数年にわたって行われた日本の「公的資金の買い」は、買っている間だけ株価の支えとなり、買い終わると株価が下がることの繰り返しで、目端の利く市場参加者の食い物にされて、年金積立金に高値で買った株を積み上げる散々な結果に終わった。
今や大国を気取る中国政府が、没落した「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の国の教訓を生かせないとは情けない話だが、「たまらなかった」のだろう。お気の毒なことだ。
中国の場合、バブル崩壊時の日本ほど市場の国際化が進んでいない。「公的資金の買い」の裏をかいて儲けた「外国人投資家」のような参加者層が薄いことや、経済を力ずくででも管理する意思を有する政府の下にあるので、あるいは、株価対策はかつての日本の場合よりも効果を発揮するかもしれない。
しかし、「需給対策によって上がった株価は信用できない」というのが、株式投資の大原則だ。
日本の教訓をもう一つ。株価下落の後には、少々遅れて不動産価格の下落がやって来るはずだ。中国経済の成長鈍化のペースは案外速いのかもしれない。注意しておこう。 (経済評論家・山崎元)