リバティおおさか:土地明け渡し求め、市が提訴へ
毎日新聞 2015年07月07日 10時00分
大阪市浪速区の大阪人権博物館(リバティおおさか)が市有地の無償貸与を打ち切られた問題で、大阪市は今月中にも、運営する財団法人を相手取り、土地の明け渡しを求めて大阪地裁に提訴する方針を固めた。財団は争う構えだが、訴訟の行方次第では博物館が閉鎖に追い込まれる可能性もある。
リバティおおさかは1985年、大阪府や市、民間企業が出資する財団が開設した。約6900平方メートルの市有地に建つが、市は「社会教育施設の役割を果たしている」として土地を無償で貸与。固定資産税も免除してきた。しかし、無償貸与は今年3月末で打ち切られ、財団は市有地を不法占拠する状態で運営を続けている。
きっかけは2012年、橋下徹市長と松井一郎知事が博物館を視察し、「子に夢を与える展示になっていない」と批判したことだ。両氏は行政からの自立を求め、財団への府市の補助金(12年度で約1億6700万円)を13年度に廃止した。
さらに市は昨年11月、4月以降は無償貸与契約を結ばない考えを財団に伝えた。約2700万円の賃料と約700万円の固定資産税を毎年納めることを土地使用の条件としたが、財団が応じなかったため、市は2月、建物を解体して3月末までに土地を明け渡すよう求めていた。
朝治(あさじ)武館長は「借地料の減免がないと存続は難しい。交渉に応じず裁判に持ち込むのは乱暴だ」としている。【大久保昂】