生活ノート、担任への「叫び」記録…中2死亡

読売新聞 / 2015年7月8日 16時5分

男子生徒が担任と交わしていた「生活記録ノート」の5月13日の記述。「づっと暴力」「氏にたい」などと記されている

 岩手県 矢巾 やはば 町で、同県 紫波 しわ 郡の中学2年の男子生徒(13)が電車に飛び込んで死亡した事故で、男子生徒が4月からクラスの担任と交わしていた「生活記録ノート」の全容が8日、明らかになった。

 別の生徒からの暴力や、体調不良を繰り返し訴え、助けを求める「叫び」が記録されている。SOSはなぜ届かなかったのか。学校側は死亡にいたった経緯などの調査を始めた。

 クラス替えが終わり、2年生としてのスタートを切った4月。ノートの書き出しは7日で、「学年がスタートした1日。この今日を大切に、でだしよく、終わりよくしたい」と意欲的な記述で始まっていた。異変が起きたのは、4月中旬だった。

 〈最近、「いかれてる」とかいわれ、けっこうかちんときます。やめろといってもやめない。学校がまたつまんなくなってきた〉(4月17日)

 父親によると、生徒は4月上旬頃から「(別の生徒に)ちょっかいを出されてうざい。学校に行きたくない」などと話すようになったという。

 その後、生徒は「イライラする」「だるい」「つかれました」と徐々に体調不良を訴えるようになる。具体的ないじめの記述と共に、心理的不安も書くようになる。暗闇の中で人が迷っているイラストを添え、孤立感を訴える記述も出てきた。

 別の生徒からの仕打ちについて「しつこい」との記述が続き、6月3日には「けんかしました。ボクはついに、げんかいになりました」とつづった。

 そして担任に直接助けを求める記述が現れる。 〈次やってきたら殴るつもりでいきます。そうなるまえに、ボクを助け……〉(6月5日)

 〈実はボクさんざんいままで苦しんでたんスよ?なぐられたり、けられたり、首しめられたり、悪口言われたり!〉(6月8日)

 6月中旬には、担任が「きのう話しができてよかったです」と記載し、生徒と話をした形跡もある。

 しかしその後、テストに関する記述が続くが、約2週間後に突然自殺をほのめかす。

 〈生きるのにつかれてきた。氏(死)んでいいですか?〉(6月28日)

 最後の記述は死の6日前だった。

 〈ボクがいつ消えるかはわかりません。もう市(死)ぬ場所はきまってるんですけどね〉(6月29日)

 これに対し、担任は学校行事についてのコメントしか書いていない。

 この日を最後に、記述は途絶える。7月5日、生徒は祖父に「買い物に行ってくる」と言って外出したまま、帰らぬ人になった。

 校長は7日の記者会見で、「ノートの内容について担任から報告がなかった」と述べた。担任は体調不良だとして7日から休んでおり、生徒が記載した後にどう対応したかや、生徒との間でどんなやりとりがあったかなどについて、学校側は把握できていない。(盛岡支局 福元洋平、安田英樹)

Yomiuri On-Line

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング