韓国の最低賃金が来年から、時給換算で初めて6000ウォン(約637円)を超える。最低賃金委員会は「2016年度の最低賃金を今年(時給5580ウォン=約592円)より8.1%(450ウォン=約48円)引き上げ、時給6030ウォン(約640円)とすることを決定した」と9日発表した。週40時間勤務の場合、月給は126万270ウォン(約13万3800円)となる。
これにより、韓国の最低賃金は3年連続で7%以上引き上げられることになる。8.1%の引き上げは、2008年(8.3%)以来の高い水準だ。昨年の引き上げ率は7.2%、今年は7.1%だった。
また、時給換算の最低賃金も初めて6000ウォンを突破した。
同委員会は9日未明、徹夜での審議の末、上記のような決定を下したという。法定期限を10日過ぎての決定だった。今回の同委員会は最低賃金を告示するに当たり、時給だけでなく月給換算額も同時に告示することとした。
今回の決定は、労働者側の委員が欠席する中で下された。労働者側の委員たちは8日朝まで行われた第11回会議で、政府側の委員たちが示した折衷案に反発して退席し、同日夜の第12回会議も欠席した。
政府側の委員たちは第11回会議までの時点で労使双方の意見の違いを埋められなかったことから「時給5940-6120ウォン(約630-649円)の範囲内で最低賃金を決定する」という折衷案を打ち出し、最終的に6030ウォンとする引き上げ案を示し、成立させた。
当初、時給1万ウォン(約1060円)を主張していた労働者側の委員は、第11回会議で8100ウォン(約859円)を主張する一方、5580ウォンのまま据え置くよう主張していた使用者側は5715ウォン(約606円)への引き上げ案を示した。
最低賃金は、労働者側・使用者側・政府側合わせて27人の委員のうち過半数が出席した上、その過半数が賛成することで決定する。
韓国の最低賃金は過去10年間に2倍近く上昇した。とりわけ昨年(7.2%)と今年(7.1%)は2年連続で7%台の引き上げ率を記録した。最低賃金委員会が物価上昇率や経済成長率だけでなく、所得分配の改善まで考慮したためだ。
今年はチェ・ギョンファン経済担当副首相と李基権(イ・ギグォン)雇用労働部(省に相当)長官が最低賃金の引き上げを強調する中、7%以上の引き上げが実現するという期待感が高まっていた。
今回決定した最低賃金は、異議申し立ての手続きを経て、来月5日までに雇用労働部長官が告示する。