盗作の発覚から和解に到った経緯

(大半の文章はmixi上の「盗作コミュ」に書いたものを転載)

2007年1月31日

ある読者の方から、メールをいただいた。
-------------------------------
『(前略)
美姉妹 秘蜜交姦
著者 綾波 美夏  あやなみ みなつ

http://www.digbook.jp/product_info.php/products_id/7242
(現在は閉鎖)

上記の本が出だししか見れないのですが、安達様の同名の本と
まったく同じ文章でしたので、ご報告させていただきました。(後略)』

--------------------------------
早速、このリンクを辿って行ってみると……。
ここに挙げたような事になっていました。
さっそく、同じ題名の自著を開いてみると……。
全く同じです。各章のサブタイトルまで同じ。
これは、1995年1月に出版された勁文社グリーンドア文庫「美姉妹 秘蜜交姦」そのものです。
小生は、至急、この電子出版をしている「でじたる書房」の責任者にメールを出しました。

「貴社で販売している、「美姉妹 秘蜜交姦」は私が1995年に勁文社グリーンドア文庫から出版したものと全く同じです。
これは、パピレスから電子出版されているので、貴社から出版している『綾波 美夏』という人物が、完全にコピーしています。
しかるべき処置をして頂けない場合、電子出版元の「スタジオグリーン」とも協議の上、しかるべき法的措置を取らせていただきます。
これは明らかな盗作です。『綾波 美夏』という人物は、著作権という考え方を持たない素人なのかもしれませんが、悪質です。
速やかな返答をいただきたく存じます」

このあと、勁文社の電子出版を事実上継承している「スタジオ・グリーン」にもメールで連絡しました。
そして、メールだけでは反応が鈍そうだし、無視される可能性もあったので、この「でじたる書房」サイトの運営会社に直接電話しました。
相手がシラを切ったりのらりくらりとかわすようなら、こっちもそれなりの対処をする覚悟はした上で話すと、相手はこちらの言い分をすんなり呑んで、

「判りました。この作者のすべての作品(安達作品以外にも多数の官能小説を「私の作品」として販売していた)を販売停止して、本人から事情を聞きます。その経過については、適宜お知らせします」

と、きちんとした態度でのきちんとした対応がありました。事実、即座にその措置が取られて、現在は該当する部分はみられなくなっています。
相方はタイトルを検索して、海堂剛氏、雨宮慶氏、佳奈淳氏の作品も多数デッドコピーされている事を洗い出しました。まだネタ元不明なモノも多いので、参考までに相方が洗い出した本当の作者別にタイトルを挙げておきます。

(安達瑶作品)
美姉妹 秘蜜交姦

(海堂剛作品)
平成凌辱女学園 海堂剛
美少女ハードレイプ 媚肉の祝祭  
恥虐姉妹・レイプ&レイプ  
レイプ女子体操部 引き裂かれたレオタード
セーラー服と看護婦 十六歳&十九歳・邪淫のレイプ刑
セーラー服と女校医 狂った課外痴漢実習

(雨宮慶作品)
魔淫のオフィス OL美肉市場

(佳奈淳作品)
隷嬢レイプ! 美人女子大生・魔悦の夜

(調べてない)
セーラー服凌辱委員会
私立凌辱高校 セーラー服&女教師
若妻飼育室
女教師・奴隷志願
女子高生ダブルレイプ 悪魔の凌姦
制服レイプ
美人社員・屈辱通勤 悪夢の痴漢地獄
魔淫のオフィス OL美肉市場
制服美少女・輪姦解剖倶楽部
姉奴隷
継母・二十九歳の寝室ーー濡れた下着の魔惑
妹・禁姦

 下手人は、タイトルもまんま使っているので、お心当たりのある方は、小生にご連絡くださるか、直接、「でじたる書房」に説明を求めてください。
 なお、現在は、すべて販売停止になっております。

