まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど

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私には弟の他に妹がいるが

ごく仲の良い友人すら妹の存在を知らない。






妹と私は凹と凸のようなもので、

趣味も会話も何もかも合わない、顔も似ていない、妹は下ネタも言わない。

二人が合わさるとようやくバランスのとれた一人の人間が出来あがる。



幼いころはよく遊んだ。しかし、いつからか私と妹の関係はおかしなことになる。






さて、私は高校受験で失敗している






第一志望の高校には入れず、栃木のとある高校に入学したわけだが


それはその後、長いあいだ私の心に暗い影を落とす契機となった












埼玉の自宅から、秩父鉄道に乗り、電車を2回乗り換え、

駅から学校は遠いので学校の最寄駅で、置き自転車に乗り換え、

およそ2時間かけて通学した。



学校に着くころにはヘトヘトである。











遠いので部活にも入らず、栃木弁にも馴染めず、友人もおらず











ますます漫画が心の支えとなった。











そしてさらに
追い打ちをかける出来事が…




翌年、私が落ちた高校に妹があっさり合格して、通い始めたのだ






「今日はぁ、学校帰りにみんなで渋谷に行ったんだよぉ~」



東京のお洒落な女子高生になってゆく妹…












泣きたい…










涙で前が見えない









その時…






私は、白い物体を避けようとして、自転車のハンドルをきり損ねて






盛大にすっ転んだ







そして、

白く丸いものの正体は









子猫ちゃんでした。











私は思わず学校のボストンに入れて、そのまま家に持ち帰った






妹といっしょに洗面台で猫を洗った。






私は、子猫の後ろ脚をそっと湯に浸けた。

すると…

湯から逃げるように、上へ上へとノミが集まり

猫の顔面にノミがびっしりと…














あまりの衝撃に妹は完全に無言になっていた。





猫の体が湯に浸かれば浸かる程に、ノミが猫の顔面に集まり…
(あえて、絵は載せません。ご想像におまかせします)















私は洗った、全身に鳥肌を感じながら無心で洗った













猫を洗い終えてホッとしたのもつかの間




妹は、私が身につけていたロケットのペンダントを目ざとく見つけると







中身を見せろと言ってきたのだ

























































その日の夜のこと…
































































妹は当時の話題になると

「私…あの時の衝撃は忘れられない」

と未だにいう。よほど驚いたのだろう。






そして、妹と私は長い事ぎくしゃくした関係を築き


現在、私の人生から妹の存在は封印している。









# by manshukitsuko | 2012-11-06 15:56

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Hanako2013年3月14日発売号にわたくしのインタビュー記事が載ってます。

ほかにも
ツレヅレハナコさん、少年アヤちゃん、はあちゅうさんという
ジャンルの異なる人気ブロガーさんが、
ブログ制作のコツなどを語っているので
ぜひ読んでみてね。

ツレヅレハナコさん「ツレヅレハナコ blog ver.」 http://turehana.exblog.jp/
少年アヤちゃん「少年アヤの尼のような子」


はあちゅうさん「はあちゅう主義」 http://ameblo.jp/haruka-ito/

カフェオレライター http://coffeewriter.com/index.html








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そうそうたるメンツに私のような異物が混じって良いのでしょうか。









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# by manshukitsuko | 2012-10-16 20:49

