不作為に募る不信感 鎌倉の歴史的建造物、市が解体計画
- 特報|神奈川新聞|
- 公開:2015/07/08 11:23 更新:2015/07/08 11:43
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20年近くも放置
「そんなことが許されていいのか」。松尾崇市長が6月12日の市議会で「撤去も含め夏休み前までに方針を決定する」と発言したのを聞き、かつて保存活動に関わった一人は驚きの声を上げた。「残すことに決まっていたではないか」そう、決まっていたはずだった。市は1996年、御成小の校舎改築計画に関する報告書に、講堂を「そのまま修復保存して利用する」と明記。98年には保存を前提にした詳細調査を実施し、補強や修復の工事の細目まで定めていた。
以来17年。同校の改築計画に携わり、現在は講堂の「保存活用をめざす会」の幹事を務める市内の建築家、福澤健次さんは「市が何もしない間に建物の劣化が進んだ」と悔やむ。
そもそも御成小の校舎改築に至る間には、30年以上前から保存や改築の方法、さらに埋蔵文化財の扱いなどをめぐって市やPTAなどが激論を交わした経緯がある。講堂を残し伝えることは、その産物だった。
「市民が議論に費やした時間を無駄にしてはならない」と別の専門家も、放置の末に撤去案を持ち出した市に不信感を募らせる。市学校施設課は「財政上の問題で修復費用が予算化できなかった」と説明する。...
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