ロシア海軍の為の第5世代多用途原子力潜水艦はモジュール方式となる

『Lenta.ru』より
2015年7月3日13時6分配信
【モジュール兵器、特殊操作】

ロシア造船業の総元締である「統合造船業営団」国家防衛発注局長アナトーリー・フョードロヴィチ・シレモフ氏(1949年10月10日生まれ、元ロシア海軍中将)へのインタビュー記事です。
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この中でシレモフ氏は、ロシア海軍の為の第5世代多用途原子力潜水艦についても述べています。
その部分を抜粋。


インタビュアー(軍事評論家イリヤ・クラムニク):新たなプロジェクトの多目的原子力潜水艦について、何か御話を伺う事は出来ましょうか?
その思想は如何なるものでしょうか?

アナトーリー・シレモフ:私共は、第5世代多目的潜水艦の外観を定める為の研究を行なっております。
基本的な原則は、次のようになります。
第1は、モジュール方式による設計。
第2は、単一基本プラットフォーム
第3は、当プロジェクトの基本プラットフォーム内の機器を最大限統一する事です。
進行中の作業の枠組みにおいて、2つのモデルが作成されます。
第1(のモデル)の主な目的は、戦略用途ロケット水中巡洋艦(戦略原潜)グループの戦闘安定性の確保、敵潜水艦との戦闘です。

インタビュアー:第2(のモデル)は、有翼ミサイル原子力潜水艦ですか?

シレモフ:完全に仰る通りです。
沿岸目標並びに水上目標を撃破する為、有翼ミサイルを搭載します。
繰り返し申し上げますと、これは単一基本プラットフォームの枠組みで作成され、その違いは、有翼ミサイル原子力潜水艦の船体にミサイル兵装区画を挿入する事です。

インタビュアー:開発者は「マラヒート」ですか?

シレモフ:我々には、2つの主要潜水艦設計局が有りますが、私達は、多目的原子力潜水艦の開発には「マラヒート」が相応しいと考えております。


インタビュー中に出てくる「マラヒート」機械製造局は、既に第5世代多用途原子力潜水艦の設計作業に取り掛かっています。
[第5世代多用途潜水艦はステルス性を重視する]
[ロシア海軍第5世代多用途原潜は複殻式船体となり、排水量は12000トン以下になるだろう]
[ロシア海軍第5世代多用途原潜は水中無人機を搭載する]
[ロシア海軍第5世代多用途原子力潜水艦の開発作業は進行中である]

第5世代多用途原潜「潜水戦闘機」とも呼ばれています。
[ロシア海軍次世代(第5世代)攻撃原潜「潜水戦闘機」計画]
この「潜水戦闘機」の主な任務は、敵原潜との戦闘や友軍の戦略原潜の保護ですが、それは、今回、アナトーリー・シレモフ氏が述べている「第5世代多用途原潜の2つのモデル」第1のモデルと同じです。

第5世代多用途原潜はモジュール方式となり、基本プラットフォーム有翼ミサイル区画を挿入すれば、第2のモデルである「有翼ミサイル原潜」に変身できるとの事です。

つまり、こういう事です。
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このアナトーリー・シレモフ氏のインタビュー記事を見た西側(アメリカなど)のメディアは、ロシア「空母キラー原潜」を造ると報じています。
『ナショナル・インタレスト』より
2015年7月6日配信
【ロシアの新たな原子力潜水艦はアメリカの航空母艦を目標とする】

しかし、元となったアナトーリー・シレモフ氏の発言を見る限りでは、必ずしも、東西冷戦時代ソ連海軍の一連の「米空母キラー原潜」を再び造るという事ではないようです。
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ロシア海軍北方艦隊の駆逐艦アドミラル・ウシャコーフはバレンツ海で砲撃演習を行なう

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
2015年7月7日11時40分配信
【駆逐艦「アドミラル・ウシャコーフ」はバレンツ海で射撃を実施する】
モスクワ、7月7日-ロシア通信社ノーボスチ

