ウイグル族強制送還で中国が米などけん制

7月10日 22時58分

中国政府は、タイで不法入国の疑いで拘束され、保護を求めていた少数民族のウイグル族およそ１００人をタイ政府が中国に強制送還したことについて、正当な行為だと強調し、タイ政府の対応を非難したアメリカなどを強くけん制しました。

タイ政府は９日、不法入国の疑いで去年３月に拘束され、保護を求めていた３００人以上のウイグル族のうち、女性や子どもを含むおよそ１００人を中国に強制送還し、アメリカ政府が「中国に戻されれば残酷な扱いを受けるおそれがある」としてタイ政府の対応を非難しました。
これについて、中国外務省の華春瑩報道官は１０日の記者会見で、「不法な密入国者を中国に送還することは、不法移民や密入国を取り締まるうえで正常な協力であり、国際社会の義務だ」と述べ、タイ政府の措置は正当だと主張しました。
そのうえで、華報道官は「一部の勢力が、民族や宗教の問題と絡めて中国の内政を干渉し、中国の安全を損なおうとしている」と述べて、アメリカ政府や、先週、タイからウイグル族１７０人余りを受け入れたトルコ政府などを強くけん制しました。
トルコ国内では亡命したウイグル人が多く暮らす地区などで、中国政府やタイ政府に抗議するデモが起きていて、華報道官は「トルコ政府には国際条約にのっとり、中国などの在外機関や人員の安全を守るよう要求する」と述べました。