【コラム】大韓民国の女王・朴槿恵

 朴大統領は12歳のときから大統領府で生活し、18年にわたって韓国を統治した最高指導者の娘として過ごした。彼女を「姫」と呼んでもおかしくはない時代だった。後にはファーストレディーの役割も果たした。12歳から30歳近くまでの時期の生活が、人格の形成にどのような影響を与えたのかは、誰もが知っている。大統領府を去ってからの18年間、朴大統領は一般社会とは事実上隔離された環境で暮らした。「姫」から自然に共和国の一般市民になったかもしれないその時期を、一種の空白期間として過ごしたのだった。朴大統領が当選した翌日、メディアは「大統領の娘が大統領になった」と報じたが、朴大統領をよく知る人たちの間では、そのときすでに「姫が女王になった」と表現する人たちもいた。

 朴大統領に国民との意思疎通が欠けているという問題について、ある人は「王と共和国の間の問題だ」と話した。大統領と国民が、違う時代、違う世の中を生きているというわけだが、それは決して小さい問題ではない。一般人が国会議員に接するだけで身震いする中、朴大統領は国会の院内代表を「裏切り者」として追放したが、このことに対してだけは否定的な意見が多いという。王が君臨するかのような様子を目の当たりにした共和国の市民の反応といえるだろう。

 朴大統領がたとえ女王だとしても、個人の利益を追い求める王ではなく、常に国のことを思う王であることは間違いない。だが、今の時代は、いくら国のことを思い、よくしようとしているとしても、昔の帝王のようなスタイルでは通用しない。今の朴大統領のようなスタイルに対し、多くの知識人が幻滅を覚えるさまを見てきた。体に染み付いた考え方やスタイルを変えることができないのなら、「慈愛に満ちた謙虚な女王」にでもなってくれればと思えてならない。

楊相勲(ヤン・サンフン)論説主幹
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