駆逐艦「アドミラル・ウシャコーフ」乗組員は、バレンツ海で海上、沿岸、そして空中目標に対する砲射撃を実施する。
北方艦隊広報サービス部長ワジム・セルガ1等海佐は発表した。

「数日中に駆逐艦の乗組員は、機雷源の克服、対潜兵器の使用、海上、沿岸、そして空中目標に対する砲射撃の実施を含む一連の戦闘演習を行ないます」
彼は話した。

広報サービス代表は、射撃には砲複合体AK-130及びAK-630が関わり、仮想敵水上艦との砲撃戦、更には高速小型目標及び浮遊海洋機雷の撃破が行なわれる事を指摘した。

艦船支隊の対空防衛演習中、砲兵器複合体により、様々な高度及び方向からの空中攻撃手段による攻撃を撃退するとセルガは付け加えた。


[ソブレメンヌイ級17番艦アドミラル・ウシャコーフ(旧ベッストラーシヌイ)]

今や北方艦隊で唯一のプロジェクト956駆逐艦となった「アドミラル・ウシャコーフ」は、度々演習を行なっており、最近では、今年6月中旬にもバレンツ海で砲撃演習を行なっています。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2015年6月15日12時22分配信
【駆逐艦「アドミラル・ウシャコーフ」は演習の為にバレンツ海へ出航した

今回の砲撃演習では、海上目標と沿岸目標への砲撃にはAK-130 130mm砲を使用し、対空射撃及び小型高速海上目標への攻撃、機雷掃討にはAK-630 30mm機関砲を使用するようです。

ロシア海軍最新戦略原潜ボレイ級7番艦はインペラートル・アレクサンドルIII(皇帝アレクサンドル3世)と命名される

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『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2015年7月6日16時04分配信
【次の「ボレイ」はアレクサンドル3世に因んで命名される】

第7のプロジェクト955「ボレイ-A」戦略ロケット艦は、ロシアで最後から2番目の皇帝アレクサンドル3世に因んで命名される。

『 Lente.ru』のインタビューに対し、統合造船業営団国家防衛発注局長アナトーリー・シレモフは伝えた。

「今年には第7のボレイの起工が待ち受けているでしょう。第8は来年になりますが、その名前は未だ選択されていません」
アナトーリー・シレモフ
は話した。
「7隻目の名前を選択するのは海軍の特権であり、正式な報告は未だありませんが、入手可能な情報によると、皇帝の名前が推薦されています。
それは、アレクサンドル3世と命名されるでしょう」

局長は付け加えた。

海軍は2013年-2014年にプロジェクト955潜水艦3隻を受領した:「ユーリー・ドルゴルーキー」、「アレクサンドル・ネフスキー」と「ウラジーミル・モノマーフ」
更に、改正されたプロジェクト955A「ボレイ-A」潜水艦が建造されている。
この内の2隻(「クニャージ・ウラジーミル」と「クニャージ・オレグ」)は既に建造中である。
2014年12月26日、シリーズの更なる1隻-「ゲネラリーシムス・スヴォーロフ」が起工された。

戦略用途ロケット水中巡洋艦プロジェクト955「ボレイ」は、海洋戦略核戦力の更新の為に意図されている。
原子力艦の水中排水量は24000トンであり、16基の大陸間弾道ミサイルR-30「ブラヴァー」を搭載する。

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以前、最後から2番目のロシア皇帝に因み、2隻の戦闘艦が命名された。
1隻目は、「ボロジノ」型戦隊装甲艦「インペラートル・アレクサンドルIII」であり、サンクトペテルブルクバルト工場で1900-1903年に建造された。
(1905年5月27日のツシマの戦いで全乗組員が戦死)
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2隻目は、「ドレッドノート」級戦列艦であり、ニコラエフ「ルッスード」工場で1911-1917年に建造された。
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1917-1918年には黒海の最後の戦いへ参加し、その後、白軍側で内戦へ参加した。