井の頭池


その頃の私は

卒論のことやら、漫画アシスタン トのこと、

はたまた就職のこととか、親との折り合いが悪いこと 、

頭の痛くなることがたくさんあった。



そんな時は、息抜きに井の頭公園のボートに一人で乗った。

当時、漫画のアシスタントをしていたKプロダクションは、井の頭公園から徒歩1分の場所にあった。






池にボートを漕ぎだし、心もとない揺れに身をゆだねると、不思議な安心感を覚えた。





ひとりぼっちで水面にプカプカ浮かんでいる間だけが、唯一心が安らぐひと時だった。






誰も自分の領域をおかしてこない安心感。



私は避けがたい現実から逃げるように毎日ボートに乗りにきた。






ところが、ある日 私の至福のひと時を邪魔する不届き者に出会った。






ダブルデートでもしていたのか、ボートに乗った浮かれた4人組の男女が

ひとりでボートに乗っている私に









「おー い、ロンリー少女~」と遠くから声をかけてきたのだ


私は、何よりもまず、ロンリー少女という語感に鳥肌が立った。





そして、

一番見られたくないタイプの人たちに見つけられた恥ずかしさと、

唯一の領域を侵された怒りが、体の内部から沸き上がった。





そこで、私は








全力で頭がイカレている人の振りをして、
「あははははははははーーっ!」と絶叫しながら






もの凄い速さでボートを漕ぎ、4人組に向かって突き進んだ。


連日のボート乗りのお陰で、オールさばきはお手のものだったし、

一人しか乗っていない軽量ボートは、かなりのスピードを出して突き進んだ。



















恐怖にひきつった表情で、








四人組はあわてふためき、凄い速さで逃げていく……。





さっきまでの浮かれたデート気分はきっとどこかにいってしまっただろう。









私は心の中で「勝った…」とつかの間の勝利に酔いしれたが、








やはりむなしさだけは残り、

あいかわらず頭上には鉛のようなものが停滞していた。









私はふと向こう岸まで泳ぎたくなった。


池の向こう岸まで泳ぎきれたら、きっと何かが変わる。



お遍路さんに出向く前のような、お百度参りを始める前のような…


「池の端から端まで泳ぎきる」

そんな決意が私のうちに芽生えた。





数日後、私は秋元さんに





と言うと



秋元さんはいつもの調子で、





「うん いいよー」
と引き受けてくれた





私と秋元さんはすぐに井の頭池に向かった。


岸で私が飛び込む構えをすると 、

ちょうど通りかかったランニング途中のおじさんが、

さわやかに「おっ、がんばれよっ」と声をかけてくれた













飛び込むと同時に、数羽のカモが飛び立った









私は無我夢中で池を泳いだ




そして

池の半分まで泳いだその瞬間、



私の足に何かがまとわりついた気がした






魚でもない、藻でもない…、

その感覚はよく知っている感覚だった。






得体のしれない恐怖が一気に襲ってきた。



何かがいる…




何だかわからないが、とにかく何かいる!!










もの凄い恐怖を感じて、私は慌てて岸へ引き返した。




















 















私は岸からあがると、ずぶぬれのまま秋元さんと

とぼとぼ仕事場へ向かった。








































私は、当時の井の頭公園を思い出すと目の前が霞む


なぜ泳いだのか、今でもわからないけれど






やっぱり、何度考えてもわからない

# by manshukitsuko | 2012-09-17 22:11

ハト


父は家では何もしない人だった。





ほとんど家に居ないし、
家族揃って食事をした記憶は数えるほどしかない。





父は家庭内のことは、全て母に丸投げして、しかし子供に何か問題が起きると 「お前の教育が悪い!」と母を責めた。

決して教育熱心でも子煩悩でもない、基本的には寡黙な男だ。






そんな父が、ライフワークとして、どっぷりはまっていた趣味…









それがレース鳩だった。






レース鳩というと、新沼謙治氏や「レース鳩アラシ」を思い浮かべる人が多いだろう。



(※レース鳩とは、鳩の帰巣本能を利用し、鳩愛好家たちが各自の飼育している鳩を持ち寄り、同一地点から同時に放鳩し、誰の鳩が一番速く帰ってくるか競うレースである)







