年3月に上場したばかりだ。「このジャンルのソフトを製造している企業は少ないうえ、同社はサービスをクラウド上で提供しています。’16年度よりマイナンバー制度の導入で、企業は従業員の番号を厳密に管理しなければなりません。小規模企業には万全なセキュリティ対策は難しいが、クラウドなら手間いらずで安心と重宝されている」
◆ALBERT(東マ-3906)3280円/100株
【最低購入金額】32万8000円
【目標値】5000円
【買い時額】3500円まで
【損切り】2800円
【PER】61.89倍
【PBR】15.44倍
【配当利回り】―
データ分析で企業のプラットフォーム構築やサービス改善などを展開する、マーケティングソリューション分野の注目株。「今までGPSでしか知り得えなかった位置情報を音声で解析できる技術を持っている。例えば、野球場にマイクを設置して協力者には、スマホのマイク機能をオンにしてもらう。すると、音声照合によって今どこにいるかが把握できるといった具合です。独自技術が強みですね」
◆ヒューマンウェブ(東マ-3224)2428円/100株
【最低購入金額】24万2800円
【目標値】5000円
【買い時額】3000円前後
【損切り】2200円
【PER】17.83万倍
【PBR】3.22倍
【配当利回り】―
オイスターバーの経営および、牡蠣の卸売り事業などを展開。その最大の特徴は牡蠣の「滅菌事業」を行っていることだ。「この企業は、菌が存在せず、かつ低温の海洋深層水で牡蠣の浄化を行っています。その牡蠣を自社店舗のほか他社へも卸している。将来的には、海洋深層水のみで牡蠣の育成を行い絶対“アタらない”牡蠣を生産する予定だとか。ほかの会社にはないユニークな試みです」
【藤本誠之氏】
SBI証券。投資調査部シニアマーケットアナリスト。オールアバウト株式ガイド。『Yahoo!ファイナンス 株価予想39連勝』して“福の神”と呼ばれる。『上がる優待株を買いなさい』が発売予定
※株価などのデータは5月29日終値
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