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【関西の議論】ミナミの「超一等地」で地上げ バブル以来〝最大〟の取引にトラブル勃発 橋下市長もクギ刺す

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【関西の議論】
ミナミの「超一等地」で地上げ バブル以来〝最大〟の取引にトラブル勃発 橋下市長もクギ刺す

更地になったまま再開発計画が止まっている旧大阪市立精華小学校跡地。隣接地で地上げが繰り広げられた=大阪市中央区(本社ヘリから)

 一帯は古い住宅の密集地で権利関係が複雑だった。歴史的な経緯もあり、武富士は地元住民団体に地上げを依頼した。多くの商業施設や住宅の開発業者などが土地買収後の開発事業に興味を示し、地上げに投じられた資金は150億円を超えたとされる。

 しかし、武富士は住民団体との間で資金トラブルが発生して土地取得が難航。その後、暴力団も介入したトラブルに発展し、住民団体の役員ら3人が殺害されたほか、襲撃、放火事件、発砲事件が立て続けに起き、古都は「暴力都市」と化した。

 結局、地上げは完了せず、一帯は未買収の土地が虫食い状態で残り、民家が数軒とどまった。このために道路をつぶすことができず、大規模な開発による有効活用の道は閉ざされたのだ。

地上げに十数億…金主複数

 今回の〝史上最大〟の地上げが行われようとした大阪・ミナミに目を転じる。

 大阪を拠点にする不動産ブローカーは「ミナミは土地の権利関係が複雑な上、大型開発がなかったことから、これまで地上げは目立たなかったが…」と語る。

 関係者によると、大阪市が平成19(2007)年、精華小学校跡地の売却を決めると、大阪の複数のグループが満を持して21年ごろから隣接地の地上げに動きだした。跡地はほぼ長方形の好形状で面積は約4200平方メートル。繁華街の中心に広大な「超一等地」が登場したのだから無理もない。

 地上げ資金は、折からのアベノミクスと金融緩和政策によるカネ余りで、十数億円を気前よく出そうとする金主が複数現れたという。

 精華小跡地はプロポーザル(企画提案)方式の公募入札により、25年2月、大阪市の不動産会社S社が最低価格を10億円以上上回る約35億9千万円で落札した。同社は飲食・物販店や広場、ホテルなどが入る複合ビルを建設する計画を掲げた。

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