HOME / Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew (2015年5月25日~7月12日)

Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew

  • 2015 Early Summer Selection(2015年5月25日~7月12日)

橋本徹(SUBURBIA)を始めとする
「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家17人が
それぞれのセレクトした音楽への思いを綴る
「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」
詳しい放送内容はこちら

D-03usen for Cafe Apres-midi

作曲家


橋本 徹(「usen for Cafe Apres-midi」プロデューサー)
Toru Hashimoto
  • V.A.
    『Ultimate Suburbia Suite~Evergreen Review』
  • V.A.
    『Ultimate Suburbia Suite~Future Antiques』
  • V.A.
    『Free Soul~2010s Urban-Jazz』
  • Kamasi Wahington
    『The Epic』
  • Miguel Atwood-Ferguson
    『Library Selection』
  • V.A.
    『Good Mellows For Seaside Weekend』

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本多義明(「usen for Cafe Apres-midi」ディレクター) 
Yoshiaki Honda
  • Candelaria Zamar
    『Un Vaso De Agua』
  • コルドバ出身の若き女流アーティスト、妖精のような佇まいのカンデラリア・サマール。フアン・カルロス・インガラモ、ルシオ・マンテルらにも共演者として指名されるなど、現在注目のアーティストらしい。美しく透きとおったサウンドを放つデビュー・アルバム『水のグラス』はエレクトロニカのヴォーカル作品で、「水」をテーマにしているからか、聴いていると、雨音にも寄り添うような、溶け込むような、なんとも心地よい感覚に包まれた。

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中村智昭 Tomoaki Nakamura
  • V.A.
    『Bar Music×CORE PORT Precious Time for 23:00 Later』
  • コアポート──2014年の東京で産声をあげた新たなレーベルの名は、「その核となる揺るぎない音楽性を有したアーティストや作品が集う港とする」という発足理念に由来します。わずか一年の履歴においてすでにアメリカ、イギリス、フランス、アルゼンチン、ブラジル、イタリア、ドイツ、カナダ、日本から届いた様々なスタイルの良質な音楽を僕たちリスナーに紹介。さらにはフランスの吟遊詩人、ピエール・バルーが60年代から現在に至るまで手掛け続けるレーベル、"サラヴァ"の膨大なカタログを有することも特色の一つ。「Bar Musicの23時あたりの雰囲気をイメージしたコンピレイションを、コアポートの音源で」という依頼を頂戴したのは、やはり終電を目の前にしたころだったでしょうか。これまで「usen for Cafe Apres-midi」において特にリリース・タイミングで選曲してきたベッカ・スティーヴンス「Tillery」やジェニフェル・ソウザの「Pedro e Lis」、大好きなカーメン・ランディの「Grace」、ヒルデ・ヘフテによるビル・エヴァンス「Children's Playsong」の美しいカヴァー、そうして日本国内初CD化4曲を含むサラヴァのアザー・サイド(ピエール・バルー「サンバ・サラヴァ」、ブリジット・フォンテーヌ「ラジオのように」といったおなじみの曲ではないという意味で)にスポットを当てられたことも"らしい"気がしています。各曲を今回の初夏セレクションにもあらためて織りまぜてはいますが、また別のシチュエイション、例えば貴方の一日が終わるころのプレイヤーにこのCDをセットしてもらえるなら、それ以上の喜びはありません。2015年に一人の選曲者として訪ねることができたコアポートという名の港は、音楽への愛とロマンに溢れた、とても素晴らしい場所でした。

    Dinner-time 月曜日18:00~24:00
    Cafe Apres-minuit 火曜日0:00~2:00

    Bar Music × CORE PORT  Precious Time for 23:00 Later
    渋谷「バー・ミュージック」とレーベル「コアポート」が全音楽ファンにおくるミッドナイト・ミュージック。

    中村智昭 (MUSICAANOSSA) Website
    Bar Music Blog
    音楽観、人柄、そして人生哲学…。Bar Musicの祈りを届けるアルバム。(dacapo)

