魅力に満ちた大分の㊙ふぐ食文化
大分県臼杵市には非常に多い河豚(ふぐ)料理店舗が軒を並べています。でも実は、漁獲量において大分県のふぐ水揚げ量は全国の約3%程度、ふぐの漁獲量は全国的に見ても決して多くはないのです。その大分県において、 特に臼杵市にはふぐを扱う伝統ある専門店が多く、他の地域では味わう事の出来ない、ふぐ食文化が円熟している特別な地域なのです。
なぜふぐの主要な産地とは言えない大分県臼杵市にわざわざ“ふぐ料理”を楽しみにいくのかといえば・・・
勿論、消費者としてはきちんと理由があるのです。しかも㊙の
今日はそれをレポートしてみましょう。
全国各地の産地で食す専門店舗と比べ、臼杵市の各専門店はとらふぐ料理をお値打ち価格で提供しているという伝統ならぬ伝説。(伝説ですから真相は不明です。)
毒魚として名高いふぐ
多くの種が有毒として知られる『ふぐ科』の魚たち。そんななかふぐ(トラフグ)は昔から中毒による身の危険、生命の危険をも承知の上で人々を魅了してきた、他に類を見ない高級魚であり続けているのです。
近代日本においては、国民の健康の保護を図ることを目的とする食品衛生法によって、健康危害を及ぼす食材は製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、陳列、販売といったあらゆる行為が禁止されています。さらに国は食品衛生法とは別に、特にフグに関しては種類と可食部位については事細かに各県共通の指導しているのです。
そういったふぐを調理して供するためには、調理師免許とは別の資格が必要です。
ふぐ条例に基づき、都道府県知事が行うふぐ調理師試験(講習)において免許を取得した『ふぐ調理師』の料理したフグ料理でなければならないのです。
ところが、ふぐ調理師免許は前述のように国家資格ではないため、特段の定めのない限り、当該都道府県内のみでしか通用しない場合があるのです。
ふぐは歴史と伝統、更に地域ブランド力を持つ重要な海産物でありながら、体内の限られた部分には複数人間の致死量フグ毒を生息環境のなかで蓄積しているんです。食品衛生管理をおこなう各県保健所においても国の指針通りに、ふぐの取り扱いを指導しています。
一般鮮魚では、珍味とされる内臓や白子・真子と呼ばれる生食巣には、目が無い食通も多いのですが、殆どのふぐにおいて、肝臓(キモ)や真子(卵)は最も猛毒とされる部分。反面、白子(精巣)は無毒で可食部位なのです。
実際に大分県庁HPで『ふぐの内蔵は食べられません!!』と掲示。
http://www.pref.oita.jp/site/suishin/hugupoison.html
でもそこには、都道府県知事が行う『ふぐ調理師』資格であるが故の、地域・地域の『伝統ふぐ料理』の微妙な違いが生れてくる場合があるようなんですね。その根底には、地域の伝統食文化は地域によって保護、継承されるべき。勿論安全の検証とともにという考えが働いているのです。
この地方自治体毎の微妙なスタンスが、毒を持つ特別な魚種でありながら、古より今日まで高額であっても、また危険を冒してまで食べられ続け、決して廃ることのない『ふぐ食文化』を、現代でもスリリングなものにしているんですね。
他県の事例は詳しくないんですが、わが高知県において国で全般的に鮮魚販売を禁止ているフグ科であっても、条例において無毒とされる『ギンフグ(シロサバフグ)』等を種名を指定して一般的フグから除外し、高知の量販店や鮮魚店では『ふぐ調理師』資格なしに販売出来ています。
また現在、有毒フグでも『ふぐ条例』に基づき、ふぐ調理師が『身欠き(みがき)』と呼ばれるふぐを締めて、食用の部位を取りわける工程を経たフグの身を仕入れた場合は、多くの都道府県で、店舗に『ふぐ調理師』資格者がいない場合でも販売・料理提供が可能となっています。
