佐藤秀男、牧内昇平
2015年7月8日05時03分
社員さん、今日の仕事が深夜に及んだら、明日はゆっくり出勤しましょう――。前の終業から次の始業までの間に一定の休息を取らせる「勤務間インターバル」の取り組みが、大企業で増え始めた。極端な働きすぎの防止策だが、多くの企業に広がるには時間がかかりそうだ。
通信大手KDDIは7月から、「8時間以上の休息確保」ルールを本格的に始めた。管理職を除く社員約1万人が対象。午前1時以降の勤務を原則禁止し、始業時刻の午前9時までに8時間以上の休息がとれるようにする。もし1時以降も働いたら、次の出勤がその分ずれる。たとえば午前2時退社なら、翌朝の出勤は10時以降だ。
8時間ギリギリの日が続かないよう、休息が11時間を下回った日が1カ月に11日以上あったら、本人や上司に注意を促す。
KDDIは以前から、設備担当の社員などで休息ルールを適用していた。今春闘で労働組合の求めに応じ、対象を広げた。白岩徹・人事部長は「『長時間労働をなくす』という会社の姿勢を強く打ち出したかった」と説明する。
勤務間インターバルについては、欧州連合(EU)が「11時間以上の確保」を企業に義務づけている。日本にはこうした法規制がないため、労組が経営側と話し合って自主ルールとして確保に乗り出している。KDDIなど情報通信産業の労組がつくる情報労連は、今夏までに傘下の21組合でルール化した。
働きすぎへの懸念が指摘される外食業界でも、取り組む会社が出てきた。24時間営業のレストランを展開するジョイフルは昨春、店長ら従業員に「11時間以上の休息」をとる仕組みをつくった。
残り:546文字/本文:1219文字
おすすめコンテンツ
PR比べてお得!