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添田和幸 Kazuyuki Soeta
  • Honne
    『Coastal Love』
  • 「Warm On A Cold Night」を冬の間、繰り返し愛聴していたイギリスのエレクトロR&Bユニット、ホンネのニューEPのタイトル曲は、波のSEで始まるアップリフティングでEarly Summer Selectionにもピッタリな一曲。昨年リリースされたリミックスも最高だったダロンドのソウル・クラシック「Didn't I」のカヴァーも個人的にはかなり気に入っています。日本に滞在経験のあるメンバーもいるようなので、ぜひ来日してもらって生で観てみたいですね。

    Dinner-time 火曜日18:00~24:00
    Cafe Apres-minuit 水曜日0:00~2:00

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中上修作 Shusaku Nakagami
  • Daniele Di Bonaventura & Vertere String Quartet
    『Sine Nomine』
  • 遡ること3年前の初夏(といっても4月でしたが)、カルロス・アギーレとキケ・シネシが姫路の海辺にある、素敵なカフェを訪れました。
    bar buenos airesの主催で行われたこのコンサートは、ラプラタ河のごとくゆったりとしたメロディーが一流の情熱と友情によって奏でられ、初夏の海辺を許し難いまでにロマンティックに染めたのは記憶に新しいところ。演奏が始まる前はbar buenos airesによる選曲で花が添えられ、そのときに初めて耳にしたのがDaniele Di Bonaventuraでした。原曲の「Orizzonte」は軽快な三拍子に香ばしいバンドネオンの音色が踊る、彼の面目が躍如する楽曲ですが(原曲が収められているアルバムが廃盤なのが残念!)、ストリングス・カルテットで再演したのがこの曲。イタリア人らしい、甘く情熱を感じるメロディーに触れたとき、私の心はあの温暖な姫路の浜辺へと飛んでいくような気持ちになります。

    Dinner-time 水曜日18:00~24:00
    Cafe Apres-minuit 木曜日0:00~2:00

    Bon Antiques
    古美術 中上

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高木慶太 Keita Takagi
  • 関口シンゴ
    『ブリリアント』
  • 関口シンゴのファースト・アルバムからは、初夏の選曲のインスピレイションと遊び心(18時からの8時間分すべて、曲名の頭文字で「Early Summer」となるように並べてみた)を大いに得た。とにかくサニーで、いちいちメロウで、まるっきりスタイル・カウンシルなナンバーもあって、照れもせず、気負うでもなくこれをやっているのが嬉しくなる。初めて聴いたのがCDショップの試聴機でもなければ、ウェブのストリーミングでもなくて、初夏のような陽気の春の昼下がりに近所のコーヒースタンドで、しかもぐっと冷えたアイスラテを片手に、というできすぎたシチュエイション。ましてや雪がちらつくような荒天が続いたあとの待望の晴れ間だから、きっと店主もそれをわかってプレイボタンを押したに違いない(この店のコーヒーを飲めば、それくらいの芸当が朝飯前なのはすぐわかる)。この日のアイスラテは格別に美味かった。

    Dinner-time 木曜日18:00~24:00
    Cafe Apres-minuit 金曜日0:00~2:00

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FAT MASA
  • Ned Doheny
    『Separate Oceans』
  • 昨年、未発表&ベスト集を出して話題になったネッド・ドヒニーは、今年のゴールデンウィークに名盤『Hard Candy』再現ライヴを行いましたが、残念ながら、僕は都合がつかず行けませんでした(泣)。
    アルバム『Hard Candy』は僕の生まれ年と同じ、1976年作。AOR初期体験盤であり、同い年の友達のような親しみがあります(笑)。
    今回の選曲では、おそらくアヴェレイジ・ホワイト・バンド用のデモに吹き込んだ「恋のハプニング」、チャカ・カーンで有名ですが、個人的には佐藤竹善のカヴァーもアーバンでお気に入りです。ネッド・ドヒニーの焼き直し1988年テイクも悪くないですが、今回の未発表テイクがはるかに輝いて聴こえるのは、“同い年の友達”感のせいでしょうか?