でも、こういった条例が時に、ふぐに対し詳しい知識を持たない素人の勝手な判断につながり、ふぐ中毒を起こしその多くか家庭での調理に起因しているのも又事実なのです。私だって、大学で専門に学んでいるとはいえ、自宅で無毒フグを調理した経験は幾度となくあるのです。ふぐの場合、種の同定を誤れば非常に危険なのです。
さて話を元へ戻し、
大分県臼杵市では、間違いなく地域独特の『伝統ふぐ料理』において肝を無毒化させる調理方法を確立しています。その前にふぐの毒化メカニズムについて簡単に触れると・・・
全てのふぐは本来無毒であるものが、生息環境下での食物連鎖において摂取する餌料が持つ毒素を蓄積することによって有毒生物化するという説な有力視されています。実際に、完全閉鎖環境で飼育された養殖フグを特定餌料で養殖した場合、とらふぐ毒である、テトロドトキシンtetrodotoxin, TTXやサキシトキシンsaxitoxin、STXは、無毒とされる基準値を下回っていた報告例は多数あります。
でも、ふぐを無毒化成長させるメカニズムは、これによって確定されたと学術的に統一されている訳でもなく、ふぐ有毒化のふぐにとっての目的は、天敵防御だけではなくふぐ自身にとって無毒な毒素は、フェロモンとして個体間に作用しているといった説もあり、こういった報告例はふぐに限らず、様々な毒性動物において広く報告されているんです。
無毒化ふぐの養殖には飼育によって、他個体を噛みつき合う頻度の増加という新たな問題が確実に発生する事や、何らかの理由で閉鎖環境に有毒ふぐが1尾でも発生した場合、瞬く間に多くのふぐが有毒化する説もあります。ですから、養殖ふぐという条件でふぐ免許が不要になったり内臓等の不可食部分が可食となる条例の発令は今のところ有りません。
大分には有毒な、とらふぐ肝を、徐毒する伝統的調理法は存在しているのです。
そして、その伝統調理法とは細切・手揉み・煮沸の3調理工程に大別されているようです。詳細には肝臓を除毒する調理法は、細切・手揉み・煮沸の3工程全てが不可欠で、“手揉み”時間は3分間で十分なものの、“細切”はできるだけ小さくし、加熱は100℃を超える温度で行うと更に高い除毒効果が得られるとなっています。
大分県庁HP(~フグ肝臓の伝統的調理法における除毒~)より
http://www.pref.oita.jp/soshiki/13002/tiikikadai.html)。
そこには、【大分県のフグ料理専門店で、1983年以前まで提供されていた伝統食品「キモ料理」】と記述されていますから、間違いなく肝臓の除毒法は地域または、店舗での門外不出的な伝統調理法として確立、伝承されてきたのです。
実際にこの方法で、検査事例は少ないとはいえ無毒化は実証されている様でも、繰り返しますが大分県庁HPでは『ふぐの内蔵は食べられません!!ふぐの肝臓(キモ)、卵巣(マコ)等の有毒部位は絶対に食べないでください!!』と掲示されています。
ある意味分かりにくい臼杵の『ふぐ食文化』。でも、分かってしまえば色褪せる魅力は世の中にたくさんあるのです。その実、その地へ足繁く通えば必ず、地域の真の食文化に触れることはできるんですね。グルメを極める近道は勿論、常連さんに同行することなんですよ。
地域伝統の歴史深い食文化が、現代日本の食文化に真にそぐわなくなった場合、また重大な食中毒を引き起こした場合、それらの問題点は全国規模で広く速やかに情報公開・検証され、構造的問題があった場合即座に改善されるのです。危険は完全に回避しながらも、先人の残した功績もまた、守り継承する道を模索する努力も必要だと思います。和食の奥義なるものがあても良いと思うんですよ。
さて、この問題に関する皆さんジャッジは如何に。