1917年、同艦は最初の名前「ヴォーリャ」を受け取り、その後、白軍艦隊の一員となり「ゲネラル・アレクセーエフ」と改名された。
1920年、「ゲネラル・アレクセーエフ」率いるロシア黒海艦隊の残余はセヴァストーポリを去り、フランス領北アフリカビゼルト港へ入った。

1924年、艦はソヴィエト連邦へ引き渡されたが、技術的条件の不良が故にロシアへ戻る事は無く、フランスで廃棄された。
戦列艦の旗はオーストラリアへのロシア移民が保有し、クリミアロシアへ編入された後の2014年秋にセヴァストーポリへ戻った。


[新世代戦略原潜ボレイ級(旧ブログ)]
[新世代戦略原潜ボレイ級]

プロジェクト955「ボレイ」原子力戦略用途水中ロケット巡洋艦は、これまでに6隻が起工され、このうち3隻が就役済みです。

1番艦K-535「ユーリー・ドルゴルーキー」は、1996年11月2日に起工、2007年4月15日に進水、2012年12月29日に竣工、2013年1月10日に就役し、北方艦隊第31潜水艦師団に編入されました。
[新世代戦略原潜ユーリー・ドルゴルーキーはロシア海軍へ就役した]
[新世代戦略原潜ユーリー・ドルゴルーキーは北方艦隊第31潜水艦師団へ編入された]

2番艦K-550「アレクサンドル・ネフスキー」は、2004年3月19日に起工、2010年12月6日に進水、2013年12月23日にロシア海軍へ就役し、太平洋艦隊第25潜水艦師団へ編入されました。
[ボレイ級戦略原潜2番艦アレクサンドル・ネフスキーはロシア海軍へ就役し、太平洋艦隊へ編入された]

3番艦「ウラジーミル・モノマーフ」は、2006年3月19日に起工、2012年12月30日に進水、2014年12月10日に竣工、同年12月19日に就役しました。
[第3のボレイ級戦略原潜ウラジーミル・モノマーフはロシア海軍へ就役した]

4番艦「クニャージ・ウラジーミル」からは改良型のプロジェクト955A「ボレイ-A」となり、2012年7月30日に起工されました。
[改ボレイ級戦略原潜クニャージ・ウラジーミルは2017年にロシア海軍へ納入される]

5番艦(改「ボレイ」級としては2隻目)「クニャージ・オレグ」は、2014年7月27日に起工されました。
[ボレイ級戦略原潜5番艦クニャージ・オレグはロシア海軍の日に起工された]

6番艦「ゲネラリーシムス・スヴォーロフ」は2014年12月26日に起工されました。
[ロシア海軍の為の第6のボレイ級戦略原潜は起工された]

今年(2015年)には7番艦の起工が予定されています。
[ロシア海軍最新戦略原潜ボレイ級の建造予算が凍結される事など無い]


2014年8月、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチン氏は、今後建造されるロシア海軍の新型艦の何れかに「インペラートル・アレクサンドルIII」(皇帝アレクサンドル3世)の名前を付けるように提案しました。
[ロシア海軍の新造艦に皇帝アレクサンドル3世の名が付けられる]

そして、今回の記事によると、現在の所、「ボレイ」級7番艦の艦名の最有力候補は「インペラートル・アレクサンドルIII」との事です。
ただ、「ボレイ」級7番艦が起工されるのは今年12月になるので、それまでに変更される可能性も有りますが。

ロシア海軍太平洋艦隊の『決闘』演習がオホーツク海で行なわれた

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
2015年7月7日10時05分配信
【太平洋艦隊の艦は仮想敵の空中攻撃を撃退した】
モスクワ、7月7日-ロシア通信社ノーボスチ

沿海地方小艦隊艦船支隊オホーツク海で、アクティブレーダー妨害及び対空防衛システムを用いて仮想敵の空中攻撃を撃退した。
東方軍管区広報サービス・情報供給部長ローマン・マルトフ1等海佐は発表した。