    Brunch-time 金曜日10:00~12:00

    JOYOUS JAZZ(FM NORTH WAVE)

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三谷昌平 Shohei Mitani
  • Pedrinho Mattar Trio
    「The Last Waltz (A Ultima Valsa)」
  • Pedrinho Mattar Trio
    『N°3』
  • エンゲルベルト・フンパーディンクの1965年ヒット曲のカヴァー。イカしたジャケットで知られるブラジルのピアノ・トリオ、ペドリーニョ・マタール・トリオの手によるもので、彼らが同年にリリースした7インチ、ミリアム・マケバのカヴァー「Pata Pata」のB面に収録されています。別れた彼女と、最初の出会いでワルツを踊った思い出を歌にしたもので、美しいピアノに導かれるペドリーニョ・マタールのヴォーカルと口笛が哀愁を漂わせます。DJプレイすると、かなりの確率で問い合わせのある曲。ぜひ皆さんに聴いていただきたいと思います。

    Dinner-time 金曜日18:00~22:00

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渡辺裕介 Yusuke Watanabe
  • The Ben Cox Band
    『This Waiting Game』
  • Rieke Katz
    『New Start』
  • Al Boulton Band
    『Dancing In The Sunshine』
  • レコード・ストア・デイ。「No DJ, No Records」、タワーレコード福岡店にて8時間レコードDJをしました。久しぶりにレコードを購入された方々、レコード・プレイヤーまで購入される方々などを観ながら、じっくりと選曲。途中NegiccoのMeguちゃんとNao☆ちゃんも応援に来てくれました。と言いながら先日、北九州市小倉にある老舗中古レコード屋「田口商店」に行って、「レコード・ストア・デイの影響ありました?」「あぁ、全くないよ。だから、渡辺くんたくさん買ってって」……これが現実なのであります。でも、レコード屋に足を運ぶって楽しいですよ。
    そんな中、やはりまだまだCDのみの新作リリースは無数に続いております。
    この春から夏にかけても素晴らしすぎるアルバムが続々と。まだまだ手元に届かない作品もたくさんありますが。
    全曲素晴らしかったのが The Ben Cox Band のアルバム。もはやこのアルバムをそのまま「usen for Cafe Apres-midi」で流してもよいのではと思うぐらいの作品。Jamie Cullumも大絶賛でございます。北欧のジャズ・ヴォーカルRieke Katzのアルバムも同様。久々のセリアの新作は、A-Haの「Hunting High And Low」のカヴァーが秀作。Al Boulton Band も行き詰まったバンド・サウンドの未来を開かせた小コンボのナイスなフリー・ソウル。といいながらこの初夏の1曲目はBrian Wilsonの新作より。打ち込みサウンドもブライアンに溶け込んだ、ビーチ・ボーイズのファンの心を掴みながらも、まだまだ新たな挑戦をしているのであります。このアルバムはLPあります。ということで続きは真夏に。

    Dinner-time 金曜日22:00~24:00
    Cafe Apres-minuit 土曜日0:00~2:00

    ドリンクバー凡人会議(RKBラジオ)

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富永珠梨 Juri Tominaga
  • Hirth Martinez
    『I'm Not Like I Was Before』
  • 風の凪いだ初夏の海と、潮風に翼をあずける一羽のカモメ。波の音に紛れて聴こえてくるのは、気取らないギターの音色と、照れくさそうに歌うしゃがれ声のソフト・サンバ。2015 Early Summer Selectionのベスト・ワンに選んだアルバムは、ハース・マルティネスのサード・アルバム『I'm Not Like I Was Before』です。ジャケットの雰囲気そのままの、ブラジリアン・テイスト溢れる肩の力が抜けた爽やかな作品です。ちなみにジャケット・デザインは、マーナ・デイヴィス著・伊丹十三翻訳『ポテト・ブック』の表紙を手がけられたことでも知られる、イラストレイターの矢吹申彦さん。そしてさらにジャケット・ネタを続けると、1975年ザ・バンドのロビー・ロバートソンのプロデュースによるハースのファースト・アルバム『Hirth From Earth』のジャケットも、このアルバム同様 “海とおじさん”がモチーフになっているのですが、サードと比べると(単体でも)かなりインパクト強めなデザインになっています。荒波の中から忽然と姿を現す、海藻まみれのサングラス・ヒゲ男。ご興味のある方はぜひ“ググって”みてください。もちろん音楽的にもとてもとても素晴らしい作品なので、ぜひ手に入れてじっくり耳を傾けてみてくださいね。話は少しそれてしまいましたが、今回ベスト・ワンにセレクトしたこのアルバム、初夏の昼下がりにビールでも飲みながら聴くと最高にいいんです。ぜひお試しあれ。

