県内の高校で5月1日時点の山岳部員が計264人(26校)となり、この10年で2倍余になったことが29日、県高体連のまとめで分かった。このうち、女子は計43人とほぼ4倍。高峰への登頂を目指すだけでなく、植生の観察に興味を持つ新入部員もおり、山岳部の門をたたく理由は多様化している。「山ガール」ブームで登山者に華やかなファッションが定着するなど、登山に対するきついイメージの変化が影響しているとの声もある。
県高体連によると、5月1日時点の各高校の山岳部員は、2006年は24校で計123人(男子112人、女子11人)だったが、徐々に増えて14年は約15年ぶりに200人を回復。15年の264人の内訳は男子221人、女子43人だった。
登山競技の県大会で何度も優勝している松本県ケ丘高校(松本市)の山岳部は男女計23人。1年の小沢紬(つむぎ)さん(15)は「小さい頃から家族で山に登っていたので、自然と足が向いた」と言う。中学で北アルプス最高峰の奥穂高岳(3190メートル)に登頂した経験がある。競技にも興味はあるが、「山に登る過程を楽しみ、植生を観察したい」と山麓の魅力にも目を向けている。
6月19〜21日に北ア上高地(同)で開かれた北信越高校体育登山大会に参加した諏訪清陵高校(諏訪市)の山岳部1年杉村意仁(おきと)君(15)は、中学では部活動をしていなかったが、「山に登ってみたい」と入部したという。20日に初めて北ア蝶ケ岳(2677メートル)の山頂に立ち、「雲間に見えた槍ケ岳にも登ってみたい」と新たな目標を見つけた。
飯田高校(飯田市)の山岳班1年蜂谷涼君(16)は以前、家族と里山に登る程度だったが、「山好きな仲間と登山を楽しみたい」と期待した。
山ガールブームのほか、登山をテーマにした漫画や映画も増えており、「3K(きつい、汚い、危険)のイメージが強かった登山は、ポップでファッショナブルなものとしても受け止められている」と、県高体連登山専門委員長で松本蟻ケ崎高校(松本市)教諭の浮須由実さん(54)は分析している。
県山岳協会理事長で大町高校(大町市)教諭の大西浩さん(55)は、同校山岳部顧問も務めている。国民の祝日「山の日」(来年8月11日)の創設などで山への関心は高まると見通し、「部員がさらに増えることが予想される。教員や指導者向けの安全講習を充実させるために、行政も支援を」と訴えている。