「虹は必ず雨の後に現れる」。中国共産党の機関紙、人民日報にこんな文言が掲載された。今週、過去3週間で全上場企業の価値が約3兆ドル下がったことを受け、中国株式市場の投資家に安心感を与えるために書かれたものだ。しかし、そんな美辞麗句や、中国政府の資本市場の安定性を維持するという公約による効果はほとんどない。中国の株価は7日反落し、上海総合指数は1.3パーセント、テクノロジー関連企業が多い深セン総合指数は5.3パーセント下げた。
■今回の下落は3つの点で際立つ
言うまでもなく、株価の下落は目新しいものではない。2007年に始まった株価の暴落では、上海総合指数は最高値から最安値まで70パーセントの下げ幅となった。しかし、今回の下落は3つの重要な点で際だっている。
まず、6月12日に売りに転じて以降、上海と深センの株価指数は3分の1も低下し、急落ぶりは1992年以来という点だ。また、国内総生産(GDP)の伸び悩みと、中国政府による画期的でかつ細心の注意を要する資本市場改革が道半ばであることが背景にある点だ。最後に、中国政府が新シルクロード(一帯一路)構想など、大がかりな海外開発のための融資構想にとりかかるにあたり、中国資本の源泉にあるもろさが露呈した点だ。
現地メディアによると、金融機関が1200億元もの株式を買うと約束しただけでなく、強大な権力を持つ全国社会保障基金(NSSF)は「一株も売らないこと」を資産マネジャーに指示しているという。加えて、下落を食い止めるため、株式の4分の1以上は売買停止となっている。
しかし、こうした施策はほとんど役に立っていない。中国共産党は市場の作用に挑戦するものの、自由市場の原理が勝ちつつある。心配なのは、資本主義の潮流との闘いにおいて同党が面目を失った場合、経済における「決定的な役割」に就くために市場の力を高めるという2013年の重要な公約に傷がつくことだ。
特に危機にさらされているのが、資本流入の割り当てを拡大することで株式・債券の国内市場を海外の投資家に開放するという中国政府の構想だ。市場低迷を受けた国有メディアの最初の動きの一つが、「悪意のある」空売りの疑いで外国の銀行やトレーダーを非難したことだ。その後、他の政府組織が外国投資家の疑いを晴らそうとしたが、証券規制当局は市場操作の調査中であることを公表した。
もう一つ被害を受ける可能性があるのが、再融資への期待を抱く中国実業界かもしれない。コンサルティング会社のマッキンゼーによると中国企業は全体でGDPの125パーセントもの負債を抱えているという。国有企業は上場企業の大半を占め、特に活況を呈する市場でのエクイティファイナンスを通じた調達に熱心だったが、今は棚上げされているようだ。
さらに、市場の弱さは、外国のインフラに融資することで経済大国として突出したいという中国の熱意の持続可能性について疑問を投げかける。合計44億人が住む65カ国と中国との間で交通や商業の向上を目指す新シルクロード戦略は、「シルクロード基金」、中国開発銀行、中国輸出入銀行など、中国国内の資本市場で資金を調達する中国の金融機関に依存する。
中国共産党の投資家との闘いは、36年にわたる開放路線の中でも極めて重要な瞬間を迎えているのだろう。中国政府が平穏さを取り戻せなければ、経済が行き詰まるだけでなく、根底にある資本主義的な改革への熱意も失われるかもしれない。
(2015年7月8日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
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