コラム:中国株取引停止、「見せかけの市場」に拍車
Quentin Webb
[香港 9日 ロイター] - 中国株式市場における売買停止は、中国が抱える「見せかけの市場」の問題をさらに大きくした。バブル崩壊とその救済策は、海外投資家が中国株を真剣に考えるのを難しくしている。多くの投資家の身動きを封じた異例の大規模売買停止は、事態をさらに悪化させるだけだ。
中国株式市場は、この一時的な小休止と引き換えに、自分たちの信用を失っている。
中国の指導者らが思うがままに行動するというのは、今に始まったことではない。したがって今回も、思い通りにいかない市場を従わせるため、利下げや空売りの規制、信用取引の拡大、悪者捜し、証券会社による株価下支えなどあらゆる手段を講じている。そしてついに、大量保有株主の株式売却を半年間禁止するという手に打って出た。
こうしたトップダウンの「策略」がひとまず効を奏した形で、9日の中国株式市場は下げ止まった。一方でボトムアップの対策も同様に疑わしい。
上海・深センの取引所に上場している企業で売買を停止しているのは、7月8日時点で約1300社、時価総額では2.4兆ドル相当に及ぶ。このような規模の売買停止は他の市場では考えにくい。上場企業は慎重に扱われるべき株式市場のルールを悪用している。
確かに、売買停止の多くが小型株であり、打撃を受けるのは、優良株に投資する機関投資家よりも個人投資家である。また、中国市場でわずか2%にすぎない海外投資家への影響も小さいだろう。
とはいえ、これはひどく悪いシグナルを送っている。つまり、取引できないのに、それは市場と呼べるのかということだ。上場企業には何か隠し事があるように見える。バリュエーションはかなり行き過ぎており、その報いを受ける時が単に遅れているだけだろう。8日に売買停止した大型株の海南天然ゴム(601118.SS: 株価, 企業情報, レポート)と中節能風力発電(601016.SS: 株価, 企業情報, レポート)は、売買停止前の時価総額が40─50億ドルで、予想株価収益率(PER)はそれぞれ238倍と109倍だった。 続く...