「川内」核燃料装着:福島県民「絶対安全ない」
毎日新聞 2015年07月07日 21時38分
東京電力福島第1原発事故で全村避難する福島県飯舘村の酪農家、長谷川健一さん(62)は「福島の事故で原発が安全ではないと分かったのに、なぜまた動かそうとするのか。(震災後の)新基準をクリアしたというが、絶対的な安全などない」と川内原発が再稼働に突き進むことに憤った。
長谷川さんは4世代8人暮らしだったが、今は分散して避難し、仕事も奪われた。生活再建には慰謝料の増額が必要として村民の半数にあたる約3000人をまとめ、国の原子力損害賠償紛争解決センターに裁判外紛争解決手続き(原発ADR)を申し立てた。原発事故被害者でつくる全国組織の共同代表も務める。「いったん原発事故が起きれば、古里は元に戻らない。原発事故で苦しむのは私たちで最後にしてほしい」と訴える。
福島県二本松市でスーパーを経営する服部浩幸さん(46)も「福島の事故の原因や責任もあいまいなまま、他の原発を再稼働させるのは理解できない」と疑問を投げかける。
服部さんは原発事故後、国と東電に原状回復や慰謝料を求める集団訴訟に参加。約3900人の原告団の事務局長を務める。「原発事故は史上最悪の公害」と考えるようになり、全国の公害被害者団体の活動にも加わった。その一環として今年2月、川内原発のある鹿児島県を訪れ、福島の現状を知ってもらおうと街頭演説やビラ配りをした。「鹿児島市内ではビラを配っても足を止めてくれる人は少なかった。原発の事故や再稼働にもっと関心を持ってほしい」と話した。【土江洋範】