相原亮、笹川翔平
2015年7月8日05時02分
安倍晋三首相に近い自民党議員の勉強会「文化芸術懇話会」で、沖縄の地元紙2紙をはじめ報道機関を威圧する発言が出た問題は、首相が陳謝に追い込まれ、政権党としての自覚が問われる事態となった。発言は有志議員の勉強会が首相の「応援団」の色合いを濃くする中で飛び出し、出席者からは緊張感を欠いたとの声もある。一方、関係者の処分をめぐっては党内に不満もくすぶり、対立の火種にもなっている。
「沖縄県民に迷惑をかけ、大変申し訳なかった」。自民党の谷垣禎一幹事長は7日、勉強会での発言に抗議するため党本部を訪れた党沖縄県連幹事長の具志孝助県議に陳謝した。
そもそも、懇話会の目的は「保守思想の発信」にあった。懇話会代表の木原稔青年局長(当時)は周辺に「保守的な国家観や政策を国民に理解してもらうため、国民の心に響く言葉を学びたい」と語っていた。憲法改正に反対する「九条の会」を意識し、作家の大江健三郎氏や作曲家の坂本龍一氏らに対抗できる保守的な文化人を発掘することも念頭にあった。
しかし5月初旬、党内にリベラル系の若手議員が「過去を学び『分厚い保守政治』を目指す若手議員の会」を立ち上げたことで、「首相応援団」の性格が一層強まった。
9月の総裁選を無投票で乗り切りたい首相側はリベラル系の動きを警戒。首相側近の加藤勝信・官房副長官と萩生田光一・党総裁特別補佐が「顧問格」で入り、懇話会の人数集めに加わった。
議員の一人は、萩生田氏から直接「総理の応援団になってほしい」と誘われ、「光栄です」と即答。「総理の応援団に入れてもらえると言われ、うれしかった」と振り返る。6月25日の初会合には37人が集まったが、参加者の一人は「『首相がついた勉強会だ』と思い、浮ついた気持ちがあった」と話す。
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