父は、思い通りにならない子供たちとは違って従順な鳩たちが、可愛くて仕方がない様子だった。








しかし。ある日、そんな父のささやかな幸せを揺るがす大事件が起きた。








…弟である。







弟は、当時中3で受験生だった。突然、鳩を飛ばしたくなったらしい。











母と弟は鳩小屋から無作為に12、3羽ほど捕え、ケージに入れた。


その日は天気も良かったので、ドライブがてら自宅から30キロ離れた放鳩地点を目指した。





ちなみに、二人が鳩を飛ばすのはこの時が初めてだった。














せっかく鳩を飛ばすのだから、もっと遠くへ行こうと弟が提案し、放鳩地点からさらに離れた場所へ車を走らせた。



























通常、放鳩した場合、鳩たちは上空で揃って旋回し、
そのうち鳩小屋の方角を見つけ出し、一斉にそちらへ向かって飛んでゆく








母と弟はケージを開けた















































鳩たちはヨタヨタと四方八方へ散らばり、家とは違う方向に飛んでいった












とんでもないことをやらかした、二人はそう思っていた。
母と弟は、鳩が本来持っている体内磁石の力に望みを託し、家路へ急いだ。





自宅へ戻った二人は鳩小屋の前でしばらく待ってみたが…




放鳩した鳩たちは一向に戻る気配がなかった。





当時、鳩小屋には50羽程鳩がいたので、12、3羽減っても気付かないだろう。
母と弟は話合った結果、バレるまで父に内緒にしておくことにした。








父はすぐに気付いた




















































































川が鳩の磁石を狂わせるのか定かではない。


先ほど検索してみたが、川が鳩の磁石を狂わせるという記述はどこにも見当たらなかった。

おそらく父の、長年の鳩経験から培った感覚だろうか。




さらに弟と母が無作為に選んだ鳩は訓練途中の鳩で、長距離を飛んだことのない若い鳩たちばかりだった。










すると父は、何を思ったのか






突然、玄関を飛び出し、厳しい顔で一心不乱に玄関を壊し始めた。

なぜ父が玄関を壊したのか未だにわからないが、おそらく本人もわからなかったと思う。







その後一週間かけて、すべての鳩が帰ってきたけれど、







玄関は長い間壊れたまま




そのまま家は人手にわたった。






# by manshukitsuko | 2012-07-23 23:11

秋元さんその2



オムツ倶楽部の回でチョロっと触れたが、乏しい私の恋愛経験のうちで一番つらかった失恋の話でも今日はしようか







ひとつ年下のM君は、お堅い仕事、真面目実直、複雑な生い立ち、デートは1円単位まできっちり割り勘。口癖は「どうせ俺にはお父さんが居ないよ」だった。


彼の話をするたびに、周囲の人間は口を揃えて「やめとけ」と言った。



この場合の「やめとけ」は、「あんなふざけた男はやめとけ」ではなく、「(ふざけたお前にはあんな真面目な男は合わないから)やめとけ」
という意味のようだった。




そして、私は、「やめとけ」と言われるたび


と寝言をほざき自己陶酔していた。





M君は非常に真面目な性格で、下ネタを言う女性が大嫌いだったので私はM君の前では一切の下ネタを封印した。





ある日
秋元さんに、「M君がいかに下ネタが嫌いか」について話をしていると
秋元さんが「携帯を貸してくれ」と言うので、私はわけがわからないまま携帯を秋元さんに手渡した。
以下、その時のやりとりを絵でご覧下さい






 








































































































































































































ちなみに、この当時の秋元さんのスペックは25歳処女で男性と付き合った経験ナシである。









ある日―
M君と私はささいなことで大喧嘩し、お互い意地を張り合いどちらも謝ろうとしなかった。



近場の公園で、お互いに話し合った結果、私とM君は別れることになったが、いざ本当にM君と別れることになったらものすごく悲しくなり、

地面を転がりながら、全力でだだをこねた。
周囲の人の冷たい視線も、苦笑いも気にせずに、全力でだだをこねた。








M君はそんな私を呆然と見つめて


「そんな人だと思わなかった」

1年以上付き合って最後に言われた言葉がこれである。






それまで、毎日顔を合わせていたM君が、今後自分の人生から一切関わりがなくなることが信じられなかった私は、3日間眠ろうと思った。

3日後、目が覚めた時には何かしら状況が変わり、何事もなかったように再びM君から電話がかかってくるだろう、と思ったからだ


私は、ウォッカを一瓶ラッパ飲みし、ベッドに潜り込んだ。

とにかく、何も考えずにぐうぐう眠りたかったのだ。



数時間後―

金属バッドで殴打されるような、かつて経験したことのない頭痛で目が覚めた。私はベッドから転げ落ち、部屋の中をのたうちまわった。

昨日公園でのたうちまわり、家の中でものたうちまわり、「最近よくのたうちまわるなあ」と思った。そして部屋の時計を確認すると眠りについてから、たった7時間しか経っていなかった…健康的な睡眠時間だった。




3日後も1週間後も2週間後もM君から連絡はなく、私はようやく現状を受け入れ始めた

秋元さんにフラれた事を報告すると









と言った








そして、私にこんな質問を投げかけてきた
























秋元さんは「そっかーホヤかあ」としきりに感心していた。











それから数日後
秋元さんから一通の手紙が届いた








封筒を開けると








たった一行、走り書きで「早くホヤを食いてぇ~」と書いてあった








これが私のもっとも辛かった失恋の経験である。


当時は悲しくて仕方なかったし、1か月くらいご飯が喉を通らなかったけれど、今となっては彼との1年間の日々を思い出そうとすると、何故か彼に怒られているバツの悪そうな秋元さんの顔がフラッシュバックしてしまう。彼と過ごした日々よりも秋元さんから送られてきた手紙「早くホヤを食いてぇ~」の方が強烈に脳裏に焼き付いているのだ。




結局、恋愛の辛さなどその場限りなのである。


また、今でも徹底的に下ネタを嫌う彼ならば、マン臭きつ子というペンネームだけで、このブログなど絶対読まないだろう。






本橋くん!


イエーーイ!


私だよ!!

# by manshukitsuko | 2012-07-12 19:36