この件に関しては、明日以降、関係各所と連携して、しかるべき措置を取るよう、準備しています。
相手が素人さんでも、これは放置しておけません。完全に盗まれたのですから。
小生としては、しかるべき形で、早々に収拾して欲しいと願うばかりです。しかし、ヘンな事になれば、おおそれながらとしかるべきところに訴え出ることに躊躇しないつもりです。
金銭の問題ではなく、権利の侵害の問題です。どうせ下手人の綾波某は殆ど儲かっていないと思いますが、世の中には著作権というものがあって、それは畑から作物を盗むように、店から品物を盗むように、他人の著作物を勝手に自分の物のように利用してはいけません。もちろん無料で公開しても駄目。
現時点では、こちらから、この件の張本人とは直接接触しないでおきます。こっちの言葉が通じなくてひどく不快な思いをするのは嫌ですから。

追記1
上記の作品リストのうち、不明だった分の本当の作者が判りました。
『美人社員・屈辱通勤 悪夢の痴漢地獄』雨宮慶
『制服レイプ 』雨宮慶
『セーラー服凌辱委員会』海堂剛
『私立凌辱高校 セーラー服&女教師』海堂剛
『女子高生ダブルレイプ 悪魔の凌姦』海堂剛
『制服美少女・輪姦解剖倶楽部』海堂剛
『女教師・奴隷志願』佳奈淳
『姉奴隷』鬼頭龍一
『継母・二十九歳の寝室――濡れた下着の魔惑』櫻木充
こうしてみると、一番の被害者は海堂先生のようです。

追記2
『処女姉妹恥辱』矢切隆之
『花芯くらべ』宇能鴻一郎
『若牝の匂い』園ひとみ
『妹・禁姦』影村英生
『若妻飼育室』影村英生
『姉奴隷』鬼頭龍一
を盗作されたリストに追加しておきます。

2007年2月1日

上記の事を記した「盗作コミュ」をmixi上に作る。安達の日記ブログだけに書いたのでは周知されないだろうと思ったため。

でじたる書房のサイトに、「おわび」が掲載される。

2007年2月2日

でじたる書房より、HPに掲載された物と同じ内容の「おわび」が書面で届く。

2007年2月3日

mixi上の「でじたる書房コミュ」にてこの件の啓発を行った安達Bがコミュの主催者(でじたる書房をエージェントとして出版が決まったらしい人物)から退会を勧告され、以後の発言も禁止され、仲間にも退会しろと言っておけと言われる。

2007年2月4日

安達Oに、でじたる書房のK氏から電話。しかし電話でやり取りすると、「言った言わない」が発生すると困る。なので、メールか文書でのやり取りにしてくれるようお願いする。しかしまあ、少し話して、でじたる書房側もいろいろと調査をしていて、その結果の一端を聞く。この件について連絡をとって来てやり取りしているのは安達Oだけらしい。フランス書院側には謝罪と説明とこれまでの経過報告をしたのだが、まだ返事がない、とでじたる書房のK氏。
また、「スタジオ・グリーン」は連絡先が判らないので連絡していないと。パピレスを介して旧グリーンドア文庫の電子出版をしているところだと言う説明をしたはずだが。
とにかく、一度逢って話をする事にするが、関係者と同席したいので、調整して返事する、という事で電話を切る。

2007年2月5日

昨日の安達Oの日記を読んだフランス書院の某氏からメールをいただいた。
「でじたる書房から連絡は受けていない。フランス書院が何もしないかのような印象を与えるのは心外だ」
とのことだが、でじたる書房側からは「金曜に謝罪のメールを出している」との答えが返ってきた。某氏については信頼すべき人物だと思っているし、フランス書院は必ずや有効な手を打って、このような卑劣な権利侵害の再発を防ぐべく動いてくれると信じているが、アタシとしては、後はもう知りません。フランス書院とでじたる書房の社内問題に一切首は突っ込みません。事の真相については、当方のあずかり知らぬ事。あとは当事者同士、やってください。アタシは自作の権利侵害についてのみ、対処します。言いたい事はいろいろあるけど、ぐっと堪えましょう。これ以上、こっちの利害に関らない事についてイジリたくないし。

