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 タイ暫定政権は9日、中国新疆ウイグル自治区から逃れて来たウイグル族の一部100人以上を中国に送還したと明らかにした。中国政府が帰国後の安全を約束したからとしているが、国際人権団体などは迫害の恐れが高いと強く批判している。同日未明、この措置に抗議してトルコ・イスタンブールのタイ領事館が襲われた。

 タイ政権報道官によると、強制送還は8日夜に行われた。送り返したのは身元調査の結果、中国国籍が確認された者だとしている。タイ当局はこれまで、密入国者として拘束していたウイグル族のうち約170人をトルコ国籍と認定してトルコに移送し、これに対して中国が不快感を表明していた。タイにはまだ50人のウイグル族とみられる人びとがおり、身元調査が進められている。

 タイ外務省幹部は中国送還について、クーデターを決行した軍主導の最高機関、国家平和秩序評議会(NCPO)高官から指示があったとしている。対中関係を強めているクーデター体制下で、中国の意向に配慮した可能性がとりざたされている。