大分県臼杵市には非常に多い河豚(ふぐ)料理店舗が軒を並べています。でも実は、漁獲量において大分県のふぐ水揚げ量は全国の約3%程度、ふぐの漁獲量は全国的に見ても決して多くはないのです。その大分県において、 特に臼杵市にはふぐを扱う伝統ある専門店が多く、他の地域では味わう事の出来ない、ふぐ食文化が円熟している特別な地域なのです。
なぜふぐの主要な産地とは言えない大分県臼杵市にわざわざ“ふぐ料理”を楽しみにいくのかといえば・・・
勿論、消費者としてはきちんと理由があるのです。しかも㊙の
今日はそれをレポートしてみましょう。
全国各地の産地で食す専門店舗と比べ、臼杵市の各専門店はとらふぐ料理をお値打ち価格で提供しているという伝統ならぬ伝説。(伝説ですから真相は不明です。)
毒魚として名高いふぐ
多くの種が有毒として知られる『ふぐ科』の魚たち。そんななかふぐ(トラフグ)は昔から中毒による身の危険、生命の危険をも承知の上で人々を魅了してきた、他に類を見ない高級魚であり続けているのです。
近代日本においては、国民の健康の保護を図ることを目的とする食品衛生法によって、健康危害を及ぼす食材は製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、陳列、販売といったあらゆる行為が禁止されています。さらに国は食品衛生法とは別に、特にフグに関しては種類と可食部位については事細かに各県共通の指導しているのです。
そういったふぐを調理して供するためには、調理師免許とは別の資格が必要です。
ふぐ条例に基づき、都道府県知事が行うふぐ調理師試験(講習)において免許を取得した『ふぐ調理師』の料理したフグ料理でなければならないのです。
ところが、ふぐ調理師免許は前述のように国家資格ではないため、特段の定めのない限り、当該都道府県内のみでしか通用しない場合があるのです。
ふぐは歴史と伝統、更に地域ブランド力を持つ重要な海産物でありながら、体内の限られた部分には複数人間の致死量フグ毒を生息環境のなかで蓄積しているんです。食品衛生管理をおこなう各県保健所においても国の指針通りに、ふぐの取り扱いを指導しています。
一般鮮魚では、珍味とされる内臓や白子・真子と呼ばれる生食巣には、目が無い食通も多いのですが、殆どのふぐにおいて、肝臓(キモ)や真子(卵)は最も猛毒とされる部分。反面、白子(精巣)は無毒で可食部位なのです。
実際に大分県庁HPで『ふぐの内蔵は食べられません!!』と掲示。
http://www.pref.oita.jp/site/suishin/hugupoison.html
でもそこには、都道府県知事が行う『ふぐ調理師』資格であるが故の、地域・地域の『伝統ふぐ料理』の微妙な違いが生れてくる場合があるようなんですね。その根底には、地域の伝統食文化は地域によって保護、継承されるべき。勿論安全の検証とともにという考えが働いているのです。
この地方自治体毎の微妙なスタンスが、毒を持つ特別な魚種でありながら、古より今日まで高額であっても、また危険を冒してまで食べられ続け、決して廃ることのない『ふぐ食文化』を、現代でもスリリングなものにしているんですね。
他県の事例は詳しくないんですが、わが高知県において国で全般的に鮮魚販売を禁止ているフグ科であっても、条例において無毒とされる『ギンフグ(シロサバフグ)』等を種名を指定して一般的フグから除外し、高知の量販店や鮮魚店では『ふぐ調理師』資格なしに販売出来ています。
また現在、有毒フグでも『ふぐ条例』に基づき、ふぐ調理師が『身欠き(みがき)』と呼ばれるふぐを締めて、食用の部位を取りわける工程を経たフグの身を仕入れた場合は、多くの都道府県で、店舗に『ふぐ調理師』資格者がいない場合でも販売・料理提供が可能となっています。
