ECB:「モラルハザード」が緊急流動性支援停止の理由に
2015/07/07 20:57 JST
(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)は7日、「モラルハザード(倫理観の欠如)」が緊急流動性支援(ELA)を停止する理由になり得ると警告した。ギリシャの銀行向けELAで担保の割引率を拡大させた翌日に規則も強化した。
ECBはウェブサイトに掲載した文書で、「ELA供与の条件が寛大に過ぎれば資金を受け取る金融機関や管轄当局のモラルハザードのリスクを高め」、ユーロシステムの機能を損ないかねないと指摘。「ELAは支払い能力があるが短期的に流動性の問題に直面している与信機関を支えることが目的で、金融政策手段ではない」とも説明した。
金融リスク管理に関する同文書はELAをめぐる規則を明確化した。ギリシャがデフォルト(債務不履行)に向かっているとみられる状況の中で同国の銀行へのELAで規則を曲げれば、将来にELAを利用する銀行が無責任な行動をとりかねないとECBが懸念している状況がうかがわれる。
ELAに関する従来の規則は、供与を受ける銀行が支払い可能であることとELAがユーロシステムの目的の妨げとならないことを規定していた。新規則では「域内で単一の金融政策」や短期金利誘導などの「金融政策の実施」、「各国中銀の独立性」への脅威になってはならないとも明記した。
欧州連合(EU)協定が定める財政ファイナンス禁止もあらためて明文化した。
原題:ECB Adds ‘Moral Hazard’ to Emergency Liquidity Assistance Rules(抜粋)
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更新日時: 2015/07/07 20:57 JST