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複数の水族館がJAZAに反旗…太地町イルカ追い込み漁問題で、新組織設立へ

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複数の水族館がJAZAに反旗…太地町イルカ追い込み漁問題で、新組織設立へ

 日本動物園水族館協会(JAZA、東京)が和歌山県太地町の追い込み漁で捕獲されたイルカの入手を禁止したことを受けて、イルカを飼う複数の水族館がJAZAとは異なる新たな組織の設立を検討していることが8日分かった。新組織ではこれまで通り、追い込み漁で捕れたイルカの購入を続ける。

 太地町の三軒一高(さんげんかずたか)町長は産経新聞の取材に対し「野生のイルカを必要とする水族館の受け皿がいる」と話した。三軒町長は8日から神奈川県三浦市で開かれるJAZA傘下組織「鯨類会議」の会合に出席し、こうした考えを表明するとみられる。

 イルカの追い込み漁をめぐっては、国際組織の世界動物園水族館協会(WAZA)が「残酷だ」と問題視。JAZAは5月に会員投票を実施して入手禁止を決め、従わない施設を除名する方針を打ち出した。

 一方、飼育中のイルカをかけあわせて繁殖させるのは容易ではなく、設備が整っていない水族館や雌の個体しかいない施設を中心に「野生のイルカがいなければ将来的に立ち行かなくなる」と、JAZA決定への不安や反発の声が広がっていた。

 三軒町長は「追い込み漁からの入手を続けて除名される水族館が出てくるのであれば、かわいそうだ。そうした水族館の受け皿の組織は必要になってくる」との見解を示した。

 ただ、JAZAと即座にたもとを分かち、町として積極的に新組織設立に動くことはない、とした。これから数年の期間で、追い込み漁のイルカが必要な水族館がはっきりしてくれば、同町立くじらの博物館を中心に連携していく意向とみられる。

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