PRの現実と理想の狭間でー業界歴23年、PRパーソンの試行錯誤ー

話題だけでなく、存在意義をつくる!―消費者を巻き込むPR視点のブランデッドコンテンツとは?

みなさん、いかがお過ごしでしょうか?悩めるPRパーソンの赤坂です。

広告業界、マーケティング業界では、カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバルでの受賞作品の数々が話題になっていますね。そんな華やかな祭典の話題を聞きつつ、僕は相変わらずクライアントの商売がもっとうまく行くために何がドライブになるのかと地道に考え続ける日々です。

第3回目は改めて「ブランデッドコンテンツ」について考えてみようと思います。

ブランデットコンテンツは、今では当たり前のようにコミュニケーション施策に組み込まれるようになりました。でも「PRって何?」という問いに対する回答度同じように、ブランデッドコンテンツの定義は人それぞれで、定まっていないのが現状ではないでしょうか。

だからブランデッドコンテンツという言葉だけがひとり歩きして、なかなか実効性が伴っていないように思います。

何年か前までは、「カテゴリーPR=世の中ゴト化」でザワザワさせ、「ブランド広告=自分ゴト化」で商品・サービスに紐づけて、商品・サービスの購入へと態度変容させる、というスキームが有効でした。

それが以前書いたように、SNSの普及、デジタルデバイスの多様化により情報環境が急激に変化し、マス広告が以前に比べて効かなくなってしまった。

そこで、この時代の情報環境に適した新しいコミュニケーションのスキームを考える必要が出てきたのではないか、と。だから、既存のPRや広告とは一線を画す方法論として、ブランデッドなコンテンツに注目が集まったのだと思います。

バズるだけで終わらない、ハイブリッド型コンテンツ

ただし、そのコンテンツを消費者やメディアに面白がってもらい、情報が広がっていくためには、ただブランドのメッセージをユニークなコンテンツに変換するだけでは足りません。

ブランデッドコンテンツが本当に機能するためには、そのブランドの特性やベネフィットを伝える「ブランド文脈」に加えて、社会との関わり、結びつきが想起できるブランドの世界観を訴求する「パブリックな文脈」も合わせ持つハイブリッドな接点をもった「ハイブリット型コンテンツ=パブリック文脈+ブランド文脈」であることだと思うのです。

これが、僕が考えている、パブリック・リレーションズ発想のブランデッドコンテンツです。

そのためには、ブランドが本来持っているビジョンをブレークダウンし、メッセージとして見える化し、そこに紐づけたブランドの行動設計をすることが必要です。

言い換えれば、現代の「ブランデッドコンテンツ」をつくる工程においては、パブリックな場における「存在意義」のあるブランド(事業、商品・サービス)をどう形づくり、ブランドやキャンペーンの「意義」をどう興味をもたれる形に変換するか、が重要だと思うのです。

社会での「存在意義」、情報として発信することの意味をつくることができれば、メディアはブランド名を出すことにためらいを抱きません。

僕らPRパーソンの役割のコアは、露出を目指し世の中ゴト化することではなく、ここにあるのだと最近気づきました。

例えばハイブリッド型の優れたブランデッドコンテンツとして思い浮かぶのが、タニタ「社員食堂」です。社員食堂のレシピを書籍出版したのを皮切りに、レストラン経営やお弁当販売などの事業を展開し、生活者の健康維持に取り組むタニタのブランドビジョンを鮮明に印象付け、まさに「存在意義」のあるブランドを形づくりました。

≫次ページ 「あらゆるステークホルダーのインサイトを探り当てる」に続く

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