2015-07-08
■就職しないで生きるには
学生たちから就職活動で相談されることも増えてきた。そういう時期だ。
就職活動。
そう聞くと、僕は羨ましい、と思うのだ。
僕自身は就職活動なんていう、楽しい思い出はなかった。
いや、本人たちは苦しいのかもしれないが、苦しい思い出というのは、得てして、あとから振り返ると楽しい思い出に変わるものである。
多くの人にとって就職活動は、自分自身を見つめなおす最初の機会だ。
自分には何ができるか、自分は何がしたいのか、どのように生きたいのか。
そしてもちろん、全てが全て、思い通りに行くわけでもないという壁にぶち当たる。
就活に比べれば、大学受験などオママゴトのようなものだ。
なぜなら模試で判定結果が出るからである。
単純だ。
偏差値がこうだから、私はこのくらい。すぐわかる。
努力すれば偏差値は伸ばせるかもしれない。
努力の方法も解ってる。
試験範囲が決まってるんだから。
ところが就活というやつだけはそうはいかない。
就職とは、会社との結婚である。
遠目に見てハンサム(優良企業)に見えても、実際につきあってみたら最悪のDV男(ブラック企業)である可能性がある。
こちらが相手を希望しても、相手がこちらを拒否する場合もある。
その理由は一つではない。
たまたま業績不振で新卒が採用できないとか、そもそも新卒ではなく中途を中心に採用してるとか、離職率が低い優良企業なのでそんなに人を必要としていないとか。
まあ、要は運である。
どんなに惚れた女がいたとしても、その女が惚れ込んでる男から、自分に振り向かせることができるかどうかは努力と運だ。努力はいくらでもできるが、運だけはどうにもならない。
しかし就活生たちは、自分が内定を貰えないのを、運ではなく実力だと考える。すると落ち込む。まあな。
ただし運だけでは絶対にダメなのも就活なのだ。
運と実力、両方が必要なのである。
とはいえ就活生は羨ましい。なぜならどんな業界でも選び放題だからだ。
商社、マスコミ、通信、製造、販売、金融、飲食、エトセトラ、エトセトラ・・・
自分がどんな仕事をやりたいか、どんな業界で働きたいか、選択できる余地がある。
それはやっぱり、夢のあることだ。
学生の頃の僕はどうだったかというと、選択肢がなかった。
僕には文字通りプログラミングしかなかった。
普通の学生にはいろんな武器がある。
学生団体の幹部、サークルの代表、ボランティア、海外留学、○○大学○○学部○○研究室、などなど。
でも僕にはプログラミングしかなかった。
サークル活動も、ボランティアも海外留学の夢のまた夢で、僕は人生の大半の時間をプログラミングに費やしていたのだ。いまでも後悔しているのは、飲食店でアルバイトしなかったことだ。学生のうちはもっといろいろなアルバイトを経験しておきたかった。僕はひたすらプログラミングだけだ。
まあたぶんその反動が、格之進で修行したい、とかに出てるんだろう
ただし僕は運が良かった。
運の良さだけなら僕はちょっとしたものだ。
それでなんとかこれまで生きてこれている。
好きなことをさせてもらってる。
それはありがたいことだね。本当に。
「"就職しないで生きるには21"という新シリーズを始めるので、手始めに清水さんの半生記を書いてください」
晶文社の安藤さんからそう依頼を受けた時、早すぎる、と思った。
しかし僕もそろそろいい歳。40歳など目の前だ。
人の一生が80歳までだとしたら、ちょうど折り返し地点。
それにうちの親父が脳溢血で倒れたのは59歳。だとすると、僕に残されている時間はあまりない。
人は突然死ぬかもしれない。
会社に隕石が直撃するかもしれないし、酔っ払った拍子に車に撥ねられるかもしれない。
通り魔に襲われるかもしれないし、たまたま乗った飛行機が消息不明になるかもしれない。
まあそんな可能性よりもずっと、単に病気になって脳溢血だの癌だのその他の病気などで、一命を取り留めたとしても今のように頭を自由に使うというわけにはいかないかもしれない。
記憶は薄れ、脳は衰え、僕はこのあとどんどんバカになっていく。
だとすれば、本当に衰えてボケ老人になる前に、自分の身に起きたこと、人生のそれぞれの局面で自分が考えたことを整理しておくというのはやっておいたほうがいいかもしれない。
とはいえ本なんか書いてる暇ない。ましてや半生記など・・・
と思ったが、安藤さんは長年の僕のブログの読者であったという。
なあんだ、原稿はここにあるじゃん。
僕がブログを始めたのは1995年。
そのほとんどはもうネットに公開されてはいない。
あちこちサーバーを移ったりするうちに公開されないようになって、今はハードディスクにバックアップがあるだけだ。
これをとりあえず時系列につないでみると、あまりに長すぎて読めない。長文日記といえどやりすぎである。
そこで削りながらところどころ加筆修正していくと、やはりもともと頭のなかにあることなので一日でほとんどの部分を書きなおしてしまった。
だがしかし、自分の半生だけにこれが面白いのかどうか正直よくわからない。
そこでゴトー博士こと後藤大喜にバトンタッチして、後藤が全面的にリライトした。
できあがったのが、この本である。
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晶文社の新シリーズ「就職しないで生きるには21」の第一弾として出来上がった。
しかし、いろんな大学で、たまに「キャリアデザイン」などの名目で「就職しない生き方」を講義してくれ、と言われて、実際にやるんだけど、僕の生き方なんか全く何の参考にもならない。
一言で言えば、ただただバカである。
人生の中で、僕は人に褒められることがとても少ない。
少年時代は学友にバカにされ、学生時代は妹や家族にバカにされ、サラリーマンとなっても同僚にバカにされ、経営者となってもはてブとTwitterでバカにされるという、いわばバカにされ芸人のような人生だ。
でもそれしか僕にはないのだ。
ただただ自分のやりたいこと、信じたことにまっすぐ、バカになって突き進む。
損得で考えられない。
やりたいことをやる。信じたことをやる。
そうでないことはやらない。
バカになるというのは、損しかない。
しかし同時に、バカになるというのは、必然でもある。
というか、バカになる、というのは能動的なことではなく、むしろ必然的にバカになってしまう、というか、やはりもともとバカなのだろう。
後藤大喜がリライトした自分の半生記を振り返ると、悲しくなるほどに自分がバカに見える。
自覚するというかなあ。
そしてバカであると同時に、恐ろしく幸運に恵まれていた。
正直、安藤さんには悪いが、この本は売れないと思う。
僕が過去に書いたどの本よりも売れない自信がある。
だって単にバカな奴が、運とタイミングだけでなんとなく生きてるって話なんだもん。
後藤によってだいぶ面白くなったが、ただ一人の人間の身に起きた単純な事実を書いてるだけなので映画のように盛り上がったりはしない。
たぶん買ってくれる酔狂な人がいるとすれば、このブログの読者の人だけだろうから、安藤さんが会社から怒られないように、読者の皆さんはAmazonで予約だけでもしてあげてください。7/25発売です。
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遺言というわけではないけれども、高校時代の僕と同じように苦しんでいるバカな少年がいるとすれば、そういう人の道標くらいにはなるかもしれない。
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