大阪地裁:殺されたのは誰? 身元不明のまま13日判決

毎日新聞 2015年07月05日 02時30分(最終更新 07月05日 08時32分)

 昨年5月、大阪市住之江区で起きた殺人事件の被害者の氏名や年齢がいまだに判明しないまま、大阪地裁で公判が続いている。被害者の年齢は60代くらいとみられ、「和歌山県出身で子供もいる」と周囲に語っていたが、大阪府警が捜査を尽くしても身元がわからなかった。遺骨は無縁仏として大阪市内の霊園に葬られるという。

 事件は2014年5月5日、住之江区の人材派遣会社の寮で起きた。住人の男性2人が金属棒で殴られたり、包丁で刺されたりして1人が死亡、1人が重傷を負った。寮で暮らす溶接工、藤井新也被告(74)が殺人などの罪で起訴された。裁判員裁判が6月に始まり、藤井被告は公判で「恨みがあった」と殺害を認めている。

 亡くなった被害者の男性は、1995年ごろから寮で生活し、氏名を「上山正直(まさなお)」と名乗っていた。会社に残っていた履歴書をもとに府警が身元を調べたが、該当する戸籍などは見つからなかった。検察側は起訴状に履歴書に記されていた名前を記載し、年齢は「不詳」とした。裁判は今月3日に結審し、13日に判決が言い渡される。

 被害者が身元不明のまま起訴されたことについて大阪地検幹部は「非常に珍しい」と話す。【三上健太郎】

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