著作物等の利用円滑化のためのニーズの募集について

平成27年7月7日

文化庁長官官房著作権課

 文化庁においては,これまでも新しい時代に対応した制度等の在り方について社会の様々なニーズを踏まえて検討を行い,著作権制度等の見直しに取り組んできました。例えば,平成24年の著作権法改正に当たっては,事業者等から提出された多岐にわたる要望への対応方策の検討結果としてまとめられた平成23年1月の文化審議会著作権分科会報告書を踏まえて,インターネット等による情報提供サービスや技術開発等のための著作物等の利用に関し,これまでと比較して相当程度柔軟性の高い権利制限規定を創設することなどを内容とする著作権法の一部改正を行いました*1。また,昨年度は,同分科会においてクラウドサービス等と著作権に関する検討が行われ,本年2月にとりまとめられた同報告書では,事業者から要望のあったサービスについては,原則ライセンス契約により利用の促進を図るべきものであるとしつつ,更なるサービスの発展を図るため,権利の集中管理による契約の促進が提言されたところです。*2
 このように,文化庁では,社会の様々なニーズを随時把握し,その解決策の提示を行ってきましたが,デジタル・ネットワークの発達に伴い,著作物等を利用したサービスを創出し発展させるためのニーズも新たに生じているとの指摘もなされてきています。
 例えば,本年6月に決定された「知的財産推進計画2015*3」においては,技術の進歩に伴いコンテンツの利用形態,利用環境,利用手段の多様化が引き続き進んでいく等の背景から,「インターネット時代の新規ビジネスの創出,人工知能や3Dプリンティングの出現などの技術的・社会的変化やニーズを踏まえ,知財の権利保護と活用促進のバランスや国際的な動向を考慮しつつ,柔軟性の高い権利制限規定や円滑なライセンシング体制など新しい時代に対応した制度等の在り方について検討する。」とされました。これに関連して,6月19日の知的財産戦略本部会合において,安倍総理からも,デジタル・ネットワーク時代にふさわしい著作権法制度の在り方の検討についてしっかりと取り組んでいく旨の御発言があったところです。
 こうした状況を踏まえ,文化庁においては,デジタル・ネットワークの発達に伴う新たなニーズ(現在のもの及び将来想定されるものを含む。)及び課題を把握し,その解決に向けて,柔軟性の高い権利制限規定や円滑なライセンシング体制などの在り方を検討していきたいと考えています。なお,検討にあたっては,権利の適切な保護と利用の円滑化のバランスに配慮しつつ,個別のニーズの解決にとどまらない,将来の変化にもできる限り柔軟に対応できるような制度の構築に向けて,積極的に検討をしたいと考えています。
 つきましては,このような趣旨を御理解いただき,著作物等を円滑に利用するに当たって課題と考えている点について,広く国民の皆様からニーズを把握するため,下記の要領にて募集いたします。


*1 文化審議会著作権分科会報告書(平成23年1月)
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/pdf/shingi_hokokusho_2301_ver02.pdf(1.2MB)
本報告書を踏まえ,平成24年法改正において,インターネット等による情報提供サービスや技術開発等,利用目的や要件を一定程度包括的に定めた権利制限規定を設けました。
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/h24_hokaisei/
また,平成21年においては,インターネット等を活用した著作物利用の円滑化を図るため,検索エンジンサービスに関する権利制限規定等の改正を行いました。
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/h21_hokaisei/

*2 文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会 クラウドサービス等と著作権に関する報告書(平成27年2月)
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/hogoriyo/h26_10/pdf/shiryo_1.pdf(588KB)

*3 平成27年6月知的財産戦略本部決定
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/chizaikeikaku20150619.pdf

1.募集事項

著作物等の利用円滑化のためのニーズに関し,次の(1)~(3)の観点に沿って,御提出ください。

(1)
 どのような種類の著作物等をどのような場面,方法で利用するにあたり課題がありますか。現在又は将来想定される課題について具体的に御記入ください。また,そのような利用ができないために,既にビジネスに支障が生じている,又は支障が生じうることが考えられる場合は,それについても具体的に記載をお願いします。
(2)
 (1)で挙げる利用は,現在の著作権法のどの規定(権利に関する規定・権利制限規定)との関係で課題がありますか。
(3)
 (1)・(2)で挙げられた課題の解決方法について
[1]
 権利制限規定の見直しによって解決すべきであるとお考えの場合,具体的にどのような制度を望みますか。また,そのような制度設計が望ましいと思われる理由を述べてください。
[2]
 権利制限規定の見直しによって解決すべきであるとお考えの場合,(1)に挙げた利用が著作権者等の利益を不当に害さない(著作権者等の正規のビジネスとの競合,衝突の有無や度合いを含む。)と判断する理由は何ですか。
(参考)著作権に関する条約(ベルヌ条約,TRIPs協定,WIPO著作権条約等)においては,著作権者の利益を制限する場合,スリーステップテスト((a)特別の場合,(b)著作物の通常の利用を妨げない,(c)著作者の正当な利益を不当に害しない)を満たすことが,条約上の義務として求められています
[3]
 著作権の集中管理の促進など,ライセンシング体制の充実によって解決すべきとお考えの場合は,具体的にどのような環境整備を望みますか。
[4]
 その他の解決方法について御提案があれば,理由とともに具体的に御記入ください。

留意事項

(1)
 上記により募集したニーズを踏まえ,文化庁において検討を行い,今後の政策立案に活用させていただきます。つきましては,そうした検討に資するため,できるだけ具体的に御記入をお願いします。その際 ,ニーズの具体的内容や御提案の論拠を補足するための資料やデータ,関連文献(の書誌情報)等がありましたら,併せて御提出をお願いします。なお,募集事項は一定程度専門的な事項を含みますので,必ずしも全て記入する必要はありません。可能な限りで記載をお願いします。
(2)
 頂いたニーズについては,氏名,住所,電話番号等個人情報を除いて公表されることがありますので,御了承願います。ただし,ビジネス戦略上の理由等により,非公表を希望される情報についてはその旨付していただければ,情報公開法の定めにのっとり,非公表の取扱いとしますので,できるだけ詳しく御記入ください。なお,非公表を希望される情報についても,行政目的の範囲内で内部的な検討のために活用させていただきますので,御了承ください。
(3)
 頂いたニーズに対して個別の回答は致しかねますので,あらかじめ御了承願います。
(4)
 氏名,住所,電話番号については,内容に不明な点があった場合の連絡以外の用途では使用しません。

2.提出方法

(1)提出手段
 郵送・FAX・電子メール
(電話による受付は致しかねますので,御了承ください)
(2)提出期限
 平成27年7月27日(月)必着
(3)宛先
 住所:〒100-8959 東京都千代田区霞が関3-2-2
 文化庁長官官房著作権課企画審議係 宛
 FAX番号:03-6734-3813
 電子メールアドレス:ch-houki@bunka.go.jp
 (判別のため,件名は【ニーズ募集】としてください。)

3.提出様式

「著作物等の利用円滑化のためのニーズ」について,添付の様式にて御提出ください。

  • ・氏名
  • ・性別,年齢
  • ・職業(在学中の場合は「高校生」「大学生」など在学する学校段階を表記。)
  • ・住所
  • ・電話番号
  • ・ニーズ

(文化庁長官官房著作権課)

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