旅客船「セウォル号」沈没事故の犠牲者の遺族と生存者たちが、韓国政府に賠償金を申請した件数が100件を超えた。檀園高校(京畿道安山市)の生徒の遺族を中心とする「4・16家族協議会」が賠償金を拒否し、国を相手取って訴訟を起こす準備を進めている中、政府が定めた額の賠償金を受け取る遺族が増えているというわけだ。
海洋水産部(省に相当)は今月7日現在、檀園高校の生徒の犠牲者(250人、行方不明者含む)のうち65人、教員や一般人の犠牲者(54人)のうち21人など、86人の遺族が賠償金を申請した、と8日発表した。また、生存者16人も賠償金を申請し、申請者は計102人に達した。賠償金と別途に国費から支払われる慰労支援金も、犠牲者83人の遺族と生存者15人の計98人が申請した。
海洋水産部(省に相当)は「今年5月までの賠償申請は28人にすぎなかったが、国費からの慰労支援金の規模(5000万ウォン=約530万円)が決定した6月半ば以降、申請者が急増した。申請期限の9月28日まで、申請は増え続けるとみられる」と発表した。
檀園高校の生徒の犠牲者を基準とすると、政府の賠償金は一人当たり約4億2000万ウォン(約4450万円)で、国費と募金から拠出する慰労支援金(3億ウォン=約3180万円)と旅行者保険金(1億ウォン=約1060万円)を合わせると、一人当たり約8億2000万ウォン(約8700万円)が支払われる。檀園高校の教員の場合は1人当たり平均11億4000万ウォン(約1億2100万円)、一般の乗客は4億5000万-9億ウォン(約4770万-9550万円)が支払われる。
「セウォル号被害救済特別法」により、政府からの賠償金を受け取った場合、民事裁判で和解が成立したものとみなされ、今後政府を相手取って損害賠償請求訴訟を起こすことはできない。これに対し一部の遺族などは、同法が裁判請求権を制限しているとして、憲法裁判所に憲法訴訟を申請している。
檀園高校の生徒の生存者(75人)はまだ賠償金を申請していないが、多くの人が高麗大学安山病院などで診断書発行の手続きをしていることから、来月以降には申請が相次ぐと海洋水産部は予想している。