選挙権年齢引き下げ:教材づくり急ピッチ 違反事例も表示

毎日新聞 2015年06月14日 11時00分(最終更新 06月14日 15時00分)

模擬投票を行う高校生たち=2014年12月、近藤浩之撮影
模擬投票を行う高校生たち=2014年12月、近藤浩之撮影

 クラスメートでも18歳なら「選挙運動」と認められ、17歳なら「選挙違反」になってしまうかも−−。

 選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げる公職選挙法改正案が17日にも成立すれば、来夏の参院選から高校生の一部が「有権者」になる。高校生向けの教材づくりを急ピッチで進める文部科学省と総務省は、選挙のイロハだけではなく、選挙違反の具体例を示して注意を促すことにしている。

 例えば、前回の参院選から解禁されたネット選挙の一つで、インターネット上の特定の候補者の書き込みを当選させたいと思ってスマートフォンで引用する行為(リツイート=RT)。新たに有権者になる18歳は認められるが、17歳以下が同じことをすると公選法に抵触する恐れがある。

 また、応援する候補者の演説の様子をスマホで一緒に撮影してそれぞれネットにその動画を投稿した場合、18歳なら許されるが、17歳は禁止−−。教材でこんな例を紹介することになるという。

 教材ではこの他、投票の仕方や選挙の仕組みを基礎知識編で解説。模擬投票や模擬選挙をするのに役立つ資料を付けることも検討する。

 秋には全ての高校生に配布し、公民や総合学習などの授業で使ってもらう予定だ。

 文科省の担当者は「授業時間や教える内容は学校の裁量だが、選挙違反などは深刻な問題なので、しっかり各学校で啓発に取り組んでほしい」と話している。【三木陽介】

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