「親衛ロケット巡洋艦ワリャーグ、駆逐艦ブイストルイ、大型対潜艦マルシャル・シャーポシニコフ、アドミラル・ヴィノグラードフで構成される沿海地方小艦隊艦船支隊は、アクティブレーダー妨害及び対空防衛システムを用いて仮想敵の大規模な空中攻撃を撃退しました」
彼は話した。

広報サービス代表は「決闘」の一戦はオホーツク海で行なわれ、「敵」の役割はカムチャツカグループ艦艇支隊が演じた事を付け加えた。


[ロシア海軍太平洋艦隊の親衛ロケット巡洋艦ワリャーグとカムチャツカの小型ロケット艦部隊の『決闘』が行なわれる]

今回のオホーツク海『決闘』演習へ参加したのは、ロシア太平洋艦隊沿海地方小艦隊カムチャツカ方面部隊(北東軍集団)の以下の艦です。

[沿海地方小艦隊艦船支隊]
親衛ロケット巡洋艦「ワリャーグ」
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駆逐艦「ブイストルイ」
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大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」
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大型対潜艦アドミラル・ヴィノグラードフ」
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[カムチャツカ艦艇支隊]
小型ロケット艦「モローズ」
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小型ロケット艦「イネイ」
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小型ロケット艦「スメルチ」

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この両部隊が敵味方に分かれ、カムチャツカ艦艇支隊小型ロケット艦3隻は対艦ミサイル「マラヒート」を発射し、沿海地方小艦隊艦船支隊は電波妨害を仕掛けながら全ての対空兵器(ロケット巡洋艦「ワリャーグ」:高射ミサイル複合体「フォルト」、「オサー-M」、AK-630 30mm機関砲、大型対潜艦2隻:高射ミサイル複合体「キンジャール」、AK-630 30mm機関砲、駆逐艦「ブイストルイ」:高射ミサイル複合体「ウーラガン」、AK-630 30mm機関砲)を使用し、対艦ミサイルを撃墜しました。

ロシア海軍太平洋艦隊の親衛ロケット巡洋艦ワリャーグとカムチャツカの小型ロケット艦部隊の『決闘』が行なわれる

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『タス通信』より
2015年7月6日11時22分配信
【太平洋艦隊の艦は演習でミサイル「決闘」を行なう】
モスクワ、7月6日/タス通信

カムチャツカ連合部隊及び沿海地方小艦隊の艦船グループは太平洋「決闘」を行なう-ロケット巡洋艦「ワリャーグ」率いる支隊は、小型ロケット艦の攻撃演習を撃退する。
7月6日、東方軍管区広報サービス代表ローマン・マルトフ1等海佐は発表した。

「対空防衛演習中、小型ロケット艦モローズ、イネイ、スメルチは対艦ミサイル"マラヒート"発射を実施します。
それは親衛ロケット巡洋艦ワリャーグ率いる沿海地方小艦隊艦船支隊の為の低高度の高速小型目標をシミュレートしており、全ての対空防衛手段を用いて仮想敵の空中攻撃を撃退します」
マルトフ
は説明した。


カムチャツカ方面(北東軍集団)ペトロパブロフスク・カムチャツキー港には、太平洋艦隊所属のプロジェクト12341小型ロケット艦4隻(「スメルチ」、「イネイ」、「ラズリーフ」、「モローズ」)が駐留していますが、今回の演習には、この内の3隻が参加します。
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そして、太平洋艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦「ワリャーグ」率いる沿海地方小艦隊部隊との「決闘」-小型ロケット艦から発射される対艦ミサイル「マラヒート」を全ての対空兵器を使って撃墜する-が太平洋上で行なわれます。
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対艦ミサイル「マラヒート」は2008年8月の南オセチア紛争において実戦使用されており、グルジア警備艇1隻(ゲオルギー・トレリ)を撃沈しています。
[アブハジア沖海戦(仮)続報・その3]
[アブハジア沖海戦「詳細」]