    Brunch-time 土曜日10:00~12:00

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小林 恭 Takashi Kobayashi
  • Herve Samb & Daniel Moreno
    『Kharit』
  • Melissa McMillan
    『Melissa McMillan - EP』
  • nica
    『melodica』
  • Springに引き続きEarly Summer。今回はさらに清涼感や透明感あふれる気持ちのいい音楽をノンジャンルでお届けします。普段は好きな曲を季節感に当てはめて聴いているわけではないので、毎回変わりゆく季節をテーマに選曲させていただき、改めてその曲が持っている季節感を感じるようになり、選曲って本当に面白いな~と思いながら楽しく取り組んでいます。
    それでまず紹介するのは、Joe Claussell主宰のSacred Rhythmから2012年に発表されたHerve Samb & Daniel Morenoのアルバム『Kharit』から「Hdeye Gueye」。サウダージでアコースティック、そしてアフリカ、ブラジルなこの音楽は夏に聴きたくなる、暑くそして清涼感あふれる一曲です。セネガル出身のギタリストHerve SambとJoe Claussellの諸作品でパーカッションを担当してきたDaniel Moreno。PatMetheny的フレーズも登場して大好きな曲です。
    次にご紹介するのが、前回のRachel Brotmanに引き続き多くの若き才能が芽吹くブルックリンからのSSW、Melissa McMillan。デビューEPから3曲選曲しています。ジャズやソウルをベースにメロウで心地よい彼女のヴォーカルとサウンドは、この季節にぴったりの清々しさを感じます。
    最後にご紹介するのは、haruka nakamura初期のバンド、nicaが制作した唯一のアルバム『melodica』から「Delight」を。遠い夏の日を思い出させる懐かしく切ない美しい旋律は、まだ完成されていない途中経過のような、それでいて永遠につながっていくリフレインにも聴こえます。彼が2013年に発表した『MELODICA』の原型になる瑞々しい作品です。
    ではこの素晴らしい季節と共に、しばしこれらの音楽と虫の声に耳を傾けて楽しんでいただければ、とても嬉しく思います!

    Dinner-time 土曜日18:00~22:00

    設計事務所 ima

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ヒロチカーノ hirochikano
  • Jack Johnson
    「I Got You」
  • 毎年夏が近づくと、決まってジャック・ジョンソンのナンバーが聴きたくなるんだけど、そんな彼の曲の中から今回フィーチャーしたのは、思わず自分も真似をして口笛を吹きたくなるイントロが印象的な「I Got You」。実はこの曲、仕事の合間に偶然YouTubeの動画を見て、最近改めて心の中に残った1曲です。ハワイの日常的で素朴な風景の中で、いつも以上にニュートラルに唄う彼の優しい“声とギター”の素晴らしさが重なるこの作品を聴いていると、毎日の忙しさの中でついつい忘れてしまいがちな、人生にとって本当に大切なモノを教えられる気がします。

    Brunch-time 日曜日10:00~12:00

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吉本 宏 Hiroshi Yoshimoto
  • Caixa Cubo Trio
    『Misturada』
  • サンパウロの通りに面した窓を開けるとどこからともなく優美でしなやかなピアノ・トリオの演奏が聴こえてくる。“魔法の箱”という名のカイシャ・クボ・トリオが繰り出す小気味よいリズムと軽やかなピアノのタッチは、ブラジルからヨーロッパへと渡る爽やかな初夏の風を感じさせる。

    Dinner-time 日曜日18:00~22:00

    bar buenos aires
    TOTOSK KITCHEN(dacapo)

