オリジナルTシャツを作りたいけど作らない
この記事の目次
自分のオリジナルグッズが欲しい
モノを創る人なら誰でも「オリジナルグッズを作りたい」と考えることがあると思います。
そしてオリジナルグッズで真っ先に候補に挙がるものの1つがTシャツではないでしょうか?
例えば、イラストを描く僕の場合で考えても、自分のイラストがプリントされたTシャツがあれば、自分でも着てみたいですし、街中ですれ違う人が、僕のイラストのTシャツを着てたりするなら、やっぱりそれはすごく嬉しいことなのです。
僕は長い間、インディーズバンドの物販用のTシャツを、いろいろなバンドでたくさんデザインしてきたので、デザインを手掛けたTシャツを、ライブ会場でみんなが着ているのを見るのははとても気分が良いものでした。
というわけで、オリジナルTシャツを作る方法などについて考えてみたいと思います。
Tシャツと言えばTシャツくん
オリジナルTシャツを作るだけの話であれば、Tシャツは他のグッズを作るよりはずっと簡単で低コストで作ることができると思います。印刷物のように数千単位で印刷しないと単価を安くできないものに比べると、Tシャツは少数でも作れますし、売値がそこそこ高くても、Tシャツの場合は許されます。
しかし、業者さんにお願いすると、シルク印刷のための版代が高いので、少数と言っても数百単位で作らないと、なかなか採算の乗る金額までは単価が下がりません。
Tシャツくんを使うと手軽で単価を安くTシャツが作れる
そこで「Tシャツくん」という、家庭用のシルクスクリーン印刷用の安価な機械を使うと劇的に単価を下げることができます。
しかし、家庭用はあくまで家庭用なので、手軽な反面、業務用(販売用)で使うとなるといろいろと問題もあります。
Tシャツくんは時間と労力が必要
以前、Tシャツくんを購入して、オリジナルTシャツを販売していたことがあります。
その経験からの答えなのですが、販売用としてTシャツくんを使うのはちょっとオススメできません。
と言うのも、Tシャツくんでの制作は、制作に費やす時間も労力も大変なものです。
販売に耐えうるような安定したクオリティを保つのは非常に難しいのでロスも多くなります。
最初はそれでも良いのですが、あまりの労力の多さに「自分は何をしたいんだろう?」というような疑問が沸いて来ます。
しかも、作業はプリントするだけではありません。プリントしたら乾燥させて、アイロン掛け、その後に袋詰めをするなど、たとえ小規模だとしても、「Tシャツ屋さんになる」という覚悟がなければ、ちょっと無理が生じてきます。
そんなこんなで、非常に非効率で、ストレスも多いため、すぐに止めてしまいました。
しかしながら、Tシャツくんの名誉のために付け加えさせてもらいますが、趣味として、自分自身のためや、知人等へのプレゼントとして使う分には、非常に面白くて楽しめるオモチャだと思います。
Tシャツ業者に頼むのはどうだろう?
