【社説】香港でインフル流行、韓国政府は水際対策徹底を

 最近になって香港でインフルエンザが流行し、すでに560人以上が死亡したと伝えられている。これは韓国における中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染拡大による犠牲者数35人の16倍にもなる。ちなみに香港で流行しているインフルエンザはMERSよりも致死率は低い。しかし空気感染するため、いわゆる院内感染が大部分を占めるMERSとは比較にならないほど感染力は強いだろう。ちなみに飛行機を利用して韓国と香港を行き来する両国民の数は月30万人にも達するため、入国時の検疫によってインフルエンザウイルスが国内に入るのを完全に遮断することは難しい。そのため最終的には国民一人一人が自分自身を守る以外に感染を食い止める特段の方法はない。

 香港を訪れる観光客は、手洗いといった個人でできる感染対策に取り組むのはもちろん、現地のデパート、市場、公演会場など人が集まる場所に行く際には必ずマスクを着用しなければならない。国や医療機関も香港からのインフルエンザウイルスの流入について厳密にチェックし、感染が疑われる場合は直ちに検査を行って確認作業に当たらねばならない。またもし患者の発生が確認されれば、全国の医療機関に警報を出し、国民全体に注意を促すことも必要だろう。

 韓国から海外に向かう旅行客のうち、年間300-500人が何らかの感染症にかかって帰国しているという。またここ40年の間に世界で新たに発見された新種のウイルスは20種以上に達する。しかし国民、国、医療機関が力を合わせて対応に当たれば、今回の香港でのインフルエンザはもちろん、それ以外の伝染病もほぼ完全に流入を食い止めることができる。それにはまず国は感染の実態を隠すようなことをしてはならず、また国民は自らはもちろん、家族や社会全体を守るという思いを持ち、成熟した市民意識に基づいた行動を心掛けねばならない。

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