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高橋孝治 Koji Takahashi
  • Gordon Michaels
    『Stargazer』
  • Frank Weber
    ...As The Time Flies』
  • Gary Ogan & Bill Lamb
    『“Portland”』
  • Byrne & Barnes
    『An Eye For An Eye』
  • Craig Nuttycombe
    『Get It Done』
  • Laura Allan
    『Laura Allan』
  • The Leisure Society
    『The Fine Art Of Hanging On』
  • Scott Matthews
    「Mona (The Birthday Mix)」
  • The Miserable Rich
    『Covers』
  • Bibio
    『Silver Wilkinson』
  • 「Ah~ 世界全て HeavenlyにBreak Up 、Ah~ だから さぁGroove Tubeを~」と歌われるのはフリッパーズ・ギターの名曲「Groove Tube」ですが、これの元ネタはサバービア界隈でもおなじみのアルマンド・トロヴァヨーリが手がけたイタリアン・エロティック・コメディー映画「Sesso Matto」のタイトル・トラックです。このサウンドトラックはイタリアのBeatレーベル傘下のDuseからリリースされていたものですが、フリッパーズ・ギターが「Groove Tube」をリリースした91年頃、できたばかりのHMV渋谷店(現マルハンパチンコタワー)になぜか謎の(笑)イタリアン・サントラ・コーナーがありまして、そこにBeatやDuseなどの作品がたくさん売られていたんですよね。わたくしも90年暮れに発刊されたサバービア・スイートのフリー・ペーパーなどの影響もあり、わけもわからずそれらのレコードを買い漁っていたのは懐かしい思い出です(笑)。それにしても謎だったHMV渋谷店のイタリアン・サントラ・コーナーでしたが、あれも当時HMV渋谷店にいた、巷では渋谷系を作った男と言われている(笑)太田浩さんの仕事だったのでしょうか? 今回も本人に確認しようかと思いましたが、やっぱり話が長くなりそうで面倒くさいからやめました(笑)。またBeatレーベルと言えば、このチャンネルのセレクターでもある吉本宏くんが93年に、コンコルド・グラフィックスの相馬章宏くんとイタリアのBeat Records Companyに突撃して、WAVE監修のもとに橋本さんたちと「Official Guide of Beat Records Company」なる小冊子を制作していましたが、あれは音楽文筆家としても活躍する吉本くんの原点ではないでしょうか。ていうか、吉本くんとは四半世紀にわたる友人なんですが、最近全然遊んでくれないんで、吉本くんたまには遊んでくださいよ……(泣)。
    さて、前置きが長くなりましたが(笑)、「Groove Tube」が「Sesso Matto」を下敷きにしているというのは先にも述べたとおり今では有名な話です。しかし冒頭で挙げた「Groove Tube」のBメロにあたる歌詞のメロディー・ラインが、79年に発表されたゴードン・マイケルズの唯一発表されたアルバム『Stargazer』に収められた「This Is Love(邦題・いとしのエミリー)」からの引用だというのはあまり知られていないことだと思います。ということで今回のミッドナイト・スペシャルは、そのゴードン・マイケルズの「This Is Love」を入口に、ちょいとアダルトでメロウ(笑)な楽曲を集めてお贈りしたいと思います。ゴードン・マイケルズ以外ではデヴィッド・ポメランツやフランク・ウェバーなどの暖かなピアノ作品や、柔らかく美しいハーモニーを聴かせてくれるゲイリー・オーガン&ビル・ラムの「Our Sweet Love」(彼らの作品はディス・モータル・コイルも取り上げていましたね)をセレクトし、あのダリル・ホールとガリヴァーというバンドを組んでいたティム・ムーアの74年に発表したファースト・ソロ・アルバムから爽やかな風を感じる「A Fool Like You」や、儚くも切ないポール・パリッシュの「Time」などをミッドナイト・スペシャル前半にちりばめてみました。そしてミッドナイト・スペシャル後半はその素晴らしい内容にもかかわらず81年当時アメリカではお蔵入りになり、なぜか日本でのみリリースされていたバーン&バーンズのたまらなくアーベインな名曲「One More Try For Love(邦題・君がいるかぎり)」からはじまり、先に挙げたゴードン・マイケルズの「Bermuda」へと繋げましたが、この曲のメロディー・ラインもカジヒデキくんが自身の作品で引用していましたね(笑)。他にはアコースティック・ギターの音色がさわやかなウッディー・シモンズの「Sleepin' Out」や99年に発表されたクレイグ・ナッティカムのアルバム『Get It Done』より「A Thousand Times」などをセレクトしましたが、このクレイグ・ナッティカムの作品は確実にランバート&ナッティカムとして70年に発表したアルバム『At Home』の冒頭を飾る名曲「Morning」へ宛てた自らのアンサー・ソングだと思います。亡くなった相方のデニス・ランバートへの想いを綴ったライナーノーツを読みながら聴くとさらにグッと胸に来るものがありますね。そして13年に廉価盤で再CD化されたローラ・アランの「Opening Up To You」などもセレクトしましたが、このアルバムは13年版CDよりぜひ02年にCelesteレーベルから再発されたCDを聴いて欲しいと思います。なぜならCeleste盤の方には75~76年に録音されたセッション音源など、大量10曲ものボーナス・トラックが収録されているからです。その中にはスティーヴン・ビショップのセカンド・アルバム『Bish(邦題・水色の手帖)』に収録された「Looking For The Right One」の先行カヴァーなどもあって、レアなテイクが満載の素晴らしい内容ですからね。
    そしてディナータイムの選曲ですが、こちらは先頃リリースされたレジャー・ソサエティーの4枚目のアルバムよりメランコリックなワルツの調べが美しい「You'll Never Know When You Take」をセレクトしてスタートしてみました。彼らの奏でる美しく優雅なメロディーは今作でも素晴らしく、レイ・デイヴィスが前作に引き続き彼らを手厚くサポートしているのも納得です。続いてこちらもゆったりとしたワルツが美しい、スイス生まれのValeska Steinerとドイツ生まれのSonja Glassから成る女性デュオ、ボーイによる「Waltz For Pony」へと繋げましたが、初春のこのコメント欄で吉本くんも彼女たちを紹介していましたね。そしてスコット・マシューズの最新作である『Home Part 1』からシングル・カット第2弾としてリリースされた「Mona」はアルバム・ヴァージョンと違い、ヴォーカルにコーラスが重ねられ、さらにリズム・セクションが強調されて、まるでウォール・オブ・サウンドのように全体的に音の厚みを増した“The Birthday Mix”なるもの。また、こちらも先頃ライヴ・アルバムをリリースしたレジャー・ソサエティーのお友達バンドでもあるミゼラブル・リッチは、そのアルバムにボーナス特典として付いていたカヴァー曲ばかりを集めたCDの中からピクシーズの作品を取り上げた「Gigantic」を選んでみました。このCDは14年にリリースされたものですが、カヴァーした11曲のうちこのピクシーズ・カヴァーを含む4曲は、実のところすでに09年に『Covers』というタイトルでごく少数プレスされプロモーション・オンリーで発表されていたんですね。そしてそのCDEPを当時苦労して入手していた自分は独りひそかな優越感に浸っていたのですが、今回このような形でリリースされてちょっぴり悔しいので、ここではその『Covers』のジャケット写真を掲載しておきます(笑)。
    そしてディナータイム選曲の後半は、遅ればせながら入手したビビオの13年作『Silver Wilkinson』より「You Won't Remember」などをセレクトしましたが、このアルバム、ものすごくよいですね。今さらながらもっと早く手に入れておけばよかったと後悔し、皆様に素敵な音楽をお届けする使命を背負ったこのチャンネルのセレクターのひとりとして、わたくしモーレツに反省しております……。