自作が無理となると、安定した品質で仕上げてくれる上に、アイロンがけや袋詰めやまでしてくれて納品してくれる業者さんに発注した方が、断然良いということになります。
もうこれは、売り物として見た時に、手間隙を別としても、業者さんにお願いする方を断然おすすめします。
しかし、業者さんに頼めば、品質的には間違いのないモノができるのですが、問題がないわけではありません。
Tシャツの業者さんに頼めば、品質面での安心感や、納品されたものをそのまま販売できるのというメリットがありますが、デザインをプリントするための版代が高いため、小ロットだと単価が高くなってしまうのです。
最低でも100枚単位で作らないと、原価が高くなりすぎて販売しづらくなってしまいます。
しかも、版は1デザインにつき1版が基本。
別のデザインを作りたいと思うと、また別の判を作らなければいけません。
さらに、色数が増えると、色数の分だけ版も増えるので、カラフルなデザインのTシャツの場合は、さらにロットを増やさなければ、採算が取れなくなってしまいます。
Tシャツを売るには考えなきゃいけないことがたくさん
いずれにせよ、Tシャツを「作る」までなら、Tシャツくんや業者さんにお願いするなりで簡単にできてしまいます。
しかし、作った後には売らなければいけないのは当然のこと。
Tシャツを作った時に、本当の問題となるのは「売る」ということなのです。
Tシャツはバリエーションが多い
1つのデザインのTシャツを作る場合、図柄のデザイン以外のことも考えなくてはいけません。
サイズ
キッズサイズ、レディースサイズ、S、M、L、LL、XLなど色々なサイズがあります。
同じデザインでも、サイズによって売れるものと、売れないものがでてきます。
つまり、サイズの展開を間違うと、大失敗をしてしまうことになります。
カラー
ボディとなるTシャツ本体の色を考えなくてはいけません。
全色展開といきたいところですが、単価も上がってしまうのでそう簡単に色は増やせません。
プリントの色にしても、様々な色を選べます。
色の選択次第で、ものすごく売れるかもしれないですし、全く売れなくなってしまうかもしれません。
ボディの型
一番簡単なのは問屋さんで扱っているanvilやprintstarなどの有名メーカーのシャツを使うことです。
ある程度の品質も解っているので、利用しやすいのですが、問題はボディのデザインにバリエーションが無いこと。
Tシャツも同じに見えて、毎年少しずつシルエットが変わっています。
タイトなものが流行ったり、ルーズなものが流行ったりいろいろです。
ド定番のTシャツをボディに使うと、それだけで全く見向きもされなくなる可能性もあります。
ボディの品質
ド定番品でも品質はいろいろです。
原産国によっても品質や風合いが変わります。
ブティックで売っているような品質の良いものになると、当然単価は高くなります。
かと言って、安いボディで済ませると、一二回着ただけでダルダルになってしまって、信用も無くしてしまいかねません。
在庫の保管の問題
在庫の保管の問題も大きな問題です。
あくまで売り物ですから、劣化すると売れなくなってしまいます。
日光は劣化の原因になりますから、基本的に倉庫等太陽光が入りづらい場所での保管になると思います。
衣類ですから臭いもつきます。
シワも出来ないようにしなくてはいけません。
ほかにも、図柄のデザイン以外で考えなきゃいけない事がたくさんあるわけで、マーケティングを間違うと図柄のデザインは良くても、ボディが駄目だから全く売れないなんていう事にもなりかねないのです。
いろいろ考えると作らない方が良くなる
結局のところ、オリジナルTシャツを作ることが他のグッズに比べて敷居が低いにしても「イラストレーター」の立場で考えると、全くの専門外のことが多過ぎて、おいそれと手を出さないのが無難ということになり、『オリジナルTシャツを作る』という野望はどこか遠くの彼方に消えてしまうのです。
Tシャツ分野の新たなビジネスチャンス
先日、某オリジナルTシャツ販売サービスを行っている会社から会員登録のお誘いメールが届きました。
ノーリスクでTシャツ販売できるサービスがある
実は、その会社からは、ずっと以前にも一度お誘いをいただいていました。
しかし、当時は、システムやクオリティの面で合致しない部分が多く、お断りをさせていただきました。
それが約6年の月日を経て再びお誘いいただいわけで、懐かしいなあと思いながらメールに目を通してみると、当時、最もネックになっていた品質やシステムなどをはじめとして、大幅に改善されていて、Tシャツ製造業界の事情が当時と比べて大きく変わっていることを知りました。
新しいサービスは、図柄のデザインを提供すれば、あとは製造、販売、発送などの面倒な作業の全てを代行してくれるというもので、Tシャツが売れれば、売上に応じたマージンが支払われるシステムになっています。
デザインを提供するだけで、オリジナルTシャツの販売が可能になるだけではなく、登録料も無料で、在庫を抱えなくて良く、1枚目が売れた時点で即収入になるということで、ノーリスクで開始できる、魅力的なサービスのように思えました。
