久永隆一
2015年7月7日20時48分
日本年金機構から約101万人分の個人情報が流出した問題で、情報流出の該当者2449人に機構が誤った説明をしていた。問い合わせに対し、実際には該当者だったのに「流出していない」と回答。機構はミスを公表せず、監督官庁の厚生労働省にも報告しないまま、対象者への謝罪対応を終えていた。
7日の民主党の会合で、機構の薄井康紀副理事長が明らかにした。
機構は情報漏れを公表した6月1日から、専用電話窓口や全国の年金事務所で受給者や加入者からの問い合わせを受けている。情報漏れの該当者に謝罪文書を送るため、6月中旬ごろに電話窓口などでの対応記録と突きあわせる過程で説明ミスのケースが判明したという。該当者かどうかは、職員の端末で基礎年金番号をもとに判断している。
機構は説明ミスをした対象者に同月27日から戸別訪問を開始。2177人に面会して謝り、会えなかった272人には謝罪文書を郵送した。戸別訪問を始める前には水島藤一郎理事長も、この問題を把握していたという。ミスの原因は調査中としている。
薄井副理事長は、公表しなかった理由について「お客様への対応を最優先にしたため」と釈明。厚労省に報告しなかった点には「連絡体制の指摘を受ければ、返す言葉もない」と陳謝した。同席した厚労省の担当者は、6日昼のテレビニュースで今回の説明ミスを知ったとした上で、こうした問題について速やかに報告するよう機構に改めて指示したと明らかにした。
塩崎恭久厚労相は7日の閣議後会見で「誤った説明によってご迷惑をおかけした皆様には大変申し訳ない」と陳謝した。
現段階では、今回流出した情報を悪用されて「なりすまし」によって年金が受給できないといった被害は確認されていない。(久永隆一)
おすすめコンテンツ
PR比べてお得!