    Dinner-time 日曜日22:00~24:00
    Cafe Apres-minuit 月曜日0:00~2:00

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山本勇樹 Yuuki Yamamoto
  • V.A.
    『Quiet Corner -a collection of intimate music』
  • 春の選曲同様にサロン・ジャズ系ヴォーカルやブラジル~ボサノヴァを中心に組み立てながら、初夏に相応しい瑞々しく爽やかなシンガー・ソングライターやメロウなAORもエッセンスになるように織りまぜてみました。
    その中でもティータイムの中盤から終盤にかけては、ニナ・ベッカーの新譜からゆるやかなサンバを皮切りに、ミア・ドイ・トッドやコリーヌ・ベイリー・レイといった浜辺の黄昏が似合いそうなアコースティック・ナンバーをセレクト。さらに前回のラストに選んだポール・ウィンター・コンソートによるオーガニックな「Witchi Tai To」から、コリーンの新作からエクスペリメンタルなトラックへ、ジャンルを超越して繋がっていく流れもすごく気に入っています。あとは、4月末に発売されたばかりのコンピレイション『Quiet Corner -a collection of intimate music』のハイライトのひとつでもあり、実はカフェ・アプレミディのコンピ・シリーズの『リラ』へのオマージュでもある、マリオン・ブラウンの「Vista」をラスト・ソングに用意しました。初夏の太陽を浴びながら、テラスとかで流れていたらきっと気持ちのいい選曲になったと思いますので、ぜひお楽しみください。

