安保法案:那覇参考人質疑「慎重審議を」 侮辱発言は批判

毎日新聞 2015年07月06日 21時28分

 安全保障関連法案を審議する衆院平和安全法制特別委員会は6日、那覇市とさいたま市で参考人質疑を行った。那覇市では5人の参考人のうち、与党推薦の石垣市の中山義隆市長、南城市の古謝景春市長が法案へ賛成を表明したが、国民の理解が広がっていないことへの懸念から慎重な審議を求めた。先月の自民党若手の勉強会で沖縄への侮蔑的な発言が出たことへの批判も出た。

 質疑にはほかに、稲嶺進・名護市長▽大田昌秀元知事▽高嶺朝一・前琉球新報社長−−の3人の野党推薦の参考人が出席。稲嶺氏は法案について、国内の米軍専用基地の約74%が沖縄に集中していることを念頭に「法案が成立すれば自衛隊の海外派遣が拡大し米軍と一体で行動するようになる。そうなれば、いの一番に狙われるのが沖縄だ。憲法9条に違反し、平和主義を根底から覆すものだ」と反対を表明した。

 高嶺氏も「米国の要望に応えるため、自衛隊の活動が制限のないものになりかねない」と反対した。大田氏は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に「沖縄戦をもう一度繰り返すことになる」と反対を表明したが、法案に対する賛否は明言を避けた。

 自衛隊基地がある南城市の古謝市長は「国際社会が変化する中で、国民の安全を守らないといけない」と法案に賛同。中国が海洋進出を強める尖閣諸島を抱える石垣市の中山市長も「他国とも手を結んで守らないといけない」と賛成だとした。だが、古謝氏は「(政府は)国民に完全に理解してもらう努力をしてほしい」と注文。中山氏も「国民の理解は深まっていない。慎重に慎重を期した議論をして成立させてほしい」と述べた。

 自民党勉強会で作家の百田尚樹氏が「沖縄の新聞2社を潰さないといけない」などと発言したことについては、高嶺氏が「民主主義の基盤である報道の自由を奪うものだ」と批判。中山氏は「政治家の発言はそれぞれが責任を持つべきだ」と指摘した。

 さいたま市では、野党推薦の弁護士3人が法案を「違憲」と表明。石河秀夫・埼玉弁護士会会長は、全国52の弁護士会すべてが、集団的自衛権の行使を容認した昨年7月の閣議決定や法案に反対したと紹介。「明白に憲法に違反する。法案は廃案にすべきだ」と訴えた。【青木純、飼手勇介】

最新写真特集