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【社会】

中2死亡 見逃されたSOS ノートで暴行、自殺を示唆

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 岩手県矢巾町(やはばちょう)のJR矢幅駅で列車にひかれ死亡した中学二年の男子生徒が担任に提出したノートに同級生からの暴行や自殺を示唆する内容をつづっていた情報が、校長や他の教諭らに伝わっていなかったことが分かった。

 校長は「情報は共有できていなかった。亡くなる前に(ノートを)見たのは基本的に担任。報告もなかった」と話しており、学校側の対応が問われそうだ。町教育委員会は、いじめの有無などを調査するための第三者委員会の設置も検討している。

 男子生徒は矢巾町の村松亮君(13)。担任に提出していたのは、一日の反省などを記す「生活記録ノート」で、同級生との交友関係についての悩みを連ねていた。「ボクはついにげんかいになりました。もう耐えられません」と苦しい心中を明かした内容が記述されていても、担任の返信欄にコメントはなかった。

 別の日には「市(死)ぬ場所はきまってる」という村松君の訴えに対し、担任は「明日からの研修たのしみましょうね」と記しただけだった。

 学校によると、担任の女性教諭は村松君が亡くなった翌日の六日は出勤したが、七日からは体調を崩して休んでおり、同日の保護者説明会も欠席した。

 校長はノートの内容を、村松君の死後、父親に見せられて初めて知ったと説明。学年主任や他の教諭に伝わっていたかどうかは「調査中だ」と述べたが「情報が共有されていれば、私にも報告があったはずだ」と話し、他の教諭らも村松君の状況を認識していなかったことを認めた。

 また、この中学校では、いじめの早期発見のため、生徒や保護者からの情報収集を年数回、実施すると定めているが、本年度はしていなかった。校長は「行事などの関係でできなかった。まさに今度やろうという矢先だった」と釈明した。

 村松君の死について岩手県警は、列車の運転士などの話から自殺とみている。

 

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