    Lunch-time~Tea-time 月曜日12:00~16:00

    bar buenos aires
    Quiet Corner

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武田 誠 Makoto Takeda
  • Caterina Valente
    『Now』
  • やっと前回のセレクションが終わったと思ったら、もう今回のクールの締め切りが。どうやらちょっと気を抜くことの許されないループに乗っかってしまったような……。いや、とんでもない、とてもありがたく楽しくやらせていただいております!
    尊敬すべき選曲クルーの諸先輩方のすばらしいセレクションにならいつつも、新鮮な視点で新しい水脈を探りながら“午後のコーヒー的シアワセ”な音楽を送り届けられればと、文筆家が推敲を重ね文体に磨きをかけるように(植木屋が枝を切り揃えるように、等々)、とにかく曲とそのつなぎを何度も繰り返し聴くことをキモに命じております。帰宅時、一日の締めくくりとしてiPhoneで聴いていたNHK「ラジオ深夜便」の時間帯なんかは、今やカフェ・アプレミディの午後の風景(の選曲のチェック)へと変わらざるをえなくなってきました。
    今回はEarly Summer Selectionということで、夏の通り雨を思わせる清々しさと甘い感傷がまどろみながら折り重なっていくような楽曲の数々を、カフェ・アプレミディの“窓をつたう雨”(©雨と休日)に想いを馳せながら楽しんでいただけたらなりよりです。
    そんな中からご紹介する曲は、天気雨のように心弾むカテリーナ・ヴァレンテのニール・セダカの名曲カヴァー“雨に微笑みを”。“歌う通訳”として幅広い世代に様々なかたちで知られる世界的女性シンガーの75年のアルバム『Now』(「Feelin’Groovy」の高速カヴァー収録、ということで人気ですよね)からのナンバーで、イギリスの映画音楽家ロイ・バッドによる洒脱かつチャーミングなアレンジが施された一曲です。
    それでは梅雨にさしかかる季節、どうか心地よくすごせますように。

    Lunch-time~Tea-time 火曜日12:00~16:00

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waltzanova
  • Horace Silver
    『Silver‘N Voices』
  • 海から吹いてきた風。初夏の風を受けてきらきらと輝く海面。遠くから潮騒の音と鳥たちの鳴き声が聞こえる。眼前には真っ青な空と海が広がる。格調高いピアノの美しいソロ・パートに続いて、男女混声のヴォーカルが躍動を始める。清新で心を弾ませるハーモニー。空を自在に舞うようなトランペットに、海原を滑るヨットを思わせるテナー・サキソフォン。それは何かの始まりを告げる予感に満ちている――。
    ブルーノート・レーベルを代表するピアニスト、ホレス・シルヴァーが70年代半ばに残した『Silver’N』シリーズはどれも耳を傾けるべき名作揃いですが、僕は3作目となる『Silver ‘N Voices』が気に入っています。海を背にした爽やかなジャケットも相まって、この時期から夏にかけてついつい手を伸ばしてしまうアルバム。自作のプライヴェイト・コンピレイションにも収録したことのある「Out Of The Night (Came You)」を今回のオープニングに選んでみました。続けてはこちらも夏の定番、マイルス・デイヴィスとギル・エヴァンスがコラボレイションしたオーケストレイションが鮮やかな『Miles Ahead』へと。そう、今回は初夏をイメージした選曲ということだったので、一足先に夏を先取るような感覚で曲を選びました。そのため、やや海や夏への憧れが先走ってしまっているかもしれませんが、今回のセレクションを耳にして海沿いのムードや来るべき季節への予感を感じてもらえたら嬉しいです。もちろん、5月下旬から7月上旬にかけての季節、しっとりとした雨の日や緑陰の中、雨上がりの街角など、さまざまなシチュエイションを思い浮かべて曲を並べてみました。前回に比べ、曲から広がるイマジネイションの自由さをより感じることが多かったことも書き添えておきたいと思います。

    Lunch-time~Tea-time 水曜日12:00~16:00

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Supervised by Toru Hashimoto for Suburbia Factory