2015年の夏アニメが放映されはじめて一週間、まだまだ一話がすべて出揃ったわけではないけれど、七月八日時点で、「のんのんびより リピート」「戦姫絶唱シンフォギアGX」「Charlotte」「ガッチャマン クラウズ インサイト」などとともに、とても面白かったのが「GANGSTA.」という作品です。
「四大父」と呼ばれる四つのマフィアの協調によって支配されている犯罪都市エルガストルムで便利屋をやっているウォリックとニコラスが街の秩序を揺るがし始めた新興組織を潰す、という話でとりあえず血と暴力、金と女とクスリがこれみよがしにケレン味たっぷりに描かれた一話でした。「BLACK LAGOON」や「ヨルムンガンド」などと似た雰囲気を感じる人も多いようです。
拳銃バカスカ撃ちまくるマフィアの三下たちを日本刀片手にばったばったと斬り殺していくって構図は、リアルとは程遠いことはわかっていても、やっぱり観ていてい気持ちいい。殺陣の描き方、派手さは無いけどシャープでカッコ良かった。マフィアからの仕事を便利屋に仲介するのが警察官というのも大好物な設定です。こういうギャング物ではやっぱり警察は腐敗してナンボというか(笑)チャド警部が世間知に長けて偉そうにしつつも、ちょっと突かれるとすぐにボロを出して小物感全開になるあたり、好き。このおっさんに萌えればいいんだな。あと、OP/EDもスタイリッシュでかっこいい。
特筆されるのはやはり主人公の一人ニコラスが聴覚障害を負っていることで、作中でも繰り返し手話が描かれ、また、聴覚障害にともなう構音障害特有の喋り方をするシーンが後半のクライマックスで一つの見せ場として描かれています。ここの台詞回しが非常に素晴らしい。構音障害については、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所「構音障害とは?構音発達とは? – ☆ネットで学ぶ発音教室!」に、構音障害の誤り方の表があるのですが、作中の台詞の発話もこれに近い印象があります。
独立行政法人国立特別支援教育総合研究所「構音障害とは?構音発達とは? – ☆ネットで学ぶ発音教室!」より
エンドロールによれば、手話監修として東京都聴覚障害者連盟が入っており、またニコラスを演じた津田健次郎さんのツイートによると、役作りで喋り方を取材したとのこと。
僕や監督が聴覚障害者協会さんで喋り方や手話を取材させて頂いて作ってる作品です!先ずは関西!是非! RT @GANGSTA_Project: 本日深夜2時44分~ABC朝日放送を皮切りに放送がスタート!関西以外の方は→ http://t.co/RxJlnLVGGb #ギャングスタ
— 津田健次郎 責任編集本『EDGE』発売 (@tsuda_ken) 2015, 7月 1
ハードボイルドなエンタメ作品であると同時に、聴覚障害者というキャラクターと丁寧に向き合った作品であることが伺えます。こういうディテールへの誠実なこだわりは、前期の「響け!ユーフォニアム」(津田さんも出てましたが)なんかもそうですが、作品のクオリティを確実に上げるなぁ。
海外でも配信されているようで、MyAnimeListのGANGSTA.一話のスレッドを読んでも非常に好評で書き込み数も非常に多く相当盛り上がっているようですね。特に英語圏の手話と日本語手話(JSL: Japanese sign language)の違いに興味を持ったという書き込みや、聴覚障害者をメインに描いたアニメ作品がこれまで少なかったので歓迎するといった書き込みもみかけます。どこか海外の感想翻訳ブログが訳して欲しいな。
公式ページの情報を見る限り、ただのマフィア物ではなく、特殊能力をもったバトル物、PVに曰く「マフィアンファンタジー」という方向に進むようでもあり、この一話の雰囲気が好きなので、今後どうなるのか多少の不安もいだきつつ、引き続き楽しみにしたいと思います。
一話は7月9日23:30からニコニコ生放送で配信(アーカイブ無し)、ほかバンダイチャンネルなどでも配信されるそうなので、見逃した方にはおすすめしたい。
BD/DVDが単巻とBOXが両方ともすでに発売時期発表されているの珍しい。一巻発売から約半年後か。
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原作は基本的にアニメを最後まで見てから読んでみる派だけど、どうしようかな。
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