新国立競技場:代替案間に合わない…文科相が答弁
毎日新聞 2015年07月09日 21時22分(最終更新 07月09日 23時28分)
総工費が2520億円に膨らみ、批判が高まっている2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設計画で、下村博文・文部科学相は9日、参院文教科学委員会で再考を求める意見に対して「大胆な見直しをすると間に合わない」と述べ、現行案を推し進める考えを改めて強調した。
開閉式屋根を支える2本の弓状の構造物(キールアーチ)について、槙文彦氏ら建築家グループは建設取りやめを提言してきた。
下村氏は代替案を検討したことを明らかにしたうえで、計画を変更した工期は「設計開始から完成までの所要期間は61カ月」と説明。完成するのが20年7月24日開幕の五輪に「ぎりぎり間に合うか」との見通しとなったため、採用を見送ったことを明らかにした。
槙氏らは工期を確保するために19年9月開幕のラグビーのワールドカップ(W杯)を別会場とする案も提言している。そもそも19年5月の完成を目指さなければ、開閉式屋根の設置を大会後に先送りする必要もなかった。このため委員からはラグビーを別会場に移す「政治決断」を求める意見が出たが、下村氏は「私1人で決められる問題ではない」とかわした。【田原和宏】