斎藤徹
2015年7月10日21時57分
岩手県矢巾(やはば)町で中学2年の村松亮さん(13)が自殺したとみられる問題で、村松さんが6月の校内アンケートに「いじめられている」と記していたことが分かった。複数の生徒が関わっていたことも分かり、町教育委員会は第三者委員会を設置し、調査する方針を明らかにした。
町教委の越(こし)秀敏教育長が10日、記者会見し、「いじめがあったという事実がかなり高い」と述べ、「手をさしのべられなかったことを心からおわびしたい」と謝罪した。
町教委によると、学校が6月下旬、全校生徒に実施したアンケートに、村松さんは「いじめられたりするときがある」と書いていた。回答は担任が手元に置いたままで、教員間で共有されなかった。
このアンケートは、文部科学省の通知「いじめ防止基本方針」に基づき、この学校では毎年度5、11、2月に実施する予定だったが、「行事で忙しい」との理由で6月下旬にずれ込んだ。記述に問題がある生徒とは面談するはずだったが、他の生徒の順番が先で、村松さんとは面談していなかった。
一方、村松さんが亡くなった後の今月7日に学校が全校生徒に実施したアンケートの回答などから、複数の同級生がいじめとみられる行為に関わっていたことが分かった。村松さんが担任と交わしていた「生活記録ノート」には1人の氏名が記されていたが、ほかにも数人が関わった疑いがあるという。
町教委は、担任が5月に村松さんと、トラブルになった生徒とそれぞれ面談したが、担任が解決したと判断した後もトラブルが続いていたとの見方を示した。
学校は、生徒や担任から聞き取った内容について調査し、24日までにとりまとめて遺族や保護者に説明する。町教委は、詳しい事実関係を調べる第三者委員会を月内に設置する方針だ。
文部科学省は10日、平居秀一・生徒指導室長を矢巾町に派遣した。平居室長は報道陣に「いじめがあった可能性が十分ある」との見解を示し、学校側の対応に問題がなかったかどうかを早急に検証するよう町に求めたことを明らかにした。(斎藤徹)
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朝日新聞はこれまで、男子生徒を匿名で報じてきましたが、町教委がいじめの可能性がかなり高いとの認識を示し、事実の解明に向けて遺族が実名による報道を望んでいることから、実名での報道に切り替えます。
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