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 奈良・東大寺は7日、中世の戦火や雷で失われた東塔の跡(国史跡)の発掘調査を今月から始めると発表した。2年後に西塔跡(同)でも着手。将来的には、近くに建物などがない東塔の復元も視野に入れたいという。

 東西両塔は奈良時代、大仏殿の東南と南西にそれぞれ建てられた。七重塔で、高さ70メートルとも100メートルとも伝えられる。西塔は934年に落雷で失われた。東塔は1180年に平重衡(たいらのしげひら)による兵火で焼失し再建されたが、1362年に落雷で再び焼け落ちた。今は境内に基礎部分だけが残る。

 発掘の許可が文化庁から下りたことを受け、寺はこの日、調査にあたる奈良文化財研究所、奈良県立橿原考古学研究所の関係者とともに法要を実施。筒井寛昭(かんしょう)別当は「歴史に理解を深めるもととなり、文化のつながりを考える一環になれば」と話した。

 寺によると、発掘は今月中旬ごろから東塔跡で始め、西塔跡は17年に開始。5年かけて詳しい規模や礎石の配置などを調べる。21年から東塔の基壇の整備に入りたいという。(栗田優美)