ひよこまめ雑貨店(店舗名っぽいけど作家名)のひよこまめさんが、小田急相模原・通称オダサガにある海福雑貨(店舗)さんに、ひよこまめさんのご主人であるいそはえとりさん(ハンドルネーム)によるうみねこ博物堂(店舗はない)の昆虫標本を納品しに行くというのでくっついていった。ややこしいわ!!d.hatena.ne.jp
ひよこまめ雑貨店さんとのお付き合いは、わたしが昆虫大学というイベントを右も左もわからない状態ではじめたときに九大博物館の丸山宗利さんにご紹介いただいたことにはじまる。生きものの特徴を正確にとらえる上品で繊細な線画を描くいっぽうで、アリの触角を模したカチューシャを大真面目に作ったり、どこか奇妙な植物生い茂る辺境の島・ソコトラ島のようなおかしな世界観を内包するクラフト作家である。彼女の作ったものは、いずれ別記事にて紹介したい。
雑貨屋【海福雑貨】&CRAFT GALLERY
納品先の海福雑貨さんがある小田急相模原は、一見雑貨屋を営むにはめちゃくちゃ不利そうな町に見えるが、店長の遠藤さんの度外れた企画推進力により近隣にポツポツと飲食店や雑貨店が増えはじめ、最近はこの辺のいい感じの個人商店主の間にギルドめいた相互扶助の雰囲気が生まれつつあるらしい。
店内はと言えば、チマチマしたかわいらしい作家ものや古い品物たちがそらもうギッチリとひしめいており、実用的でないものならなんでもそろう不思議なジャングルー(ジャングルだー)、的な雰囲気だ。さらに金曜~日曜は、2階の「分室」も営業しているのだ。
昆虫標本は場所をとにかく取るので買わないようにしていたのだが、うみねこ博物堂卸の世界のイケてる昆虫標本に不意打ちされて吐血し、吐いた血で標本を汚さないように最新の注意を払いながらタッパーに詰め替え、中国人観光客なみの爆買い。タイのアカヘリエンマゴミムシ、艶消し加工を施したかのような巨大な緑のハナムグリ、七色に輝くタマムシ…
昆虫標本は大手町インセクトフェアなどの玄人向けの大規模な標本即売会でも買えるのだが、大規模すぎてそもそも何を買ったらいいかわからなくなる。また、展翅・展足(死後硬直した虫の脚や翅を美しく整えること)のレベルがブースによってかなり違うし、未展足のものももちろん含まれている。
一方で、純粋なるインテリアとして輸入雑貨屋で売られているようなおしゃれにディスプレイされた標本は、そもそも虫の標本の相場なんて知らない人向けなので意味がわからないくらい大胆な価格設定をされていることも多いし、その割に防腐処理が雑なことすらある。
うみねこ博物堂の標本は、そうした両極の茨の道のちょうど間をスッと入ってくる選球眼と価格で、物欲のエアポケットに入ってしまったのだ…と思い返すメレヤソであった。
ゴールデン街で酒の肴にきらびやかな昆虫標本を眺める女(周囲に迷惑)
ニシキカワリタマムシもあこがれの虫。なんと今まで写真で見て白い斑点だと思っていたのは毛だったことがわかった瞬間、これは買うしかないと思った。
この7月中旬に発売されたばかりの丸山先生の本『きらめく甲虫』の表紙にも登場する、一匹で銀河を表現しているようなタマムシ。マダガスカルに産する、白い毛の生えた青い星だ!
『きらめく甲虫』も、今までにない技術とセンスで作られた美しい虫本。本家ブログのほうでレビューを書く予定です。
それにしても虫とブログの縁で、世界観がソコトラ島な作家さんや虫博士や楽しいお店屋さんと知り合えるなんて不思議だなあ。虫もきらめいているけれど、わたしにとってはやっぱり虫からはじまる縁もきらめいています。