>  > 【必読】恐怖の冤罪 ― 検察の証拠隠蔽と闘った男

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 もしも突然、身に覚えのない事件で逮捕されてしまったら……。おそらく、そこには2つの道しか残されていない。「やりました」と認めて刑の軽減を狙うか、否認して裁判で徹底的に争うかだ。

事件概要/前編はコチラ ※後編からでも面白いです!】

■誰の身にも起きる可能性がある“引っ張り込み”

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当時のことについて語る内田さん

 埼玉県在住の中古車販売業・内田浩樹さん(38)は、後者を選択した。過去に3度も身に覚えのない事件で起訴され、すべて否認を貫き、1件は1審で無罪判決、もう1件は最高裁まで争って懲役1年10か月の有罪判決、そして最後は1審の懲役2年6か月を高裁でひっくり返す逆転無罪という結果だった。人生で2度も無罪判決を勝ち取った人は、日本で内田さんしかいないかもしれない。

 3つとも、似たような犯罪だった。詐欺事件を起こした犯人が「内田に指示された」と供述し、首謀者として逮捕されるという形だ。これは刑事事件の世界で「引っ張り込み」と呼ばれるもので、刑の減免を狙う犯罪者がよく使う手口だという。「自分の意志ではなく、命令されて仕方なくやった」という構図にすれば、刑が軽くなるのだ。

 内田さんを陥れたのは、それぞれ「昔の仕事仲間」「一度だけ会ったことのある人」「まったく知らない人」という間柄の相手だった。ここからわかるのは、「いつ、誰に、どのような形で巻き込まれるかわからない」ということだ。引っ張り込みは誰の身にも起こり得る、非常に恐ろしい犯罪だと感じた。

 前編では、内田さんが逆転無罪を勝ち取った事件のあらましを紹介した。特に有罪判決が下された1審では、裁判素人の筆者にもずさんに映る審理が展開されていた。自身のアリバイを証明しても、犯人たち(後藤や小原)のあやふやな記憶によって“のれんに腕押し”となり、検察が強引に組み立てたシナリオは、いくら矛盾点を指摘してもビクともしない……。

 内田さんは、そんな裁判をどうひっくり返したのか。ポイントは“執念”と“運”だった。


■手書きで50枚! “執念”の控訴趣意書

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すべて内田さんの手書き「控訴趣意書」

 1審のあと、内田さんは有罪判決を不服としてすぐさま控訴した。このとき、1審で十分に検証されなかったポイントをまとめた「控訴趣意書」というものを提出した。その数、A4のレポート用紙で50枚。刑務所には使えるパソコンなどないため、すべて手書きである。

 膨大な証拠書類を端から端まで読み込み、後藤や小原供述のほころびを洗い出し、それをポイントごとに整理し、論理的に記述していく──。そうしてまとめた趣意書のコピーを筆者も見せてもらったが、まさに執念としか言いようのない迫力を帯びていた。

 また、高裁の裁判官にも恵まれた。担当となったのは、第4刑事部の小川正持裁判長。2012年に「東電OL殺人事件」の再審や小沢一郎「陸山会事件」で無罪判決を出した、知る人ぞ知る“人権派”の裁判官だ。

 内田さんも、「この人でなければ、ここまで控訴趣意書を丹念に読み込んでくれなかっただろう」と語っている。確かにこの先の展開を見るに、小川裁判長なくして無罪はなかったかもしれない。

 とはいえ、担当が小川裁判長になったのは単なる偶然に過ぎない。被告人が裁判官を選べるわけではないからだ。先ほど“運”といったのは、この点だ。


■「すみません。嘘をついてました」とまさかの白状

 高裁では、極めてスリリングな逆転劇が展開された。その端緒となったのが「証人の再尋問」だ。後藤と小原を再び呼び出すというのは、小川裁判長が1審の審理に疑問を持っていることの証左である。これは刑事裁判において極めて異例のケースで、ここから裁判の風向きが一気に変化していく。

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