2007年02月06日

朝、でじたる書房に「あの謝罪文では、何がなんだか判らないから、とにかく盗作が確定している安達の名前と作品名を明記せよ」とメールしたら、すぐに反映された。どうもでじたる書房と言うところは、指示待ち世代と言うかマニュアル世代と言うか、そういう人たちの会社のような気がしてきた。言われた事は素直にやるけど、想像力がイマイチ欠けるというか、社会常識がイマイチ欠如しているというか。フランス書院某氏からは、昨日とは打って変わって穏やかなメールが来た。でじたる書房からメールは来ていたのだが、手違いで削除していた、と。

朝、安達Bはmixi経由で以下のようなメールを送信しました。

宛 先 : 綾波美夏
日 付 : 2007年02月06日 10時50分
件 名 : おわびしてくれたらもういいです
綾波美夏さま

ネット上であやまってください。そうしたらライブドアに抗議したりしません。mixiにもこれ以上通報したりしません。外部ブログを閉じる必要もないです。
というかむしろ閉じないでください。

これ↓をあなたのブログのトップにそのまま貼ってくれるだけでいいです。早ければ早いほどうれしいです。
----------
【おわび】
安達瑶様

安達瑶サマが書いた『秘蜜交姦』というポルノ小説を、綾波美夏が、自分がかきましたといって電子出版で売ってしまったことをおわびします。悪いことだってわかりませんでした。悪気もなかったです。安達サマのほかにもパピレスという会社とスタジオグリーンという会社にも迷惑をかけてしまいました。盗んだのは一作だけなので、訴えるなんてゆわないで許してください。安達サマの作品を盗むことはもう二度としません。ごめんなさい。
------

こっちも裁判なんて面倒なことにはしたくないので、よろしくお願いします。

(ほかの作家さんたちはともかく安達は証拠の画面をキャプチャーしているので、わりと簡単に裁判にできます)

こんなことは早く忘れてお互い楽しいネットライフに戻りましょう。

その夜、以下のような文章が綾波ブログのトップページに掲載された。

大変失礼しました
このたびはいへんしつれいなことをしてすみませんでした。
ほかの作者様に大変なことをして失礼しました

なんともお詫びを言えばきませんが、ほんとうにすみませんでした。

このブログは更新を一時的に停止します
コメント欄にあった私の名前がありましたがこれはわたしではありません

2007年2月7日〜9日

でじたる書房側と面談するための諸準備。

2007年2月10日

本日、でじたる書房側と面談しました。
出席したのは、安達ズと園先生、「スタジオ・グリーン」のT氏。そして電子出版パピレスのお二人。そしてそして、でじたる書房側は、親会社というか母体の会社の社長K氏。
K氏はほとんど、「ご要望は承り、社に持ち帰って検討する」姿勢だったので、ハナシは何も決まりませんでした。
ただ、判ったのは、
・でじたる書房側は、女子高生と称する人物が長編官能小説を短期間にたくさん売りに出すので「ヘンだな」とは思ったが、そのままネットに流した。
・作者の本人確認は、していない。自己申告のまま。
・綾波の売り上げはすべて返金する。
ということくらいのもの。
綾波と称する人物の特定と、その正体、その人物への責任追求については、こちら側の今後の作戦もあるので、今日の話し合いの結果と合意については、当面、伏せておきます。この辺が一番面白い部分なので、まことに残念ですが……。

そして、フランス書院側とは切り離して、別個の対応をしていく事を確認しました。

そして、当面は、でじたる書房の責任において、各種精査を行う、という約束を取り付けました。肝心な部分をぼかして書いているのは、わざとです。精査の支障が出ないようにというこちら側の配慮です。

個人的感慨や見解はありますが、当面はでじたる書房の誠意ある対応を見守ることにします。

今日の面談について、この程度の事をネットに書く了解も得ておりますし、取材を受けてもよいとの了解も関係各位から得ました。

追記(安達B)