でも、こういった条例が時に、ふぐに対し詳しい知識を持たない素人の勝手な判断につながり、ふぐ中毒を起こしその多くか家庭での調理に起因しているのも又事実なのです。私だって、大学で専門に学んでいるとはいえ、自宅で無毒フグを調理した経験は幾度となくあるのです。ふぐの場合、種の同定を誤れば非常に危険なのです。
さて話を元へ戻し、
大分県臼杵市では、間違いなく地域独特の『伝統ふぐ料理』において肝を無毒化させる調理方法を確立しています。その前にふぐの毒化メカニズムについて簡単に触れると・・・
全てのふぐは本来無毒であるものが、生息環境下での食物連鎖において摂取する餌料が持つ毒素を蓄積することによって有毒生物化するという説な有力視されています。実際に、完全閉鎖環境で飼育された養殖フグを特定餌料で養殖した場合、とらふぐ毒である、テトロドトキシンtetrodotoxin, TTXやサキシトキシンsaxitoxin、STXは、無毒とされる基準値を下回っていた報告例は多数あります。
でも、ふぐを無毒化成長させるメカニズムは、これによって確定されたと学術的に統一されている訳でもなく、ふぐ有毒化のふぐにとっての目的は、天敵防御だけではなくふぐ自身にとって無毒な毒素は、フェロモンとして個体間に作用しているといった説もあり、こういった報告例はふぐに限らず、様々な毒性動物において広く報告されているんです。
無毒化ふぐの養殖には飼育によって、他個体を噛みつき合う頻度の増加という新たな問題が確実に発生する事や、何らかの理由で閉鎖環境に有毒ふぐが1尾でも発生した場合、瞬く間に多くのふぐが有毒化する説もあります。ですから、養殖ふぐという条件でふぐ免許が不要になったり内臓等の不可食部分が可食となる条例の発令は今のところ有りません。
大分には有毒な、とらふぐ肝を、徐毒する伝統的調理法は存在しているのです。
そして、その伝統調理法とは細切・手揉み・煮沸の3調理工程に大別されているようです。詳細には肝臓を除毒する調理法は、細切・手揉み・煮沸の3工程全てが不可欠で、“手揉み”時間は3分間で十分なものの、“細切”はできるだけ小さくし、加熱は100℃を超える温度で行うと更に高い除毒効果が得られるとなっています。
大分県庁HP(~フグ肝臓の伝統的調理法における除毒~)より
http://www.pref.oita.jp/soshiki/13002/tiikikadai.html)。
そこには、【大分県のフグ料理専門店で、1983年以前まで提供されていた伝統食品「キモ料理」】と記述されていますから、間違いなく肝臓の除毒法は地域または、店舗での門外不出的な伝統調理法として確立、伝承されてきたのです。
実際にこの方法で、検査事例は少ないとはいえ無毒化は実証されている様でも、繰り返しますが大分県庁HPでは『ふぐの内蔵は食べられません!!ふぐの肝臓(キモ)、卵巣(マコ)等の有毒部位は絶対に食べないでください!!』と掲示されています。
ある意味分かりにくい臼杵の『ふぐ食文化』。でも、分かってしまえば色褪せる魅力は世の中にたくさんあるのです。その実、その地へ足繁く通えば必ず、地域の真の食文化に触れることはできるんですね。グルメを極める近道は勿論、常連さんに同行することなんですよ。
地域伝統の歴史深い食文化が、現代日本の食文化に真にそぐわなくなった場合、また重大な食中毒を引き起こした場合、それらの問題点は全国規模で広く速やかに情報公開・検証され、構造的問題があった場合即座に改善されるのです。危険は完全に回避しながらも、先人の残した功績もまた、守り継承する道を模索する努力も必要だと思います。和食の奥義なるものがあても良いと思うんですよ。
さて、この問題に関する皆さんジャッジは如何に。
コメント