2015-07-08
■[ひとりごと]ILOの強制労働条約における戦時徴用の除外規定について感じたこと。
まあ、これは調べたわけではないので根拠はないけども、感じたことを少し。
強制労働ニ関スル条約(第29号)(日本は1932年11月21日批准)より抜粋
第 二 条
1 本条約ニ於テ「強制労働」ト称スルハ或者ガ処罰ノ脅威ノ下ニ強要セラレ且右ノ者ガ自ラ任意ニ申出デタルニ非ザル一切ノ労務ヲ謂フ
2 尤モ本条約ニ於テ「強制労働」ト称スルハ左記ヲ包含セザルベシ
(a) 純然タル軍事的性質ノ作業ニ対シ強制兵役法ニ依リ強要セラルル労務
(b) 完全ナル自治国ノ国民ノ通常ノ公民義務ヲ構成スル労務
(c) 裁判所ニ於ケル判決ノ結果トシテ或者ガ強要セラルル労務尤モ右労務ハ公ノ機関ノ監督及管理ノ下ニ行ハルベク且右ノ者ハ私ノ個人、会社若ハ団体ニ雇ハレ又ハ其ノ指揮ニ服セザル者タルベシ
(d) 緊急ノ場合即チ戦争ノ場合又ハ火災、洪水、飢饉、地震、猛烈ナル流行病若ハ家畜流行病、獣類、虫類若ハ植物ノ害物ノ侵入ノ如キ災厄ノ若ハ其ノ虞アル場合及一般ニ住民ノ全部又ハ一部ノ生存又ハ幸福ヲ危殆ナラシムル一切ノ事情ニ於テ強要セラルル労務*1
(e) 軽易ナル部落ノ労務ニシテ該部落ノ直接ノ利益ノ為部落民ニ依リ遂行セラレ従テ該部落民ノ負フベキ通常ノ公民義務ト認メラレ得ルモノ尤モ部落民又ハ其ノ直接ノ代表者ハ右労務ノ必要ニ付意見ヲ求メラルルノ権利ヲ有スルモノトス
http://www.ilo.org/tokyo/standards/list-of-conventions/WCMS_238207/lang--ja/index.htm
該当箇所は二条2の(b)なわけだが、戦争と並列して自然災害や流行病他の住民の生存や幸福を危機にさらす事情の下で強要される労務は含まれないということなので、この文脈で言う「戦争」とは自衛戦争のことを指すのではないだろうか。とすると、アジア太平洋戦争のような侵略戦争における戦時徴用も除外の対象とするかどうかは議論の余地があるのかもしれない。個人的には法的な妥当性はともかくとして侵略戦争のための戦時徴用を合法と言ってのけることにはとても抵抗を感じる。
追記
合法であったとしてもだが、アジア太平洋戦争は日本による侵略戦争であるという認識が国際的なコンセンサスであった場合、その戦争のために自国民や植民地の人びとを徴用して「強制労働」にあたる労務に就かしめたことをして国際条約に基づいて合法だったと主張することは世界の対日世論に対してプラスにはならないだろうとも思う。そのような世論もまた「国益」に資するものだと思うのだが。
*1:強調は引用者による
- 32 http://b.hatena.ne.jp/
- 7 http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/yasugoro_2012/20150708/1436320728
- 7 http://hatebu.straightline.jp/
- 5 http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20150707/1436282090
- 4 http://b.hatena.ne.jp/?via=201002
- 4 http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20150707/1436282090
- 4 http://b.hatena.ne.jp/entrylist/social?sort=hot
- 4 http://b.hatena.ne.jp/hotentry/social
- 4 http://chatpad.jp/chatroom.html
- 3 http://b.hatena.ne.jp/entry/b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20150707/1436282090