レイキャビク=河野正樹
2015年6月20日22時50分
人口わずか32万人、大西洋の最北部に浮かぶ島国アイスランド。これまで大舞台とは無縁だったアイスランド代表が、欧州選手権予選A組で2014年ワールドカップ(W杯)ブラジル大会3位のオランダを破るなど首位に立っている。欧州選手権は16年フランス大会から本大会の出場チームが16から24に増えた。アイスランドはチャンスを逃さず初出場を果たせるか。
■冬場は凍る屋外 屋内サッカー場増やす
12日にアイスランドの首都レイキャビクであった欧州選手権予選チェコ戦。気温8度の寒空の中、アイスランドのサポーターの熱い声援が響いた。A組の首位を争う一戦だった。
サッカーはハンドボールと並ぶ人気スポーツで、代表チームの好調ぶりに国民は沸き立っている。チェコ戦は約1万席分のチケットが販売開始からわずか3分で売り切れた。
試合はチェコに先行されたが、アイスランドはすぐ同点に追いついた。「失点しても選手たちは冷静だった」とラーゲルベック共同監督は言う。後半31分には、オランダ1部アヤックスに所属するFWシグソルソンが敵陣ゴール前で相手のクリアミスのボールを奪い、チェコのGKチェフをかわして決勝点をあげた。2―1の勝利でチェコを抜き、A組首位に躍り出た。
もともと体が大きい選手が多く、体力勝負の戦い方をしていた。それが最近は「ごつくてうまい」に変わってきた。中心選手はイングランド1部で8位のスウォンジーで活躍するG・シグルズソンだ。186センチの長身で、技術も高い。今季32試合で7得点。点を奪えるMFとして評価が高い。
こうした選手が育った背景には、アイスランド協会が自治体の協力を得て、15年前に始めたサッカー場の整備事業がある。
冬場は、屋外のサッカー場は凍って使えない。全国に屋内サッカー場を増やし、正規のサッカー場の半分のサイズの施設も含めて今では19カ所になった。人工芝の屋外ピッチも半分のサイズを含め27カ所になり、その多くが人工芝が凍らないように暖房機能を備えている。冬の寒風をしのぐ防風壁を備えたフットサル規模の人工芝ピッチも、全国の学校のそばに111面。一年中サッカーができる環境が整ってきた。
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