上海証券取引所前に設置されている「ブル(雄牛=強気相場のこと)」の彫刻 Zuma Press

 先月下旬、中国共産党機関紙の人民日報はフェイスブックで460万件の「いいね!」を集めたと自慢していた。ところが今週はこの共産党代弁者の意識に、より相応しい別の数字が焼き付いたことだろう。それは「4000」だ。

 今年4月に掲載されたオピニオン記事が人民日報を苦しめている。記事は上海総合指数の4000は「上げ相場の始まりに過ぎない」と宣言し、「経済改革とマクロ経済が(株価上昇を)支える」とある。

 さらに、「これがバブルだと見なされるなら、バブルでない資産など世界にあるだろうか」と問いかけた。

 この3週間は人民日報の「コレクション(訂正)」どころか、株式市場に「コレクション(調整)」が入る展開となった。この間、上海総合指数は6月につけた最高値から30%余り下落し、今週に入って1000を超える銘柄の取引が停止された。中国の株式市場から約2兆4000億ドル(約290兆円)が消えた格好だ。「上げ相場の始まり」も、もはやこれまでだ。

 怒ったブロガーや投資家の多くは人民日報に決して忘れさせまじとばかりに、ミニブログサイト「微博(ウェイボー)」に単に「4000」とだけ投稿している。

 人民日報がウェイボーに最近投稿した記事の多くに対し、その内容にかかわらず、株式市場に関連するコメントで溢れている。村で働く86歳の学校の先生をとりあげた記事に対して、「4000から上げ相場が始まると(人民日報が)言ったから、家計の貯蓄をすべて株式市場に投資した。今、私の(資産)は半分になった。返してくれるのはいつだ?」とコメントした人もいる。

 人民日報はこうした投稿から受けるダメージを阻止しようと試みているようだ。7日夜遅く、ウェイボーに反論を投稿し、「人民日報は、ウェイボーでの投稿を含め、そのような記事を掲載したことはない。確かではないメッセージを故意に拡散しないでほしい」と訴えた。

 人民日報は厳密に言えば正しい。記事は同紙の電子版に掲載されたのであり、公式見解を表す社説だったわけでもない。同紙はコメントの求めに応じていない。記事を書いた記者にもすぐには連絡がつかなかった。

 だが、損害を受けた数百万人の投資家たちにとって、そんなことは慰めになりそうにない。

 ある投稿には、「名前を『4000日報』に変えることを提案する」とあった。

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