【コラム】大韓民国の女王・朴槿恵

 朴槿恵(パク・クンヘ)大統領寄りのグループにかつて属していて、朴大統領に背を向けた人はかなり多い。ソウル市江南区三成洞にある朴大統領の自宅に集まり、初めて親朴グループを結成したときのメンバーの70%が、すでに朴大統領に背を向けたという。「朴大統領は私たちを『臣下』だと思っている」。朴大統領から離れた人たちは一様にこう話した。朴大統領本人がどう考えているのかは分からないが、彼らはそう感じているというわけだ。政党の代表と議員たちが、王と臣下のような関係だとすれば、代表が大統領になった今、部下がどう感じているのかを推し量るのはそう難しくはない。

 実際、朴大統領は、一般市民の常識では納得できないような姿勢を見せることが少なくない。朴大統領は国会議員に初当選するや否や、秘書室長を任命した。政党の最高幹部である事務局長や政策委員会議長でさえ、秘書室長を置いてはいない。党の代表だけが秘書室長を置いているという事実を知らなかったはずはないが、あえて秘書室長を任命した。まさに空前絶後の事態だった。朴大統領は「私はあなたたちとは違う」という考えを持っていたのだろうか。

 かつて熱烈な「親朴派」でありながら、完全にたもとを分かった国会議員の証言にも、信じられないようなことがある。この議員はかつて、ハンナラ党(現・セヌリ党)代表時代の朴大統領を迎えに行き、一緒に車で移動するとき、朴代表の隣に座っていたという。ところがあるとき、朴代表の秘書たちは「今後は運転手の横(いわゆる助手席)に座るように」と指示したという。一般的な政党の代表と議員の関係であれば想像もできないようなことだ。

 朴大統領はハンナラ党代表時代、たとえ国会議員であっても、外部で好き勝手な発言をすることを嫌った。マスメディアで「某議員」が何らかの発言をしたと報じられると、それが誰なのか調べ上げ、電話をかけ「何であんなことを言ったのか」と問いただした。そんな電話が1-2回かかってくることで、皆一様に口をつぐむようになったという。そのような人たちがやがて、朴大統領の元を去っていった。ある人は「自分は作男かと思うようになった」と語った。朴大統領が何か言えば、皆一斉にメモを取る様子は見た目がよくないと指摘する声も出た。それに対し朴大統領は「理解できない」という反応を見せた。自分の話すことを皆がメモするのが、いったいどこがおかしいのかというわけだ。

楊相勲(ヤン・サンフン)論説主幹
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