オリジナルTシャツ販売の同業他社がいくつかありました
かなり条件の良いお話なので、少しばかり疑う気持ちもありました。
そこで調べてみると、同様のサービスをおこなっている会社は既にいくつかあって、基本的にはどこも似たようなシステムでTシャツの制作と販売が行えるようになっていました。
大抵がTシャツ印刷会社がオンラインショップでおこなっている新しいビジネスモデルのようで、登録して販売している人の数も結構多いことから、それなりに盛況な様子が伺えました。
システムの条件的には以下のような感じです。
・登録、出店、販売、維持費無料
・価格の設定は販売車が自由に設定できる
・基本価格(サービス提供会社取り分。本体、印刷代など)+自分の利益=販売価格として決定する
・デザインの複数登録可能
・Tシャツ以外への展開も可能(マグカップなど)
登録した商品を自分のホームページで紹介して訪問者に買ってもらうこともでき、全てが自分のオリジナルグッズで構成された夢のショップを、ほとんどリスク無しで始めらるという、夢にまで見たワクワクなサービス。
本当に一昔前では考えられないような非常に嬉しいサービスだと思いました。
だけどやっぱり僕はここにも登録はしませんでした。
僕がTシャツを作らない理由
オリジナルTシャツ作成サービスのシステムや条件を見れば、すぐにでも参加してみたいくらいなのですが、以下のような理由で参オリジナルTシャツの販売を断念しました。
パロディが多い
パロディ作品が非常に多いです。
あまりに多過ぎて、どこまでがオリジナルか分からないくらい多いかもしれません。
パロディはオリジナルがあってこそのものだと思うので、オリジナル抜きにその作品を考えると、創作という点での評価ができず、個人的にはなかなか受け入れがたい分野です。
実際問題として、パロディは一般受けしますし、ネタとして成立しやすいですし、それなりに売れますから、この手のサービス、パロディ作品が溢れてしまうのは仕方ないですし、宿命だとも思います。
ただ個人的には、その中に自分のオリジナル作品を混ぜ込みたくない、という気持ちが強くあります。
Tシャツボディの型
ファッションの定番のTシャツと言っても、毎年少しずつ型が変わってるんですよね。
しかしながら、オリジナルTシャツサービスで使われるTシャツの型は超定番がほとんど。
いわゆるブティックなどで販売されているTシャツとはシルエットが明らかに違うんですよね。
ほんとにド定番な型のものしかありません。
まぁメンズはそれでも良いのですが、レディースで考えると、さらにデザインが豊富なので、ド定番のださださTシャツでは100%NGでしょう。
イラストの系統的に、主に女性向けのデザインでやっていく感じになる僕の場合だと、それだとちょと厳しいはずです。
いわゆるロックTシャツは、このド定番のTシャツで作るのが当たり前みたいな感じなので違和感が無いと言えば無いですし、メンズであれば、いけるデザインではあるのでしょうけど。
売れないだろうな、という思い
そして最大のブレーキは、作ってみたところで「それほど売れないだろうな」と僕自身が思っているからです。
いや、ちょろちょろは売れるとは思います。
じゃないとこのサービス自体が成り立たないでしょうし、成り立っているってことは、それなりに売れているからでしょうし。
ただ、それはやはり見ず知らずの一見さんが買うのではなく、おそらく作者本人、あるいは周りの人が買っているのが売り上げの殆どじゃないか。という気がしています。
個人が作ったオリジナルTシャツなんて何のブランド力も無いわけですから、宣伝しないで売れるわけはないですよね。
逆に考えると、売れるようなブランド力を既に持っている人は、このサービスを利用しなくても良いわけでなのです。
魅力的なサービスなのは間違いない
とは言いつつも、オリジナルTシャツ作成サービスは、非常に魅力的なサービスだと思います。
ノーリスクですぐに商品化できて、あわよくばお金にもできる。
モノを作る人間にとっては、こんな素晴らしいサービスはないと思います。
僕自身はすぐにサービスを利用する事はなさそうですが、デザインカンプを出力するノリで、サンプル作成するようなサービスとして考えれば全然利用価値はあると思います。
Tシャツって平面でデザインした時と、実際着てみた時とでイメージが違うってことが多々有りますからね。
まとめ
以上のような理由から、今現在で、僕自身がオリジナルのTシャツを作ることは無さそうですが、Tシャツ作成サービスをはじめとして、ほんの数年前と今とでは、大きく状況が変わっているので、今後も画期的なサービスが出て来ることも考えられます。
そして、新しいサービスが出てきた時は、いち早く飛び乗った方が断然有利になると思うので、この手のサービスには今後も注目しておいて、新しいチャンスに備えておきたいと思います。
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