日時:2007年2月10日午後四時より
場所:新宿紀伊国屋本店近くの某コーヒーショップ

(質問)=安達を含む今回の件の関係者総勢6名側による質問
(解答)=でじたる書房の経営母体、メディアネット代表取締役近藤氏による解答
(感想)=安達Bが感じたこと
--------
(質問)登録され販売されたファイルの内容は確認しているのか?
(解答)公序良俗に反する内容がないか、つまり人を誹謗していないか、アダルトな表現がないかは確認している。著作権は著者に帰属するのでチェックはしていない。
(感想)商業出版に関しては、出版物の内容に関して訴訟になった場合、出版社も一緒に訴えられるものだということが全く理解されていない。たとえば原稿を読んだ編集者が、これこれの表現は差別と取られるおそれがあるので言い換えてもらえませんか?みたいなことを校正段階で著者に言ってくるのはそのためなのにね。

(質問)綾波美夏の、でじたる書房へのライター登録の日時は?
(解答)2006年9月。

(質問)自称18歳の女子高校生が(数ヶ月という)短期間に20タイトル以上もの官能小説を登録したことに疑問は持たなかったのか?
(解答)担当の者がおかしいとは思った。

(質問)「担当の者」とはでじたる書房の店長小西氏のことか?
(解答)そうです。

(質問)自称十八歳の女子高生が成人向けの小説をでじたる書房を通じて登録、公表することに問題があるとは思わなかったのか? 
(解答)それはライター登録に関する規約を読まなければわからない。

(質問)ライター登録に関する規約は開示してもらえるのか?
(解答)開示はするが、規約を持って来ていないので今は確認できない。

(質問)未成年者でも保護者の同意なしにライター登録が可能なのか?
(解答)それも規約が今手元にないのでわからない。

(質問)ライター登録にあたり住所・氏名・電話番号の記入は必須の項目なのか?
(解答)規約が今手元にないのでわからない。現場のことは担当の者が知っている。

(質問)担当の者とは小西氏のことか?
(解答)そうです。

(質問)小西氏はなぜ今日来ていないのか?
(解答)疲れて来られない。今回のことで相当参っている。

(質問)こちらは(連絡のつくかぎりの利害)関係者六名が時間を調整し出向いて来ているのに、そちらで準備するべき資料が用意されておらず、現場の事情を知る担当者すら現れず、結果として交渉が全然進まないことについてはどう思うのか?
(解答)悪いと思う。

(質問)綾波美夏による著作権侵害について、でじたる書房として警察に被害届を出す意志はあるのか?
(解答)流れを見て、今日の結果を踏まえて、必要と判断すれば。

(質問BY安達B)以上の内容についてネットに書いてもかまわないか?
(解答)かまわない。でじたる書房としては名誉が傷つくことに関しては致命的と考えていない。

(質問BY安達B)探偵ファイル関係者から今回の件に関し取材依頼を受けているが、承諾してもかまわないか?
(解答)かまわない。探偵ファイルがどういうものか知らない。
--------

2007年2月11日

一連のでじたる書房の対応に不信感を抱いた安達は、内容証明を作成して、独自の調査で知りえた仲介者に速達で郵送。

2007年2月12日

午前中に仲介者に電話。現在対応を検討中との事。
午後、仲介者より電話で、『綾波美夏』と称する人物を特定し、当人が謝罪していると報告を受ける。
仲介者に、フランス書院が何か言ってくる前に謝罪の連絡をしておいたほうがいいと伝える。

2007年2月13日〜19日

謝罪の条件や謝罪文の形式・文言について関係各所と調整し、すり合わせ、合意を見たので、仲介者と連絡をとり、面談の期日を決める。新たに、館淳一さんの作品も盗作されていた事が判明し、館さんに通報する。

2007年2月20日

『綾波美夏と称する人物』と面談。全面謝罪を受け、和解条件を確認し、文書を取り交わす。